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2026年06月30日大日乃光第2447号 貫主権大僧正様御親教
苦難を試練として乗り越え、明るい未来へと歩みを進めよう 

八百五十八年御遠忌大祭特集号
「苦難を試練として乗り越え、明るい未来へと歩みを進めよう」

まずは皆さん、蓮華院にお帰りなさい!!(信者さん:ただいま!!) 先代英照大僧正様が遷化されてからもう三ヶ月になります。 中には今日初めてお参りされた方もおられる事と思います。 葬儀での一部始終は『大日乃光』に三回に亘って載せましたので、今日は私自身の事を補ってお話し致します。

『光明照四海』を解き明かす

まずはこの掛け軸をご覧頂きます。これは本葬儀で、西大寺の松村隆誉長老猊下より賜わりました。 『光明照四海』(光明四海を照らす)と揮毫されています。

この一番下は、「海」の字を偏(氵=水)と旁(毎)を上下にして書かれています。 一番上の「光明」は、真言密教の根本仏である大日如来の智慧の光を表し、真言律宗で最も重んじられる「光明真言」をも表します。

「大日如来の智慧の光が四海を照らす」 この「四海」は地理的な海の事ではありません。地球全体とか、宇宙の果てまで、全世界を表します。その四海に生きる衆生の心を遍く照らすのが、仏様の智慧の光、「光明」です。

長老猊下は、蓮華院を継ぐ私に対する励ましとして、「光祐」の「光」の字が最初に来るこの言葉を選ばれました。 ちょうど真ん中には英照大僧正様の「照」の字もございます。心の中心に英照さんを据えなさいよと、そういう風に解釈致しました。 そういう事で、英照大僧正様をお腹の真ん中にしっかり据えて、世界を照らすように頑張りなさいという意味でこれを頂きました。 本当に有難い事でございました。

悲しみを越える「卒哭忌」

今日の御遠忌大法要では、『般若心経』の前に、英照大僧正様の百箇日追善供養を兼ねて、お参りをお勤めしました。

この百箇日は、別の言い方をすると「卒哭忌」とも呼ばれています。「哭」には大声で泣き叫ぶという意味があります。 この「哭」を終わらせる、悲しみを卒業する日というのが「卒哭忌」の意味です。

ですから百箇日が過ぎたら、残された人達も思い定めて、安心して暮らす事です。いつまでも悲しんでいたら故人が困る。 私達もこれを機に、英照大僧正様が遷化された悲しみから卒業しなければなりません。

継承される日々のお勤め

さて、私は英照大僧正様が遷化されるひと月程前から、持仏堂で信者さん方の朝のお参りをお勤めしてまいりました。英照大僧正様に教えて頂いたお参りの作法で、もうかれこれ四ヶ月ほど受け継がせて頂いております。

信者さんの「お尋ね」につきましては、ご遷化の三、四日前まではずっとご自身で拝んでおられました。 この「お尋ね」の作法は、七年前に英照大僧正様が最初に入院された時に、「こうしなさい」と伝授されていました。 またこの時に、皇円大菩薩様の秘印を初めて伝授されました。

そしてご遷化の三、四日前に、皇円大菩薩様の二つめの秘印を、啓照、光照と共に授かりました。 それ以降、私が信者さん方の「お尋ね」もお勤めするようになり今に至ります。

何処に仏様をお迎えするか?

お参りする時には仏様をお迎え致します。 皆さん方もそれぞれご自宅でお仏壇の前に座り、最初に仏様やご先祖様に「ここにお越し下さい」と念じておられる事と思います。 仏様をお迎えするお仏壇には、仏像や絵像(掛け軸)があると思います。 皇円大菩薩様の仏像を祀られたり、旦那寺の宗派の御尊像や、その地域の観音様やお不動様など色々な仏様を祀られたり、ご先祖様のお位牌が祀られていると思います。

ここで質問をしますが、皆さんは仏様をどこにお迎えするのが良いと思いますか? 英照大僧正様を継いで持仏堂でお参りするようになって、仏様に仏像に来て頂くのが正しいのか、最初は少々戸惑いがありました。

皆さん方がご自宅でお参りされる時には、お仏壇の仏像に仏様をお迎えしてどうぞ宜しくお願いします、位牌にご先祖様をお迎えしてどうぞご先祖様助けて下さいとお参りされる事でしょう。各家ではそれで宜しいと思います。

