1998年8月10日第39号
幸福ニュース

【 本当のお盆供養】
(ご先祖様から拝まれる人)

皆さん、毎日暑いですね。さて、今年も民族大移動の季節、お盆がやってきます。皆様方もお墓参りをされたり、家にお坊様を呼ばれて、ご先祖様の御供養をされることと思います。そういう事も立派な先祖供養で、大切な事だと考えます。

でも果たして、それだけでいいのでしょうか。せっかく、お墓参りしても、{墓参りしてくれたのはありがたいが、お前の日ごろの生活や行動は何だ。我々先祖の名折れだ。あの世で我々も肩身が狭い。もうちょっと仏様の教えを守って、まともになってくれなくては困る。}とご先祖様からお叱りを受けるようでは、何にもなりません。

逆に、{おう、お前みたいに立派な子孫が育ったおかげで、我々先祖も鼻が高い。これからも頑張っておくれ。我々も陰ながら応援しよう。}と、逆に先祖様から拝まれるくらい立派な人になる事も、本質的な先祖供養につながるのではないでしょうか。

立派な人と言っても、地位が高いとか、大金持の事ではありません。仏様の 教えを実行している人という意味です。

では、数多い八万四千の法門の内、何を実行すればいいのか。それは、6つの善い行い(六波羅蜜)ではないかと思います。6つの善い行いとは、布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧のことです。この6つを修めると、迷いのこの岸から、さとりの彼の岸へと渡ることができるので、六度とも言います。

布施とは、人助けのことです。思いやりの気持ちを持ち、自分のできる範囲で小さな人助けを毎日ひとつ以上実行しましょう。

顔でもってにこにこして、明るさを相手に与える。これを和顔施といいます。とくに女性の方は、朝一番お化粧されることとおもいますが、お化粧だけでなく、鏡にむかって、にっこり微笑んでいただければと思います。それでもって、家族の方、隣近所、あるいは、職場で朝の挨拶をいたしますと、皆様方の笑顔でもって周りがだんだん明るくなってまいります。

ぎゃくに、朝から、角をはやしていたり、メソメソしていますと、御主人が仕事でミスをしたり、子供さんやお孫さんが怪我をしたりする場合もありますので、御用心くださいませ。笑っていけないのは、お葬式と供養の時だけです。男性でも、明るい人と暗い人、どちらが好かれるか、すぐお解りいただけると思います。

次に言葉による人助けです。人間の性として、人の悪口や、うわさ話は大好きです。嫁の悪口をいっていたら、お鍋がこげてしまったというようなお話をよく聞きます。また、赤提灯花盛りです。でもそれだけ言っていると、自分の運勢がわるくなってしまいます。{ありがとう。ご苦労さん。}と誉め言葉と感謝の言葉をたくさん言いましょう。

あと、小さな親切運動というのがあります。これを身近なところから始めて、広げていきましょう。そのほか、仕事を通して、お金とか物を寄付して等、色んな形での人助けがあります。一日ひとつ以上実行しましょう。

持戒とは、ルールを守ることです。狭くは、十善戒ですが、広くとれば、社会の規則をまもりましょうという事です。もっと平たく言えば、悪い事をしないで善い事をしましょうという事です。

忍辱(にんにく)とは、ニンニクをたくさん食べてスタミナ一杯、健康になりましょうということではありません。日々、いやな事、迷惑な事があるけれども忍耐しましょうという事です。

次のような実話があります。大晦日の夕方、博多駅のプラットフォームで肩と肩がぶつかり、喧嘩になりました。一人が押され、線路に転落しました。ちょうどそこに電車が入ってきて引かれ、死んでしまいました。即死でした。もう一人の人は殺人罪でつかまり、刑務所で服役する事になりました。ちょっとがまんして、あやまっていれば、ゆずっていれば、二人とも無事に家に帰れ、何事もなく、新年を迎えられたのです。

お客や上役は勝手な事をいうものです。部下は自分の言う通り動きません。でも、考えても見て下さい。自分の子供は、いや、あなた自身すら、自分の思う通りにコントロールできていますか。お天気にいつまでも文句をいう人はいません。でも、人が自分の思う通り動かないといって、腹をたてるのが人間です。{できぬ堪忍、するが堪忍}といいます。たとえどのように重要と見える事でも、宇宙レベルでみれば、しょせん全ては小さな事なのですから。

精進(しょうじん)とは、努力しましょうという事です。線香の火はいったんつけると少々風が吹いても消えません。自分の目標に向かって、一歩一歩前進していきましょう。{焦らず、無理せず、怠らず。}です。

禅定(ぜんじょう)とは、どういうピンチにも対処できるように、落ち着いた心を育てましょうという事です。

智慧(ちえ)とは、本当の智慧、仏様の智慧を育てましょうという事です。一片のパンで道をあやまったジャンバルジャンのような例もあります。重要な事は、目先の利益にとらわれず、すくなくとも十年、できれば、あの世まで含んだ長さでみて、判断したいものです。

果たして自分は、ご先祖様から拝まれるぐらいになっているのか、あるいは、怒られる方か、どちらなのか、よくよく考え再出発する季節、それもお盆なのではないでしょうか。合掌

【坂村真民詩集】
《深みと静けさ》

仏の教えは
高みでなく
深みにある
下へ下へと
どこまでも
己れを
掘り下げてゆく
ところにある
たとえて言うなら
深海の底に
己れを置き
生死(しょうじ)を見極める
その深さと
静けさにある

《わたしのために日本は敗けた》

わたしのために
日本は敗けた
わたしのために
無条件降伏をした。
敗けなかったら
わたしはくだらぬ人間で
終ったであろう
敗けなかったら
わたしは真に日本を愛さず
死んだであろう
敗けなかったら
わたしは四国に渡ることもなく
仏縁にも会わなかったであろう
杉村春泥先生にも
めぐりあわなかったであろう
{詩国}も生まれなかったであろう
わたしのために日本は
かってない歴史をつくった
その苦杯を受けた
だからわたしはこの事実を
書きのこす使命がある
大詩霊さま
わたしをお守りください
この願いを成就させてください

【仏語集】

心は軽躁動転し護り難く御し難し、智者は之を正しくす、なお、弓匠の箭(や)におけるが如し。

心の貧者を離れ、思慮擾乱せず、己に罪福(よしあし)(の想い)を離れ、覚悟せる人には畏怖あることなし。

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