今年4月10日から14日まで熊本を初めてご訪問されたダライ・ラマ法王様と間近かに接した印象を皆様にお伝えしたいと思います。
法王様は本当に素晴らしい人でした。少しも威張らないのに頭が自然と下がる方です。明るくて、冗談が好きで、とても気配り上手の方です。いつも「智慧と慈悲」でおっしゃられている「思いやり」を日々実践されているお方でした。
熊本県立劇場での講演会(4月10日):
法王様は「嵐を呼ぶ男」との異名がありますが、午前中の雨も不思議な事にあがりました。法王様がステージに現れると、会場の全員(約2千名)が立ち上がって、盛大な拍手がしばし、なりやみませんでした。
この拍手を舞台の袖口で聞いて、私は一年間の苦労がみのった、やってよかったと思いました。それはまた、他のスタッフの人々も多分同じ思いだったと思います。
さて、いよいよ講演という段になって、この日のために準備した説法用の立派な椅子に、法王様は座ろうとされません。「今日は、法話ではなく講演なのだから、もっと低い机と椅子を持ってきて下さい。」という事で、急遽、舞台横の控え用の簡単な椅子と机を用意しました。あわてましたが、法王様の親しみの持てるお人柄がよくわかる出来事でした。
阿蘇神社での出来事(4月11日):
最初、法王様の昼食は、法王様のみ別室でとられるように準備しておりました。ところが、法王様は、「皆さんと一緒に食べましょう。」ということで、急遽変更して、大きな部屋で、細川元首相の奥様なども含め20名ぐらいの人々と一緒に歓談しながらお食事されました。
その時、部屋に入るなり、「Good smell!(いい匂いがしますねー!)」とおっしゃって、厨房のドアをお開けになり、賄いの女性方に挨拶されました。
食事の途中、日本やチベットの幽霊や化け物についても冗談をとばしながら、楽しそうにお話されていました。チベットのお化けはひょうきんなのが多いそうです。
さて、食事が終わって、また、厨房へ入られ、お礼の言葉を述べながら、賄いの女性方と一人一人握手され、そして最後に記念写真をとられました。台所の女性陣はもう舞い上がって大変でした。
阿蘇山頂は、霧と火山警報で入れないとの情報で、近くの火山博物館を40分位見学しました。博物館を出たところ、立入り禁止が解除されたということで、すぐ山頂に向かいました。そして、法王様は阿蘇火口を見学することができたのです。
ここでも、鹿児島から来た老夫婦と気軽に話をされたりしました。そして、不思議なことに翌日から、火山活動活発化のため、完全に立ち入り禁止との警告が火山観測所からだされました。まさに、阿蘇山は法王様をお待ちしていたかのようで、本当に不思議な力をお持ちの方だと思いました。
また、今年寒くて桜の開花がいつもより遅れました。このため例年なら散っている桜がちょうどこの頃まだ咲いていたのです。寒い阿蘇だと満開で、まるで法王様を歓迎しているかのようでした。
法王様もとても印象深かったのでしょう、成田空港を発たれる前に、「インドのダラムサラの庭に植えるので、桜の苗木が10本欲しい。」との伝言がありました。蓮華院誕生寺の川原貫主様は快諾され、10本のソメイヨシノと3本の珍しい桜を手配され送りました。聞いたところによると、この13という数はチベットでは大変縁起の良い数とのことでした。
さて、阿蘇山頂からの帰り、突然、私の乗っている先導車に法王様の車から連絡があり、「どこか喫茶店を探してそこで休憩したい。」との連絡が入りました。そこで、急遽、5分位して阿蘇ファームランドに入りました。私達はてっきりトイレ・ストップだと思ったのですが、違いました。
日本代表部のルントック広報官が「皆さん法王様がお茶を接待されるそうです。警護の方も全員、喫茶店に入って下さい。」と言うのにビックリしました。阿蘇ファームランドの中のピザ・ショップで、紅茶とケーキをご馳走になりながら、30分位歓談しました。
警護の方も含めて、「世界広しといえども、法王様にお茶をご馳走になった人は少ないだろうな。」と思うと大感激、雨あられでした。本当に法王様は人の心をつかむのが上手です。とても素敵なサプライズ・ストップでした。
