私は今回、内観という機会を与えて頂いて、本当に良かったと 感じています。
仕事を一週間中断してまで受ける内観とは一体どのようなもの なのか。それだけの価値に相当するものなのだろうかという点で は、やや不安はありました。上司からは、「遊び半分ではなく、真剣にやってみればわかる」と言われて今回の内観に臨んだ次第でした。
私は神も仏も信じておらず、何の信仰も持っていない大変不信 心な者です。しかし、研修の期間については別です。内観に真剣 に取り組んだのはもちろんのこと、般若心経の経本も内容を理解 しながら読経させて頂きました。
お坊さんの説法に対しても、自分自身のことに重ね合わせなが ら聞かせて頂きました。この一週間だけは、他の誰よりも熱心だ ったと自負しています。
両親についての内観を行った時が、一番多くの事に気付かされ ました。父も母も陰となり日向となり、常に私を見守り助けてく れていたのだということです。
目に見える形での援助は当然気付いていましたが、その他にも 人生のいろいろな場面で、精神的な支えとなってくれていました。 父は私に自身とやる気を与えてくれていましたし、母は心の落ち 着きと安心感を与えてくれていました。
私は今まで自分なりに父と母に感謝の念を持ち、事あるごとに 少しずつ返してきたつもりではいました。しかし、まだまだ足り ていませんでした。
特に私が交通事故の後遺症で苦しんでいる時に、どれだけ父と 母が支えてくれた部分が大きかったことか。私一人で乗り越え、 克服したかのように振舞っていたことを恥ずかしく思います。
これから先、父と母に受けてきた多くの恩をどうやって返して いくか、ゆっくりと考え行動したいと思っています。
妻についての内観を行った時に気付かされましたのは、不信心 な私が言うのも何ですが、運命ということについてです。
私は妻と出会い、今一緒に過ごしていけていることに大変な幸 せを感じています。子供も2人授かり、多忙ながらも楽しい毎日 を過ごさせていただいています。
しかし、よくよく考えてみますと、九州から東京に私が来てい なければ、妻とは出会わなかった訳です。もっと言えば、東京に 出てくる元々のきっかけは、交通事故にあったことなのです。
あの時事故にあっていなければ、今の幸せな生活はないのだと 思いますと、非常に不思議な感じを受けます。人生とは偶然の必 然的なつながりによって成り立っているのではないのか、と気付 かされました。
これから先、何があるかわかりません。良い事も悪い事もある に違いありません。そのひとつひとつの偶然を縁として受け止め、 人生を妻とふたりで力強く歩んでいこうと、今回の内観で感じま した。
父と母、そして妻について内観させていただき、加えてお坊さ んから助言やお話を聞かせていただいて、その総論として私なり に思ったことがあります。
私は、人間というのは広い宇宙の中で見れば、ちっぽけな存在 であり、人は結局は独りで、他人との出来事というのは、人が自 分の心の中に作り上げた幻想に過ぎない、と今までは考えていま した。
しかし、考え方が大きく変わりました。人は独りではなく、常 に誰かと支えあい、助け合いながら生きていくものだと。
また、その一つ一つの出来事に感謝し、感謝されることで、こ の世界は成り立っているのだと思いました。
うまく言い表すことは出来ませんが、すべての出来事はつなが っているのだと、自分でも気付きましたし、教えられました。
有意義な7日間が過ごせて良かったです。帰ってからも、今こ の気持ちを忘れずに、毎日を過ごしていきます。
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