私の場合は一ヶ月程悩み、英照大僧正様が遷化されたちょうどその頃、仏様を自分自身にお迎えするべきという確信に至りました。 正式に仏様をお迎えするには作法がございます。「鉤召印」で仏様をお迎えし、最後にお参りが終わったら「撥遣」で、仏様に宇宙に還って頂きます。

信者の皆さんからの祈願祈祷をお受けするようになって、身体の調子が悪いからお願いしますとか、下痢をした、熱が出た、癌になったから等々の「お尋ね」や祈願祈祷をお願いします…と、そういう思いを沢山お受けします。 そういった願い事の一つ一つを手に取り、しっかり読み上げて、皇円大菩薩様の御霊示に従って障りの有無、先祖供養を何座等と返し先祖供養、或いは病気平癒などの祈祷を勤めさせて頂いております。

そこで信者さん方の願いを叶えるための御祈祷をお勤めするわけですから、これは真剣に、仏様のお力をお借りしなければならないと確信しました。 ですから、仏様を私自身にお迎えしてお参りさせて頂いております。

中興成満以降の新たな道筋

お寺の中も、ここ最近ようやく落ち着いてきたと感じるようになりました。 本葬儀で蓮華院の住職に補任されて以来、寺内では「貫主様」と呼ばれるようになりました。 朝のお参りに始まり、信者さん方の「お尋ね」や祈願祈祷で日に四、五回お参りをお勤めしています。 このような一日のルーティンが、私の体に今染み込んできています。

これからお寺がどういう風に前に進み、変化しつつ新たな歴史を形作って行くのか。 八年前に多宝塔が落慶した時、英照大僧正様は、「これを以て蓮華院の中興は無魔成満しました」と宣言されました。

蓮華院は中興しましたが、それは即ち、これから新たな一歩を踏み出して行かなければならないという事も意味します。 再来年には奥之院の開創五十周年を迎え、さらにその二年後には蓮華院中興百周年と続きます。

それに向けて、今年は奥之院の五重御堂の外壁塗り替え作業を進め、来年には鐘楼堂と仁王門の外壁塗り替え作業を終わらせて、令和十年の秋に五十周年記念事業と、これは英照大僧正様にご相談の上、段取りを組んでおりました。

その二年後の中興百周年。こちらは本院が中心となりますので、六月十三日の大祭で百周年を祝う行事を執り行う事でしょう。 本院は形としては出来上がっておりますので、その内、必要な事が分かったり、先代がよく仰られたように、仏様の御指示があれば、有難いという風に思っております。

苦難を試練として乗り越えよう

葬儀が終わり、しばらくすると体調不良が二十日間続きました。 まだお参りに慣れない頃で要領も悪く、下痢と脱水症状に苦しむ中で、何とか持仏堂に籠ってお参りを続ける毎日でした。

腹痛が治まると、今度は肩甲骨に始まり、腰や背中、また肩甲骨、左肩、首筋、右肩と、体の至る所の痛みに耐え続ける毎日でした。 肩甲骨の最初の痛みが始まった時、私は父、真如大僧正様が住職になられた時の、足の付け根を錐で刺されるような痛みが続かれた事を思い出していました。 「どんなに痛みがあっても、お参りはしなければならない」と真如大僧正様は仰られたものでした。 ですから、これは私に与えられた試練だと思いました。 そう思えば、どんなに痛くてもお参りに行けるのです。

試練だと思えば必ず終わりがある。 試練だと思えば、この痛みは何とか良くなる。 それならなおの事、お参りしなければと肚を括りました。 皆さん方もどんなに苦しくても、どんなに辛くても、仏様の試練と思って下さい。

苦しみを罰や戒めではなく、仏様の与えた試練ととらえて、仏様の御心に適うよう努めて下さい。 仏様が与えて下さった一段上に進む機会と受け止めて、苦しみに向き合い、乗り越えるよう真剣に拝んで下さい。

私自身の試練は二十日間で一旦落ち着きました。 ですが蓮華院の御本尊、皇円大菩薩様はそんな生優しい仏様ではありません。いつかまた試練は下されるものと思っております。 皆さん方もどうか苦しみを試練と思って、お寺にお参りすることを一つの目標に、乗り越えて下さい。

お参りできるようになれば、次の段階で人の役にも立てます。 まずは家族に手を差し伸べる。優しい顔で、優しい言葉で、優しい心で、そして隣近所周りの人、職場の人、若い人達は学校の人、そういった自分の身の周りに、少しでも仏様の光を広げて行って頂きたいと願っております。合掌                             




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