今回は、大前研一氏の著作『民の見えざる手』(デフレ不況時代の新・国富論)を紹介させていただきます。今後の日本の針路を推測するための好著です。多くの人に読んでいただき、日本を良くしていきたいものです。
第1章(現状認識)縮み志向ニッポンと「心理経済学」
a.日本の景気は良くならない。景気循環説は世界中がつながったボーダーレス社会では通用しない。
b.今後は心理経済学が重要。日本の消費者はお金があっても使わない。お金があっても使わない人々の財布の紐をどう緩めるが大きな課題。
c.中間がなくなって、高級と格安の二極化。一人十色の消費傾向を示す事が多い。
d.日本の20代〜30代は物欲・出世欲喪失世代である。
第2章(目前にある鉱脈)拡大する単身世帯需要を狙え
a.会社というものは、「顧客に奉仕すること」以外の目的を持ってはいけない。大きくしよう、建物を建てよう、売上高いくら、店舗何店・・・といった自己中心的な別の目標を優先しすぎるようになったら、事業は失敗する。また、本業以外に熱心になると、病人やトラブルが多発する。
b.安くすれば売れるのは幻想。数字を追うと、最後は価格競争になり、儲からなくなる。
c.日本での高級ブランド市場半減の衝撃。ブランド離れは、金がないからではない。
d.「自分たちの顧客は誰なのか?」「彼らは何を求めているのか?」という原点に立ち戻るべきである。
e.日本の標準家庭のマジョリティは「単身世帯(一人暮らし世帯)」になった。しかも、各年代に共通している。四人家族(夫婦+子供二人)」は2番目になり、日本の消費に本質的な構造変化が起きている。
f.どこで買っても同じ左脳型商品だけでなく、実際に見たり、触ったり、試着したり、試食したりして確かめる必要があるもの、即ち右脳型商品までも、ネット通販は伸びている。主戦場はリアルからネットへ移りつつある。
g.人は選択肢が増えると選択しなくなる。eコマースの発達により、購買行動の主導権が消費者に移ったのは、革命的変化である。
h.電子マネーで巨大なビジネス新大陸が誕生。ポイントが消費者の購買行動に影響を与えている。電子マネーとポイントと携帯電話を統合した企業が、デジタル戦国時代の通貨を統べるであろう。
第3章(外なる鉱脈)新興国&途上国市場に打って出る
a.今や新興国は世界経済の成長を牽引する役割を担うようになった。中国を先頭に、台湾、ブラジル、ロシア、インド、ベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチンなどが急成長を遂げている。
b.中国は輸出主導の第1ステージから、内需主導の第2ステージに入った。
c.新興国攻略には、最低20年かかる。20〜30代の若手のトップクラスの人材を現地に骨を埋める覚悟でやらせないと、新興国の国内市場に入り込むことはできないだろう。 あるいは、現地からの留学生を採用して、日本で経験を積ませて現地に送り込むという方法もある。会社の経営資源の半分を現地に注ぎ込む必要がある。
d.中国よりもインドネシアが魅力的。中国よりも人件費が安く、内需主導の第2ステージに突入しており、親日的である。
e.マーケットが縮小する日本では努力しても報われない事が多いが、新興国にはまだまだチャンスが眠っている。
f.ロシア脅威論からロシアお客様論へ転換を。核弾頭を再利用し、ウラン濃縮、原発建設、再処理の一石三鳥をはかり、日露ビジネス安保を構築せよ。
第4章(規制撤廃が産む鉱脈)真の埋蔵金=潜在需要はここにある
a.無限のアイデアを産む「戦略的自由度」という手法
(1)まず「目的は何か?」と質問する。「お客さんは何を求めているのか?」
(2)その目的を実現する為の方法を調べる。
(3)その中で一番コスト効率がよく、お客さんにとっても一番インパクトが大きいものを考えていく。
b.日本は海外からは殆ど借金をしていないので、経済政策は少しぐらい時間がかかっても、腰をすえて、やるべきことをやればよい。ところが、日本政府は緊急経済対策ばかりやってきた。効果が上がっていないのは実証済みで、借金ばかり増えた。国は患部以外を緊急手術するヤブ医者である。
c.最も緊急経済対策が必要で、最も費用対効果が大きいのは、田舎ではなく、大都市である。人々のニーズや経済低迷の本当の原因を考えずに、やりやすい所からやるから、間違ってしまう。国民の個人金融資産が1400兆円もあるが、いずれ官僚は国民をだまして、それを食いつぶすだろう。
d.国民のグッドライフ(充足感や充実感のある人生)を実現することが国の目標であり、政党の公約やマニフェストやアジェンダにすべきである。
f.民主主義の政治目標は、「最大多数の最大幸福」である。政治家は、「国民の生活の質を上げると同時に、コストを下げます。それに抵抗する官僚や利権団体は徹底的に叩きます。国民の皆さんは人生をエンジョイして下さい。もし、生活できなくなっても、セーフティネットを用意しています。」と言うべきである。
g.避けるべき事3つ。増税しない事。税金を財源にしない事。外国頼みではない事。
h.死蔵されている大都市の市街化調整区域を広域にまとめて計画的な開発を行い、住宅地や商業地にしていくとよい。利権を失う役人以外は誰も困らない。また、湾岸100万都市構想を実現させれば、無から有を産む最大の財源が誕生する。容積率の大幅緩和も必要。
i.地方自治体の安全・安心ですみやすい街づくりの発展を邪魔してきた中央集権をやめ、すべてのルールは住民が決める地方主権に制度変更すべきである。国民の為にグッドライフをローコストで達成する競争が出来るようにしなければいけない。
j.本当の霞ヶ関の埋蔵金は、中央官僚が独占していた「権限」なのである。地方に無限の権限を与えればよい。(続)
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