2026年10月01日大日乃光第2450号 貫主権大僧正様御親教
手に「蓮華合掌」を組み、皇円大菩薩様に心を近づけよう
「手に『蓮華合掌』を組み、皇円大菩薩様に心を近づけよう」
皆さん、ようこそお参りでした。 九月に入り、入浴中に外からコオロギやキリギリスの声が聞こえてきて、もう秋に入っていると実感します。暦の上では「白露」の候を過ぎて、暑さも峠を越えました。
被災地で夏の思い出作り
今日(十三日)は日曜日という事で、れんげ国際ボランティア会(アルティック)では、宇城市小川町の妙音寺さんという曹洞宗のお寺の幼楽園(保育園)で「こども縁日」を行っております。
東京からSVA(シャンティ国際ボランティア会)のスタッフが十名、また同じく東京から大学生ボランティアが十名、飛行機で駆けつけてくれました。それにアルティックのスタッフが五人、協力して頂くキッチンカーのスタッフを加えると、総勢三十人を超える大所帯で活動しています。
これは地震の影響で、被災地では夏祭りのほとんどが中止になったので、代わりに子供達に楽しい思い出を残してあげたいという思いで開催するものです。 子供達にとって、少しでも明るい夏の思い出になれば幸いです。
明るい親子模様の詩を表彰
昨日はKAB熊本朝日放送さんの本社に設けられた特設スタジオで、「こどもの詩コンクール」の表彰式を執り行いました。 その内の特別三賞の一つ、「親を大切にする子供を育てる会賞」の受賞者は、宇城市立松橋小学校五年の中本吏玲さんでした。
毎年春の赤ちゃん土俵入りの時に、今の子供の名前の読み方には苦労してきましたが、表彰式でも読み間違えないように緊張しながら一言講評を添えて賞状と盾、副賞の図書カードを授与しました。ちょっと読んでみましょう。
一口のおすそわけ
私のママは今 ダイエットをがんばっている
でもなかなか進まない
その原因が私
食べているお菓子を「一口あげる。」って
いつもおすそわけしちゃうんだ
一生けん命がんばるママの姿を見ると
思わずあげたくなっちゃう
私があげると ママは幸せそうな顔で食べる
その顔を見ると 私もうれしくなって
また一口あげちゃう
でもちょっと待って
私の「一口あげる。」のせいで ママのダイエットが成功しないってこと?
こまったなぁ
ママを応えんしたいのに ママをこまらせている
私はどうしたらいいのかな
でもママ 私は
ママが太っていても やせていても
ママのことが 大好きなんだ
事前に詩を読ませて頂いた時には、母親との関係がコミカルに描かれていて、お母さんの事が大好きという気持ちが大変よく表れていたので、どんな親子に会えるかなと楽しみでした。
特別三賞は他に、坂村真民賞には小学一年生の津川玲和さん、熊本朝日放送賞には中学三年生の古閑誉さんが受賞されました。
この特別三賞の作品は詩碑に刻み、来たる十一月三日の奥之院大祭で、横綱をはじめ大相撲の力士と共に詩碑除幕式を執り行います。 皆さんぜひご参列頂いて、子供たちを拍手で称えて頂きますよう宜しくお願い致します。
こどもの詩コンクールと 観月会の数奇な繋がり
さて、来週の水曜日、九月二十三日の秋分の日は、蓮華院御廟(霊園)で、秋彼岸全体供養と観月会を執り行います。 四時から蓮華宝塔前でお参りをして、五時からの観月会コンサートには熊本出身のソプラノ歌手、福島由記さんに出演して頂きます。
福島由記さんは、普段は東京を拠点にソプラノ歌手として活動されていて、更に声楽や合唱指導で全国を巡り後進の育成に努めておられます。今回もコンサートへの出演以外にも、子供達への合唱指導に当たられるそうです。
平成三十年三月に奥之院で開催された第二回玉名音楽フェスティバルでは、先代の長女の一紗と一緒にビエントさんの一座として、その玲瓏な歌声を五重塔前の特設ステージで披露された事がありました。
その福島由記さんが、何と三十七年前に第一回目の「こどもの詩コンクール」で佳作(優良賞)に選ばれていたことが、昨日の表彰式の後で分かったのです。 平成三年当時、坂村真民先生のご意向により、主に母親をテーマに詩を募集していました。 福島さんは、「受験生にとっての母」という詩で入選されていたのです。 何という不思議なご縁でしょうか。
巡り巡って深いご縁繋がり
第一回目から詩のコンクールの選者を務められ、その後審査員長を経て顧問として詩の授業を担当して頂いている宮崎義之先生が福島さんとお知り合いなのだそうです。 何かの機会に宮崎先生にお会いされた時に、福島さんが「私第一回目の受賞者なんです」と話されたと、そういう話を伺いました。
今回その福島さんをお寺にご紹介頂いたのは、家内の同級生の熊本の民謡歌手で、司会や福祉活動などでマルチタレントとしても活躍中の西村直子さんでした。
西村さんにはこれまで何回も霊園の観月会コンサートに出演して頂き、過去にはDOYO組(どうようぐみ)をはじめ、色んな方をご紹介頂きました。 そして今回が福島由記さんという事です。
本当にどこかで繋がるんですね。 これは非常に深いご縁の繋がりだったという風に思っております。
詩のコンクールを開催する意義
