内観で考えたテーマは、まわりの人々について、していただい た事、して返した事、ご迷惑をおかけした事でした。お世話にな った事は数多くあります。
まず生まれてから約３０年間、衣食住の世話をしてもらいました。 金額になおすと、かかった費用は約２千万円で、月平均で約６万円 かかっています。
家を建てた時の費用や車を買ったお金、それらの維持費などは換 算していませんので、それらも算入すると、もう少し多くの費用が かかっています。
そういったお金がかかっている事を理解し、その御蔭で自分が成 長し、生活できているということは、これまでも分かっているつも りでしたが、その事実をより深く理解して、自分がどのような生活 をしていけばよいかを、形式的にではなく、実質的に考えて行動に 移していかなければなりません。
また親以外の家族や親戚にも大変お世話になってきました。親は 物質的な世話を主にしてくれましたが、兄弟や親戚にも大変お世話 になってきました。兄弟や親戚は精神的なサポートをしてくれたと 思います。
自分の日々の生活の状況を多くを聞かずに察知して、そして時に は静かに見守り、時には冷静に進むべき道を説いてくれました。
それらの行動で自分は信頼されていると感じ、自分が好ましくな い方向へ進みかけた時は、そういった形のサポートを思い起こして、 自分であるべき道に戻っていくようにしていました。
現在もそしてこれからも多くの困難があって好ましくない方向に 進みそうになる時もあると思いますが、自分の周りに入るそういっ た人達の心を決して忘れることなく、また、自分の力も信じて、正 しい道に進んでいくようにしていきます。
一方、お返しした事は改めて考えて見ますと、実に少ないことに 気付きました。思うに人は、迷惑をかけられたことは良く覚えてい ますが、迷惑をかけた事はあまり覚えておらず、してもらった事は、 よほど大きな事以外はすぐ忘れ、してあげた事は、小さな事でもい つまでも覚えているというようなものかもしれません。
そういった感覚、いわば自分には甘く、人には厳しいといった感 覚は、どの人の心の中にも大なり小なり存在するということを、し っかり念頭において生活することが大切だと思いました。今からで も遅くないので、お世話になった人には、意識的にいろいろと返し ていかなければなりません。
ご迷惑をおかけした事は、自分で考える以上に多いと思います。 自分が何かしらのアイデアなどを思いついて、ただそれをすぐに実 行に移さず、何日間か放っておいて、そしてそのアイデアなどを読 んだりすると、とても完成度が低いという事が、実体験としてあり ます。
そのような例と似ていて、自分がした小さいと思われる事も、他 者から見れば思いのほか重大ということが、自分が思っている以上 に多いのだと思います。
そういった事実を常に念頭において生活をしていれば、現実に他 者にかけている迷惑も減っていくのではないかと思います。自分の 姿は自分では見えていないので、常に自分の姿を客観的に見ようと する姿勢が大切だと思います。
また、お世話になった事、ご迷惑をおかけした事は、自分の家族 や親戚以外にも多くあると思います。自分と関係のある他人はもち ろんですが、そうでない見ず知らずの他人にも多くお世話になって います。
自分が今快適な生活を送れているのも、先人の努力や苦労、犠牲 のもとに成り立っているということを忘れず、自分達がこの幸せな 世界を先人からいただいたのと同じように、自分達もこの幸せな世 界を、自分達の子などに引き渡していく必要があると思います。
また、今を一緒に生きている人にも、お世話になり、ご迷惑をお かけしていると言うことを忘れてはなりません。
最後に、人以外の物、生き物にも、人とまったく同じく、お世話 になり、ご迷惑をおかけしています。そのことをしっかり念頭に置 き、それらにもお返しをしなければならないと思いました。一週間 どうもありがとうございました。
