今回は、小林正観著『お金と仕事の宇宙構造』(宝来社)から、小林流の金銭観と仕事観をお伝えしたいと思います。
今までの正統的経営法は、次のようなものが基本でした。
1)目標を明確にする。
2)事実を事実として正確に観る。
(予断・色眼鏡を捨てて白紙で物事を見る。色んな人から情報・意見を聞く。数字でみる。さまざまな角度で見、考える。)
3)現場主義(現場に行って、直接見る、聞く、調べる)
4)実績主義(言う事ではなく、実際の行動や実績を観る)
5)YESマンを退ける、自己規律をもった人を役職者に据える、社会常識・モラルを守る等々。
ところが、小林先生は、従来とは違うお金の生きた使い方や、一味違った、より深い経営観と、具体的な実践法が述べられています。是非ご一読いただけたらと思います。
いかにお金を貯めるかではなく、いかに喜ばれるお金を使うかを考えるようにするといいと思います。例えば、はやらない店に行って、お金を使うというのも、お金を生かして使う一つの方法です。
まずは、自分の出せる範囲でお金を出す、つまり、「先に施しをし、まず喜ばれるように使う」ことから始まります。だから、「ゆとりがあったら、それができるのに」と思うのは順番が違うらしい。ゆとりがない人は、施しをしていないからという原因による、結果らしいのです。
それは金額の問題ではありません。割合の問題です。自分にゆとりのない人が1000円のうちの100円を出す。その100円が、神・仏から見ればとても素晴らしいことなのです。(『富者の万灯より貧者の一灯』)
そして、返ってくるときは、倍返しで返ってきます。これも、宇宙の摂理・方程式です。愛情を投げかけると、愛情が倍で返ってきますが、憎しみを投げかけると、憎しみが倍で返ってきます。
不平不満・愚痴・泣き言・悪口・文句を宇宙に向かって5分言うと、「私」を題材にした不平不満・悪口というものが、宇宙のどこかで、倍の10分は言われます。同じように、「あの人はとっても素敵な人で」と、人の良いところを賞賛して1時間しゃべると、自分の良いところをどこかで2時間語ってもらえます。宇宙は、必ず倍返し。プラスもマイナスも倍返しです。
近江商人の飢饉普請
これは、「飢謹になって周りの人が困ったら、増改築をしなさい。必要のないところでもいいから、増改築をしなさい」という思想です。つまり、蔵の中に貯めこんでいた富を放出しろ、ということなのです。
そうすると、その蔵のお金は、いざというときには自分たちのために使われるかもしれない。そういう使い方をしてくれる人のところに富を集めようと、みんなが思うに違いありません。逆にいうと、近江商人の商人道というのは、周りの人が困っているときに、いくらでも富を放出することにありました。そのために周りの人たちが一生懸命に支えてきたということのようです。
お金自身が一番嫌がる使い方(使われ方)は、ギャンブル、だそうです。ギャンブルを「楽しむ」というのはまだいいようですが、一獲千金を狙って、「このお金で借金を全部返そう」というような使い方をすると、お金はすごく嫌がります。
2番目に嫌がられるのは、お金が入ってきたときに生活が変わること。贅沢華美ということを、お金は嫌がります。
3番目に嫌がられるのは、貯め込まれること。「水とお金は、流さないと腐る」といいます。だから、お金は貯め込んではいけません。貯め込んでいると腐ります。「私には、腐るほど貯めているお金はない。貯まったら使いましょう」と言う人がいますがこれは逆。先にお金を出して喜ばれるように使うと、お金が入ってくるらしいのです。
あるあばあさんの話
人口が3000人くらいの村での話です。その村で、78才のおばあさんが亡くなりました。そうしたところ、3000人の村民のうち1500人がこのおばあさんの葬儀に参列したそうです。村長が死んでも800人だったのです。何か特別な事をしたのかと、地元の記者が調べました。そのおばあさんは、死ぬまで、安いスーパーではなく、高くても自分の教え子の店でしか物を買わなかったそうです。特別なことは、ただそれだけでしたが、葬儀の時に大勢の人が集まったのです。
お金の使い方というのは、「自分にとって安ければいいのではない」ということを頭に入れてほしいと思います。お金は喜ばれるように使ったら、いくらでもお金自身が喜んでやって来ます。でも、お金や他人に喜ばれるように使うのではなく、自分がいかに喜びたいかだけを考えて、「いくらでもいいから1円でも安く、安く」と思って使っていると、お金自身は集まってきません。これも宇宙の原理・原則です。
ですから、お金をいかに喜ばれるように使うかということです。お金をいかに喜ばれるように使うかということは、お金の問題も含めて、いかに自分が喜ばれる存在になるかということにほかなりません。
