今回は、読者の方の投稿を掲載させていただきます。この方は 内観体験者で、ある雨の日の郵便配達の途中での出来事をEメー ルで送ってこられましたので、掲載させて頂くことになりました。 心から感謝申し上げます。
先日まで、真夏の太陽の下で、あんなに生き生きとしていたジ ャガイモの葉が、季節はずれの三日三晩の雨で、今日は、ぽろぽ ろぽろぽろと、涙を流していた。
雨に打たれたぐらいで泣くとは情けないやつだ、と思った私は、 芋の葉よ、どうしてお前は泣いているのか、と訊いてみた。
大好きな天照さまがお隠れになって、寂しくて寂しくて仕方が ありません。天をどんなに探してみても、天照さまは見つかりま せん。
だから私は、いつもは見向きもしなかった、地の中を探してみ ました。
すると、私の根には、知らないうちに、小さなころころイモが、 沢山出来ていました。
ああ、天照さまのお恵みのお蔭と、葉を合わせて合掌した私は、 何気なしに、ころころイモの横を見ました。
今度は、しわしわでぶよぶよの、腐った嫌な臭いのするイモを 見つけました。
この嫌なヤツは、一体どこから来たのかと、私はあたりをくわ しく調べました。
驚いたことに、そのイモは、腐りかけたボロボロの茎で、私と 繋がっていました。
嫌なヤツと思ったそのお方こそ、まぎれもない私の母でした。
その存在すら忘れてしまっていた、私の母でした。
「どうか…、どうか…」という願いと共に、全てを私に下さっ た母は、弱った体で、今も私を見守って下さっていました。
わずかに残った最後の力さえも、腐りかけた茎を通して、私に 与えようとする母に対し、私は、何も恩返しが出来ないわが身に 気づき、それからずっと泣いていたのです。
私は郵便配達のバイクを降りて、ヘルメットを脱ぎ、今年生ま れたばかりの、そして私よりも深い深い内観をされたジャガイモ さんに対し、合掌してその場に平伏しました。
そういえば、家の冷蔵庫の中には、多く作り過ぎて、四日食べ て飽きてしまった肉じゃがが、いまも少し残っていました。
今日は帰ったら、あの肉じゃがをいただこう。ジャガイモさん と、お母さんイモさんの願いをいただこう。そのエネルギーで、 おいもさんたちの恩返しを、お手伝いをしよう。
私はそんなことを思いながら、もう一度合掌して、心の屏風を 閉めました。
声(おと)もなく香もなく常に天地(あめつち)は
書かざる経をくり返しつつ(二宮尊徳)
父母の大恩は、どのように努めても報いきれない。例えば百年 の間、右の肩に父をのせ、左の肩に母をのせて歩いても、報いる ことはできない。(パーリ、増支部)
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