いまや、「がん」の発症率は3人に1人といわれる身近な病気になっています。自らがこの病気にかかりながら、『がん患者学』(長期生存をとげた患者に学ぶ)(晶文社)という600ページにのぼる大著を書き上げた方がいらっしゃいます。柳原和子さんです。
がんにかかりながら長期生存している人々や、日本やアメリカの医師の方々をインタビューしてつくられた、単にがん治療だけでなく、現代医療や文明のありかたにまで言及したすぐれた作品になっています。
がんはひとりひとり違う。(がんには個性がある。)治療法もひとりひとり違う。
「長期生存者の特徴」
西洋医学だけでなく、東洋医学・漢方や独自の健康法を実践している。
(がんにかかりながら10年以上生きている人々の生活)
何よりも生き抜こうとする意志が強い。
プラス思考で活発である。
玄米菜食中心の食事。(日本の伝統的な食事がよい。肉よりは魚、魚よりは野菜・きのこ・海草)(野菜は特に緑黄野菜が重要)(小食と十分な咀嚼)
禁煙。お酒は飲まないか、少量。
適度な運動をしている。
病院側からみると、ややルーズな不真面目な患者。(病院より、家庭や自然の中へ)
家族のサポート(物心両面)
上記の各種療法を実践した結果、がんが縮小したり、再発しなかった人もでているそうです。
「イメージ療法(イメージ・トレーニング)」
病気が治り健康になった自分の姿を想像する。
自分のリンパ球が、がん細胞を食い殺すイメージをする。
「適度に体を動かすことは、免疫力を高める。」
気功、郭林新気功、ヨガ、太極拳、操体、散歩、掃除、野山歩き、趣味など。
「がんのきらいな体にしよう。」
食事療法(穀類・野菜中心の食事。)
脂質の多い食物、とくに動物性のものを制限する。
食品はできるだけ、全体を丸ごと食べる。
健康食品で、ものすごく値段の高いものは、注意する。
「笑いの効用」
よく笑う人にはリンパ球のキラー細胞が多い。
ストレスが多くなるとキラー細胞値がさがる。
漫才、落語を聞く。
ユーモアスピーチをするなど。
「ストレス」
強いストレスも重要な原因のひとつか。
体力が低下している時に発病する。
あくせくしない規則正しい生活も大事。
「生きがい療法」
生きがい療法の日常的基本方針
生きがい療法実例
精神神経免疫学において、闘争心、生きる目標、ユーモアを持った心の状態が、免疫機能を高めるとされている。学習会は全国で行なわれている。
1.自分が自分の主治医のつもりでがんと闘う。
2.今日一日の生きる目標に打ち込む。
3.人のためになることを実行する。
4.死の不安、恐怖と共存する訓練をする。
5.死をいやいやながら認め、現実的、建設的準備だけはしておく。
有名なものに、がん患者のモンブラン登山がある。
シルバー人材センターに登録して仕事をしたり、また、ボランティア活動や趣味に精をだす人もいる。
「インフォームド・コンセント」
日本では、医者から患者へ知らせる(インフォーム)ことに重点が置かれ、アメリカでは医者と患者の治療法に関する合意(コンセント)に重点が置かれている。
我慢して医者にいい顔をする患者が一番いけない。日本人はもっと医師に質問したり、自分の状態を説明したりする方がよい。
「日本人と欧米人」
日本人「私はがんです。」(がんに私という全体が支配されてしまいがち。)
欧米人「私はがんを持っています。」(がんはあくまで私のなかのひとつの要素。だから、私という全体はコントロールできる。)
「長期生存がん患者の精神面の変化」
肩の力がぬけた生き方ができるようになった。
死に対する恐怖はあるが、それほど恐れなくなった。
がんになったことを契機に自分を見直してみることが重要。がんは自分のシャドウ。シャドウとどう生きるか。自分の影をただ取り去るということではなくて、影を通して自分を高めていくことが大事。
「ガンはあなたの何を不可能にさせるだろうか?」
がんは愛の力を弱めることはできない。
がんは希望の扉を閉めることはできない。
がんは信頼する気持を腐らせることはできない。
がんは平和を食い荒らすことはできない。
がんはあなたの自信を破壊することができない。
がんは友情を抹殺できない。
がんは思い出を捨てさせることはできない。
がんは勇気を沈黙させることはできない。
がんは魂を浮遊させることもない。
がんは永遠の生命を縮めることができない。
がんは精神の炎を消すことはできない。
(UCLA(カリフォルニア大学ロサンジェルス校)の女性患者向け新聞コラム欄より)
著者は長期生存者の療法(玄米菜食と運動)を徹底してまねた。その結果、
『こうした暮らしが、どのような症状を私にもたらしただろうか。
まず、最初に、すさまじいほどの便通の変化に驚かされる。バナナ一本どころではなく、すっくとした偉大なる数十センチメートルもの便が、すっくすっくと一日に多いときで いときで四回も出るのだ。結果として、一気に四キロの体重が落ちた。
次に、幼い頃から日常化していた肩凝り、偏頭痛、目の下の隈、肌のくすみが消える。 もっとも大きな変化は心理面に現れる。現象的に言うならば、苛立ち、焦りという感覚が生活から消えた。発病前の私は、始終、あらゆることに苛立っていた。将来を焦り、経済状態を焦り、仕事の成果、見通しを焦り・・・。だが、そうした苛立ちが一切、消えたのだ。
そして、次にやってきたのは季節とともに移り変わる自然の営み、生物のささいな日常、人々が生きてそこに在ることへのかぎりない敬意と感動、そしてそれらに囲まれて生きている我が身を支えてくれている家族・友人・近所の人々への感謝だった。
過去を贖罪し、今日一日を生ききる。
望むものはきわめて単純だ。
やすらかな死。
あわよくば得られるかもしれない生。
生の中身もまた、きわめて単純だ。
眠り、触れ、感じ、考える……。
結局、私は丸々2年間、徹底して仙人のような暮らしをつづけた。今、すべての数値は最高の状態で進んでいる。』
がんの予防方法は、がんだけでなく病気全般についても有効だと思われます。皆さんもご自分の生活を見直して、自分なりの健康法を実践してみては如何でしょう。
ものみなうつり変わり、現れてはまた滅びる。生滅にわずらわされなくなって、静けさ安らかさは生まれる。(大般涅槃経)
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