2026年08月01日大日乃光第2448号 貫主権大僧正様御親教
英照大僧正様の初盆に当たり御恩に報いる信仰生活を送ろう
英照大僧正様の初盆に当たり御恩に報いる信仰生活を送ろう
皆さん厳しい暑さの中、ようこそお参りでした。 今年もまたお盆、すなわち盂蘭盆会の季節が巡ってまいりました。 お盆とは、私たちに命を繋いでくださったご先祖様の御霊をお迎えし、感謝を捧げる大切な仏道修行の期間でもあります。
英照大僧正様の初盆に思う
さて、令和八年のお盆は、当山にとりましても、また信者の皆さんお一人おひとりにとりましても非常に特別で、深い感慨を抱かずにはいられないお盆でございます。
ご存知の通り、本年は先代貫主・英照大僧正様の初盆(新盆)に当たります。 皆さんの中には、先代の優しい笑顔、力強いお言葉、そして何より皇円大菩薩様への揺るぎない信仰のお姿を思い出される方も多いと思います。
先代が遷化された深い悲しみは、今も私たちの胸の内にありますが、こうして初盆をお迎えし、皆さんと共にご供養できることは、大変尊いご縁であると感じております。
目に見えないつながりを感じる
仏教において、肉体の死は決して「完全なる別れ」を意味するのではありません。 真言宗の教えでは、亡くなられた方は大日如来の大きな命の海へと還り、私たちを常に見守り、導いてくださる存在となられます。
先代英照大僧正様は、生涯をかけてこの蓮華院誕生寺を中興されました。 そして日々、皆さんの幸せを祈りつつ、その願い事を叶えるための御祈祷に尽力されました。また皇円大菩薩様の衆生済度の浄行に邁進なさいました。 その祈りと教えは今もなお寺内の隅々に行き渡り、そして皆様の心の中に確かな光として生き続けています。
お盆の間に灯す迎え火は、ご先祖様が迷わずに帰ってこられるための目印とされていますが、私たちの心の中に「仏様の智慧の光」を灯すということでもあります。
どうかこのお盆の時期は、静かに目を閉じ、先代からいただいたお言葉やご恩を思い起こしてみてください。 目には見えなくとも、先代が私達に寄り添い、「元気にやっておるか」「いつも見守っているぞ」と微笑みかけてくださる温もりを、必ずや感じて頂けるはずです。
尽きせぬ万余遍の御宝号
先代英照大僧正様は八年前に病に倒れてから、「南無皇円大菩薩、南無皇円大菩薩…」と一日に三万から多い時には五万遍も御宝号を唱えられ、退院されてからも一日に二万遍以上、唱え続けておられました。 今年の初まいりの音声メッセージでは、五千二百十二万遍に達した事を話されました。
この何々万遍という御宝号の念誦は、何も八年前のご病気がきっかけではなく、例えば平成二十四年の本誌六月一日号には次のような事を記されています。 「現在(五月十九日)の私は、毎日二万遍ずつ御宝号を唱えています。そんな中で、この浄布に『南無皇円大菩薩』と心を籠めて書くのが、私にとっては大祭を控えての有難い準備の一つでもあります」と。
真剣な祈りが願いを叶える
英照大僧正様は、御宝号を常に唱えている内に、まるで仏様にすっぽり包まれて、自分自身が仏様の一部になるといった気持ちになれると仰いました。そうすると願い事が叶い、自ずと道が開けてくるのだと。
信者の皆さん達も、本堂でお参りされる時には皇円大菩薩様に真剣に祈っておられます。 また、日々のお参りの中にも真剣な祈りの力がある筈です。 その真剣な祈りによって仏様にお力を頂いたり、或いは仏様に包んで頂いた、そういった境地を体験された人がたくさんおられます。
その時の気持ちを忘れないために、そしてその状態を保ち続けるためにも、御宝号を唱え続けてください。
お参りに集中する心構え
はじめての方や、まだお参りされて間もない方は、お寺に着いたら「南無皇円大菩薩、南無皇円大菩薩…」と唱えながら歩き、本堂に入ると雑談はやめて、お参りが始まるまで心静かに待ちます。