九州看護福祉大学での講演会(4月12日):
講演のあと、学生達の質問に丁寧に答えられ、チベット音楽を演奏された楽団員の学生の皆さんと最後に握手をされておられました。そして、桜の木を記念に植樹して頂きましたが、スコップで土をかけられ、祝福の白い布(カタ)を木にぐるぐるとまわして掛けた後、「水はないか」とおっしゃられました。
事前にそのような情報はなかったので、間に合いませんでしたが、法王様は木に向かって「よく育つように」とのおもいを込めて祈念しておられました。つまり、法王様にとっては、植物も人間と同じく生命と仏性のある大事な仲間なのです。
蓮華院誕生寺の奥之院では、約5千名の聴衆を前に五重塔の二層に設けたステージから法話を行われました。物事には実体がなく、空なのに、色々な因縁から、物事にとらわれて、我々人間は問題を自分で起こし、悩んでいる。その様な囚われから自由になると、幸せを得られるというようなお話でした。
蓮華院誕生寺本院(4月13日):
予定を1時間早めて、法王様は本院に到着され、早速、五重塔の前に設けられた護摩法要の法座に着座され、清めの儀式を始められました。この日のために新しく造られた観音菩薩像に入魂された後、10時から、日本やアジア諸国7ヶ国の約百名の僧侶の方々と、アジアでの戦争犠牲者供養と世界平和祈念大法要を執り行われました。
朗々としたダライ・ラマ法王の読経のお声に、助法のチベット語とパーリー語と日本語の読経や声明が渾然と溶け合って心地よい不思議な空間の中、約千名の参列者も共に平和への祈りを捧げました。
蓮華院誕生寺貫主の川原英照師は、「世界平和のために仏教者のネットワークを作りましょう。」と法要後のお話で訴えられていました。
その後ご昼食は、本院で召し上がられたのですが、熊本の郷土料理「だご汁」を「おいしい!」とおっしゃられて、なんとどんぶり3杯もおかわりになりました。何でもチベットで法王様がお生まれになられた地方の郷土料理に似ていたそうです。法王様は「母が作った故郷の味がした。」と、大変喜ばれておられました。
このため、本院からホテルへ帰る時間が、1時間も遅くなりました。それでもまた、沢山の人々と握手されてから、出発されました。(警護の方々、本当にご苦労様でした。)
こうして、多くの人々に大きな感動を残しながら、法王様は14日早朝玉名市を出発され、福岡から金沢市へ向かわれました。福岡空港で川原光祐宗務長に、「これまでの11回の来日の中で、熊本が一番良かった。熊本にはまた必ず来ます。」とおっしゃられたそうです。法王様の人徳でいろいろ救われた思いのした熊本ご訪問でした。また、間近に接して、本当に学ぶことが多く、感謝の五日間でもありました。
(エピソード)
歓迎実行委員会のスタッフ(S)が、法王様とお客様の昼食の件で、司ロイヤルホテルの森山課長代理に電話をかけました。
S「もしもし、昼食の用意はOKでしょうか?」
M「はぁ。何のことでしょう?」
S「朝お願いした、今日の法王様の昼食の件ですが」
M「何のことか、さっぱりわかりませんが?」
S「ですから、今朝森山さんにお願いしたホテルでの昼食のことですよ。準備は間違いないか確認したいので。」
M「はぁ、・・・こちらは、森山モータースですが、・・・」
S「すみません。森山違いでした。ごめんなさい。」(あわてて電話を切る。)
習慣も違い、初めてのことも多いので、当人は一生懸命なのですが、色々と笑い話もおきました。でも、大成功でした。ボランティアの方々本当にありがとうございました。(終)
人々は、本来そなわっているさとりの仏性にそむいて、煩悩のちりにとらわれ、ものの善し悪しの姿に心を縛られて、不自由を嘆いている。{首楞(りょう)厳経}
*あなたも メールマガジン「幸福ニュース」を購読しませんか。費用は、無料です。 下記に登録するだけで、E-MAILで毎月3回自動配信されます。 メールマガジン登録 メールマガジン解除
|
|