今回は、この頃増加しているわりにはその原因や治療法がよくつかめていない、摂食障害(拒食症、過食症)について、詳しく論じた良い本がありましたので、皆様にご紹介させていただきます。
摂食障害は、心の問題が原因になっている。
「良い子ちゃん good little girl」であろうとしすぎるところからくる、「自己懲罰願望」が引き起こす自己破壊的行為のひとつとも言える。
「母・娘カプセル(共依存関係)」の不幸な関係。お互いの精神的独立(親離れ、子離れ)が必要である。
摂食障害(過食・拒食症)にもいろいろなタイプがあり、また、強迫神経症などを併発する場合もある。
すべての娘達が、異性に関心を向け、社会に出、スムーズに親離れを達成できるわけではない。親離れしようとして挫折を繰り返しすぎると退行し、ついには胎児化してベッドに横たわるまでになる。過食・拒食症とは、性欲を食欲に転換させた状態であるとも考えられる。
「良い子」の意識から排除された自己が表現する行為の一つでもある。少女達は、親の期待にそって普通に食べることの出来ない自分を責めながらやせていく。そしてその痩せた体で親への不服従を表現する。あるいは過食へと走る。その時娘達は親への怒りや反抗を意識的にあるいは無意識的に行っている。こうして取り入れられた「悪いモノ」は嘔吐や下痢とともに排出され浄化される。
嘔吐を繰り返すと癖になり、快感を覚えたりする。しかし、その後で激しい自己嫌悪に陥り、落ち込むことが多い。
摂食障害者で、自殺あるいは、自殺未遂(リスト・カット等)や窃盗を起こす者もいる。
過食症者の心理的問題点・・・・・完璧主義。抑うつ・怒り・不安。食べ物に対する激しい執着。理想の体重や体型を厳しく追及しすぎる。低い自尊心。自分の体型に関する間違ったイメージ。低い自制心。異常な食習慣および食行動。率直に感情を表現できない。
摂食障害の身体への影響・・・・・月経異常。胃腸障害。皮膚の乾燥。歯や歯茎の障害。電解質異常。腫れとむくみ。咽喉や食道の障害。耳下腺膨張。
摂食障害を招きやすい家族の要因・・・・・きわめて貧しいコミュニケーション。アル中など依存症者や精神病者がいる。「良い子シンドローム(症候群)」を抱え込んだ家族。祖父母まで含めた家族の問題(夫婦仲、嫁姑等)がある。「完全な家族」「過保護の家族」「無秩序の家族」。
両親が自分達の不仲・離婚問題等から目をそらすために、娘の摂食障害を無意識的に利用している場合がある。このような場合、娘の病気がよくなると、無意識的に妨害することもある。
摂食障害者は病気を通して、家族の関心を引き、(行為よりも)彼女自身そして彼女の気持に対して、誰かに反応を示してほしいとのぞんでいる。
摂食障害者は支配的な親に対して、摂食障害の症状により無意識的に家族をコントロールしようとする場合もある。
家族にできる最大の援助はコミュニケーションの改善である。
良い子シンドロームを取り除く努力をする。娘はあるがままで愛されるのであって、親の気に入る良い子を演じたら愛されるのではないことを知らせる。完全でなくても良いと教えてあげて下さい。彼女自身が何を必要とし、何を望んでいるかを、もっと見つめることが出来るように手助けしてあげて下さい。
家族内の力の配分を見直す。必要なら発言力を是正。
摂食障害者はよく不機嫌になる。摂食障害者は食事やしたことについては何度も尋ねられています。彼女の行為より、気持・感情を聞いてください。そして、彼女が感情を表現した時、その感情に耳を傾け、受け入れてあげてください。彼女の気持を否定するような励ましは避けましょう。
患者も家族も、治癒には時間がかかることを知り、忍耐強く寛大な心で、長期間かけて取り組むことが必要である。また、病気も家族も100パーセント完璧に治さないとダメだと思わない方がよい。
摂食障害者の不合理な考え方の特徴・・・・・オール・オア・ナッシングの考え方。(ひとつの失敗の)一般化のしすぎ。マイナス思考。否定的結論への飛躍。拡大解釈と過小評価。感情的決めつけ。「すべき」思考。
摂食障害者の人へ・・・・・「自分や他人のしていることのすべてを赦(ゆる)せ」「人のしている事で無駄なことは一つもない」「日常生活の中で感謝する事やものを探し、ありがとうと言う」
軽い運動もよい。摂食障害者は運動も適度にできず、やりすぎる傾向があるから、その点に注意すれば効果がある。
摂食障害の専門医師の診察を是非受けてください。心療内科のある病院がいいでしょう。東京都港区の家族機能研究所(著者の研究所)や、鹿児島大学付属病院や、内観療法を併用している病院等。軽い場合は内観だけでも効果がある。また、各地にセルフ・ヘルプ・グループがありますので、それにも参加されることをお勧めします。(終)
心を信じない人は、自分のことだけを思いわずらうから、心が狭く小さく、いつもこせこせと焦るのである。しかし、仏を信ずる人は、背後の力、背後の大悲を信ずるから、自然に心が広く大きくなり、焦らない。(大般涅槃経)
この心を貪りから守り、瞋り(怒りや憎しみや恨み)から守り、あらゆる悪事から守る人に、まことの安らかさが得られる。(法句経)
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