「阿字観」では、呼吸が調えば身体が調い、身体が調えば心が調う事を指導しています。 普段歩く時のようにゆっくりしたテンポで呼吸を調えながら、御宝号をゆっくり唱えてください。 何か心配事があったり、イライラするような時ほど、できるだけ長く、ゆっくり御宝号を唱えると心が落ち着きます。 すると、心が仏様の方に向かいます。
仏様と一体になる境地
私は貫主堂二階の持仏堂で、毎朝の信者の皆さんのための祈願祈祷と、日課として午前に二回、午後も二回、お尋ねに応じてお参りしています。緊急の場合には、その合間の時間にもお参りします。
寺務所受付の横にある執務室から二階の持仏堂に向かいながら、足取りに合わせて「南無皇円大菩薩、南無皇円大菩薩…」と御宝号を唱えます。 すると仏様に一緒に来て頂いている感じになり、持仏堂に着く頃には心が定まります。
昔私が修行に入った時、道場に向かう際の観念として指導を受け、教わったのは、 「吾が身は金剛薩埵なり。歩歩の足下に八葉蓮華を踏むと思え」 という観念でした。
金剛薩埵とはサンスクリット語で「ヴァジュラ サットヴァ」という御名で、ダイヤモンドのように硬く、決して菩提心が壊れる事の無い仏様です。 一歩一歩、歩を進めながら、足の下に蓮華の花が開き、口に御宝号を唱え、心に皇円大菩薩様を思って歩きます。 そうして持仏堂に座り、仏様をお迎えして祈願祈祷をお勤めします。
「三密加持」「身・口・意」 身体と言葉と心が一つになる。 身体に皇円大菩薩の印を結び、口に「南無皇円大菩薩」と唱え、心に仏様を思いお参りをする。私自身に皇円大菩薩様をお迎えし、心の中で皇円大菩薩様を思う。 こうして「入我我入」、仏様と一体になる境地となります。
皇円大菩薩様の種字
先の六月大祭で功徳行に参加された方は、最後に浄布で大梵鐘を拭かれました。その浄布の一番上に皇円大菩薩様の種字の「アーンク」という梵字を書きました。 密教では一つのサンスクリット文字で、一体の仏様を表します。 胎蔵界大日如来は アという種字。 金剛界大日如来は バンという種字。 色んな仏様を一つの種字で表します。
皇円大菩薩様のアーンクという種字が自分の胎内に入ってくるように拝み、仏様と自分が一体になる境地で祈ります。 そして「南無皇円大菩薩」と唱えています。 真言宗は密教ですから、三密加持の身・口・意、この三つを重んじて修行をします。 身体と言葉と心を一つにしていく。
一人でも多く信仰を広げよう
真剣に祈り、ご利益を頂き、願い事が叶えばそれだけで充分なのでしょうか。 ご利益を頂いたら、次に自分の家族や友人までも率いて引っ張って行く、信仰を勧めて行く事が大切です。
皇円大菩薩様もご自身の成道だけで良ければ、こうしてまたここに戻られる必要は無かったのです。ご自分は極楽浄土どころか永遠の素晴らしい涅槃に行く力を持っておられた。 お釈迦様も悟りを開かれた直後、自分はこのまま死んでもいいかと思われました。 すると梵天と帝釈天が現れて「あなたが悟った法を、一人でも二人でも日々伝え続けなさい」と諭されたのだそうです。 それと同じような事を皆さんにお伝えしたいと思います。
皆さんが少しでも信仰を有難いと思われたなら、一人でも二人でも周りの人に伝えてください。 そしてまずは家族の中で、仏様と一体になる域に達するよう、努力して頂きたいと切に念じております。
報恩謝徳を誓う
最後にお盆らしく話を戻します。 皆さんは蓮華院の歴代貫主様方を通じて、皇円大菩薩様の大慈大悲の御霊力にご縁を頂く事が出来ました。
この有難いご縁を繋いで頂いたご先祖様方に報恩感謝のご供養を捧げる事の大切さを、蓮華院では繰り返し伝えて参りました。 加えて先代は、他者への思い遣りを持って行動する事が、御心に適うと伝えて来られました。
先代の初盆を迎えるに当たり、その教えを少しでも実践する事が、何よりのご供養となり、ご恩返しとなるに違いありません。 お盆を前に酷暑の日々が続いておりますが、皆さんが心安らかに、そして健やかに日々を過ごされますよう念じております。合掌

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