私達が汚れていると思っている所を掃除すると、「我欲」「執着」「こだわり」を取ることができるようです。「我欲」「執着」「こだわり」を捨て、透明な心になると、つまっているゴミがなくなって、上から勝手にお金が入ってきます。この「我欲」「執着」「こだわり」という精神的なゴミを取り去るためには、掃除をすればいいのです。精神的な掃除ではありません、本当の掃除をするのです。特に、トイレ・流し・洗面所をきれいにすると、犯罪も起きにくいようです。また、「我欲」「執着」「こだわり」を捨てると潜在能力も発揮しやすくなります。
イチローという選手は、時間があると、自分でバットやグローブやシューズを磨いているそうです。このように、自分が生活をさせてもらっている道具に対して、すごく丁寧な接し方をする人がいます。自分が世話になっているものに対して、感謝の念をもって接している人は、必ず何をやっても恵まれます。実は、自分の力ではなく、自分の周りのお蔭で何でも成り立っているのです。道具だけでなく、人にたいしても、「ありがとう」「ありがとう」と言いながら生きていると、いいみたいです。
絶対に倒産しない方法をお教えします。それは、倒産しそうになったら、自分の会社の従業員が自分の預貯金を持って来て支えてくれるような会社になることです。でも、普段からノルマ、ノルマで社員を痛めつけている会社は、絶対に支えてもらえないでしよう。
「喜ばれる存在」というのは、お客さまに喜ばれるだけではなく、自分の一番身近である社員から喜ばれる存在になるというのが第一歩です。そこから始めないと、社員はその会社を支えてはくれません。
日本の経営者というのは、どうも、「お客さまは、神さまだ。お客さまに対して笑顔を向けなさい。やわらかな応対をしなさい」ということは言いますが、社員に対して、やさしく、穏かに、にこやかに接する社長は、多くないようです。社員を痛めつけるだけ痛めつけて、その向こうにいるお客さまに笑顔を出せというのは、無理でしょう。
なぜ、何年も生活の面倒をみてきた人を痛めつけてしまうのでしょうか。私はとても不思議に思います。なぜこの人達を味方にしていかないのだろうか。この人たちが味方になって、この会社を潰したくないと思ったら、必ず一生懸命に働くようになるでしょう。
これを「モチベーション」といいます。「モチベーション」というのは、やる気にさせること・動機付けという意味です。また、「モチーフ」というのは動機、「モチベイト」というのは、やる気にさせるという意味です。企業の経営者やトップにいる人にとっての一番楽しい仕事は、「社員をいかにモチベイトするか」ということではないでしょうか。
みんなで全体で底上げしようという考え方はやめましょう。まず、一人勝ちをすることです。面白がって喜んで、「自分が楽しくて楽しくてしょうがないからやっている」という「私」をつくりあげることです。
例えば、ある人を中心として、その宿がものすごくはやったら、その宿に納入する業者もどんどん潤ってきます。その宿に野菜を売る人も潤います。だから、自分の宿に人が来るようになったときに、自分のところにお金を貯め込むのではなくて、その儲かったお金を周りの人に全部、どんどん、まいていくような生き方をするというのが一人勝ちの思想です。ひとりで貯め込めと言っているのではありません。いかに自分が喜ばれる存在になるかを考えることです。
私は「うたし会」という異業種交流会を主宰しています。この会では、どうしたら儲かるか、どうしたら売り上げが上がるかを考えるのは一切やめて、どうしたら喜んでもらえるか、どうしたらお客さんに「うれしい、楽しい、幸せ」と言ってもらえるか、ということを考えています。はやっているところは「どうしたら喜ばれるか」を考えていて、はやっていないところは「どうやって儲けるか」を考えています。儲けることばかり考えていたのでは、お客さんが全然来ません。「どうやったら喜んでもらえるか」だけを考えれ ば答えが出るのです。
経営の帝王学というのは、目の前の人を大事にし、目の前のことを大事にすることであり、これが本当に正しい刹那主義です。ただ、今、目の前に存在する「人」「こと」「もの」を大事にすること。すなわち、「念を入れて生きる」ということです。
結局、対人間ということも、会社を経営することも一緒です。全部自分がやっているのではなくて、「お陰様」でできていることがわかると、商売のコツがわかるでしょう。
せまい心を捨てて、広く他に施すことは、まことによいことである。それとともに、志を守り、道を敬うことは、さらによいことである。
人は利己的な心を捨てて、他人を助ける努力をすべきである。他人が施すのを見れば、その人はさらに別の人を幸せにし、幸福はそこから生まれる。
一つのたいまつから何千人の人が火を取っても、そのたいまつはもとのとおりであるように、幸福はいくら分け与えても、減るということがない。(四十二章経)
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