内観を知ったのは、大学の人間学という授業の中でした。当時 から何か生き辛さのようなものを感じていたので、私にも内観が 必要なのではないかという思いを抱いていました。しかしながら、 日々の忙しい生活の中で逃げの気持ちも働いて、今回のような機 会を持つに至りませんでした。
まず母親に対する自分を調べました。以前から気付いていまし た通り、母をどこかで嫌い憎む思いがありました。それは父を捨 て、違う男性を好きになって離婚したことを許していなかったか らです。
その事実を根に持つことで、母を苦しめてきました。それを利 用するかのように私は母子家庭でありながら、アメリカ留学、大 学進学を要求し、その他にも金銭面で多大な苦労を当然のごとく かけてしまっていました。
また母の愛を失うことを恐れ、自分の本心とは裏腹に、母を理 解する良い子としてふるまってきました。
今回の内観では、こうしたことから、母は娘への罪の意識から、 娘の過剰な要求を切り捨てることができず、また私は良い子でい なければならないという自己への嘘を重ねてきたことで、母子間 に妙な依存関係ができていたのだということに気付きました。
そして、いい加減もう過去のことに振り回されるのはやめたい と思うに至りました。母も私も互いの依存関係から開放され、今 後はひとりひとりの大人としての関係を築いていくことがせまら れていると思います。
子育てに関心がなく、時に母に暴力をふるった父への内観では、 意外にも憎しみの気持ちは湧いてきませんでした。これまで嫌っ ていると感じていたのは本心ではなく、母への気使いだったので はないかと思います。
特に幼い頃、父が海水浴中にクラゲにかまれた私を助けてくれ た時のことを思い出すと、幸せな気持ちになれました。その時の 父は強く優しかったので、痛みも和らいだのを思い出しました。
やはり母がいて父がいた頃を思い出すのが一番楽しく、温かい 気持ちになれました。私にとってこうした感情を取り戻せたこと は、逆に失ったものの大きさを知り、悲しかった自分の感情を抑 えていたことに気付かせてくれました。自分の心を、素直な気持 ちを大切にしたい、してあげなければいけないと実感するに至り ました。
兄については、直視したくない思い出がありました。それは、 兄から母を奪ってきたという事実です。また、母の愛を独占する かのように、母に気に入られるために、兄に負けまいとしてきま した。そのせいで、今も兄との関係は犬猿そのもので、今後どう 修復していくことができるのか考えるきっかけとなりました。
祖父母に関しては、勝手ながら良いことばかりが思い出されま した。ただ、祖母はたくさんの物を買い与えてくれたので、何で も欲しがる癖がなかなかとれません。祖父は本当におだやかで、 和を尊ぶ素晴らしい人でした。私も祖父のように少しでもおだや かな人として最後を迎えたいです。
おいしい食事も含め、一週間大変お世話になりました。本当にあ りがとうございました。
煩悩のきずなから逃れるには、第一にはものの見方を正しくし て、その原因と結果とをよくわきまえる。全ての苦しみのもとは、 心の中の煩悩であるから、その煩悩がなくなれば、苦しみのない 境地が現れることを正しく知るのである。
見方を誤るから、我という考えや、原因・結果の法則を無視す る考えが起こり、この間違った考えにとらわれて煩悩を起こし、 迷い苦しむようになる。(一切漏経)
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