今回は、小学館発行『この国を出よ』を紹介致します。この本は、 大前研一氏とファーストリテイリング(ユニクロ)会長柳井正氏 との対談集です。全国民必読の好著です。特に政治家の方々に読んでも らいたいと思います。
第1章「絶望的状況なのに能天気な日本人」
1.日本はまだまだ強いと思い込んでいる日本人が多すぎる。
2.2008年度日本の貿易収支が28年ぶりに赤字になったのは、日本国内で作られる工業製品が国際競争力を失ったからである。
3.財政危機のギリシャとの共通点
a.悪化した財政の実情を国民に隠していた。
b.予算のバラ撒きを続け、国民もそれに甘えてきた。
c.あり余るほどの公務員を抱え、高い給与を払ってきた。
4.夕張市の現状は日本の明日の姿。夕張市の1万倍が日本。市民サービスの大幅な低下。税金・公共料金の大幅引き上げ。市職員の早期退職や給与削減などの行政改革が進行中。
5.生活レベルを2分の1に落とす必要がある。
6.3年〜10年以内に日本は国債デフォルトの危機に陥る可能性が高い。今や世界は「日本破綻」に備え始めている。
第2章「誰がこの国をダメにしたのか?」
1.日本の政治家は、国民の為の政治家ではなく、選挙のための選挙屋である。
2.各党とも将来の日本をこういう国にするという国家像・ビジョンがなく、効果の薄いバラ撒き政策を続けているだけである。大衆迎合を続ければ、日本は沈没する。
3.例えれば、年収370万円の家庭なのに、毎年920万円も使い、しかも1億円の借金があるのが、日本の現状。
4.役所から保護されなかった産業や企業ほど成長してきた。保護政策で生き返った産業は過去一つもない。
5.日本の税制は、企業成長のブレーキになっている。
第3章日本病
1.変化を嫌い安定志向の日本の若者。
2.変化し続けようという姿勢を感じる日本人や企業が殆んどない。
3.金儲けだけが目的で、ビジネスを通じて人を幸せにしよう、世の中を良くしようという志を持った社長も少ない。
4.日本は、アジアナンバーワンの成長を遂げたシンガポールなどに学ぶべき。
5.シンガポールは国全体がプロジェクト主義で、官僚組織も固定せずに、目的を達成したら、解散したり、民営化する。
6.現在の日本の教育は考える力を奪う教育で、弊害が大きい。北欧諸国の教育をお手本にするとよい。
7.サラリーマン根性の蔓延と共に日本経済は衰退した。
第4章「理想の仕事探しより自力で食える人間になれ」
1.「企業は社会の公器であり、企業の目的は顧客の創造である。」(ドラッカー)
2.「企業側が何を売りたいか」ではなく、「顧客は何を求めているか」を追求するのがビジネス。
3.ビジネスマンに最も求められるのは「問題の本質を見抜いて解決する力」
4.世界が相手ならチャンスは50倍に広がる。
第5章「21世紀のビジネスにホームもアウェーもない」
1.グローバル化は最大のビジネスチャンス。日本市場にこだわり過ぎるとチャンスを逃す。
2.アジアや新興国市場に挑戦しよう。一度や二度の失敗であきらめない。
3.フィンランドの通信機器メーカーのノキアのように、国境を意識しない「オール・ホーム」という発想。
4.優秀な外国人社員が競争相手になる時代が来ている。
5.アジアやアフリカの人材にもっと注目し、採用しよう。中国、インドは人材の宝庫。日本人は世界を知らなさ過ぎる。
6.2010年3月のパナソニック・ショック-------採用人員1390人の8割を海外で採用する。
7.ファーストリテイリング(ユニクロ)の今後の日本人採用は、年300人で固定する。外国人採用は2011年700人、2010年1200人と増やしていく。
8.楽天やファーストリテイリングでの英語の社内公用語化。
9.日本企業の緊急の課題は、リーダーシップ教育と英語力。ブロークン・イングリッシュが世界の主流。
10.韓国のサムスン電子の入社条件は、TOEICで900点(990点満点)、課長は920点。ソニーの課長は650点。英語力の差が業績にも出ていると言う人もいる。
11.お客様からも、社会からも、社員からも喜ばれる近江商人の「三方よし(売り方よし、買い方よし、世間よし)」の経営哲学を実践。
第6章「日本再生のための経営改革案」
1.日本の財政危機。2010年10月で900兆円の借金。GDP(国内総生産)比は200パーセント。ギリシャを上回る最悪の状況。
2.消費税増税は避けられない。
3.所得税や法人税をもっと低くして、使う人や企業にはどんどん使ってもらわないと、経済や雇用は縮小していく。(現行法人税はシンガポール11%、日本40%)
4.個人所得税と法人税と相続税をゼロにして、世界の富裕層や企業を呼び込め。消費税(食料品以外)は上げる。
5.「費用対効果」も考えない政府はもっと小さくしよう。
6.行政も企業も人も時代に合わせて変革できなければ死滅する。
7.三大改革の提案
a.政治家の人材育成。若手議員を10年計画で鍛える。サッチャー元首相も経済戦略研究所の副所長を何年間も務め、小さな政府実現の実行を可能にする研究を徹底的に行っていた。
b.参議院を撤廃して一院制にする。参議院議員242人で年間170億円の経費。それ以上の役立つ仕事をしているか?同時に衆議院も定数100人の大選挙区制に改革する。
c.官僚のリストラ。名古屋市役所の給与は世界一企業のトヨタより高い。解雇を可能にし、役人を雇用するシステそのものにメスを入れる。他国の公務員改革も参考にし、実績を出した優秀な官僚が出世できるようにする。
8.教育改革----次世代を担う人材を育てる為の教育改革が必要
3つの主要綱目
a.顧客----企業や社会が欲しがるような人材を育成する。
b.競争相手---世界の教育はグローバル化する経済活動に対応できる教育。英語力・IT・ファイナンスとリーダーシップ力と世界的視野。
c.自分---分析力・問題発見把握力・解決策・実行力・反省力の育成。暗記力養成ではなく、あらかじめ用意された答えのない、「自分で考える力をつける」教育。教師は、子供達が、「答え」を探して見つけるための伴走者。デンマークでは、幼稚園の時からリーダーシップ力や企業家精神の養成も図っている。
9.文部科学省に変革は無理。企業が上記概念を取り入れた学校を設立して、教育改革の先陣を切り、韓国やドイツのように保護者の意識を変え、学校を変え、社会を変える必要がある。
10.日本を出よ。そして将来日本へ戻り、日本の発展も加速させよ!
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