これまで三十七年間、子供の詩の募集を続けてきて、延べ約十六万人の方に詩を書いて頂きました。 今、審査員統括を務めて頂いている佐藤俊幸先生は、校長先生を退職された後、教育委員会に勤められ、それも終えられて詩のご指導と審査に専念して頂いている方です。
佐藤先生は、「年に一度ですけれ ども、詩のコンクールの応募には、小学校一年生から中学校三年生まで、九回のチャンスがあります。でも小学校低学年生で詩を書くというのはなかなか難しいことでしょう。小学一年生に至っては、まだひらがなを覚えたばかりです。けれどもこの一年にたった一度の機会に詩を書くという事を、五年間、六年間やっている子とやっていない子では大きく違います」と、はっきり言われます。
親の事をよく見て、親の愛情をしっかり感じている子供と、親の事をあまり気にせずに甘えるのが当然、何でもしてもらうのが当然と思っている子供。 全てを当然と思ってきた子供でも、詩をきっかけに、改めて親の姿を見つめて、その有難さに気付いてくれる。 これを一年に一回ずつ、何回か経験すると、やはり大きな差が現れてくる。
親の愛情をしっかり感じている子供は、親離れが出来ます。 親の愛情を感じ取れず、親の愛に飢えている子供は、「もっともっと…」といつまでも欲しがり、親離れが出来なくて、大人になっても親に頼るようになってしまいます。
親は皆多くの愛情を子供に注ぎます。 しかし注いだ愛情を感じ取れるか取れないかは、子供側の心のあり方次第です。 ですから、この詩の募集は来年も続けます。 来年は、信者さん方の子供さんやお孫さんの参加も、ぜひ期待したいと思います。
「蓮華合掌」を憶えよう
ここで話題を変えます。 本誌八月号で「お参りに集中する心構え」と見出しを付けてお伝えしましたが、お寺に着いたら、玄関から「南無皇円大菩薩、南無皇円大菩薩…」と唱えながら廊下を歩き、本堂に入ると雑談はやめて、お参りが始まるまで心静かに待ちましょうとお伝えしました。
その時、ゆっくりしたテンポで呼吸を調えると、心を落ち着かせることができます。 お参りが始まるまで、そのようにして心を仏様の方に向けましょうとお伝えしました。
ここで今日はもう一つ、皆さんに新たな作法を伝授したいと思います。 「身・口・意」、この身体と言葉と心の三密の行。 その「身」の形の一つとして、合掌には様々な形がありますが、今日はこの「蓮華合掌」をぜひ覚えてください。
本堂へと廊下を歩く時に、この「蓮華合掌」を組んで、「南無皇円大菩薩…」と御宝号を唱えつつ、足の下に蓮華の花が咲くと観念しながら歩いてみてください。 実際に開いた蓮の花を模した合掌を組むと、心にイメージを浮かべやすくなります。 せっかくここで一時間お参りするのですから、こうして仏様の心に少しでも近づいてください。
人には果たすべき役割がある
英照大僧正様が遷化されて、今日で早六ヶ月、半年になります。そこで開山上人様、真如大僧正様、英照大僧正様の中興三代について私なりに少し考えた事があります。 それは人には役割があるという事です。
まず開山上人様は蓮華院を再興されました。奥之院の建立を発願されて、造成を始めて落慶する前に御入定されました。
真如大僧正様は、奥之院を落慶開創されました。最初に鐘楼堂で大梵鐘飛龍の鐘の打ち初め式、そして五重塔、仁王門、護摩堂、御霊廟の皇円大菩薩の大仏様を建立されました。 御遷化の数ヶ月前には「自分の実力以上の事を皇円大菩薩様にやらせて頂いた。もう充分だ」と仰られました。 そして最後に、本院の五重塔の建 立を発願されました。そこまでで、英照大僧正様に代が替わりました。
英照大僧正様は五重塔、南大門、多宝塔を建立されました。 そして多宝塔を建立された時、「これで蓮華院の中興は成った」と話されました。これは自分の役割が終わった事を仰られたのだと思います。
信者の記憶と共に生き続ける
人間には短い期間で何かを成し遂げるという事の他にも、お釈迦様のように、人としての一生を超えて教えを伝え続けるという役割の人がおられます。 たとえ短い命であっても、長い人生であっても、自分の頂いた寿命の中で、何を成し遂げるかが大事なのです。
そして人間には二回の死があると言われます。 一回目は肉体が滅びた時。 二回目は忘れ去られた時。 ですから皇円大菩薩様は九百年余生き続けておられると言えます。 開山上人様も百三十年余生き続けておられることになります。
蓮華院の中興三代はそれぞれこういうお方でしたとか、こういうことを教えられた、こういうことを成し遂げられたという風に、蓮華院では百年後、五百年後にも伝わる事でしょう。 ですからこの歴代貫主様方は、皆さん達の記憶と共にこれからもずっと生き続けます
。 人間には役割があり、いかにしてそれを果たすべきか。そこを考えて頂きながら、蓮華合掌を組み、「南無皇円大菩薩」と唱えながら、心に皇円大菩薩様を思いつつ、これからもお参りを続けて頂きたいと思います。 合掌

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