最初内観に少し浮かれた気持ちで来てしまい、今考えると申し 訳ない気持ちです。
一日目は、内観の説明と午後3時からということで時間も短く、 正直「こんなものか」と軽い気持ちで、一週間内観を続けて本当 に変わるのだろうかと、今考えると恥ずかしいことなのですが、 そのような気持ちで1日目が終わりました。
二日目、まだうっすらと星が見える状態で鐘の前に集まり、朝 を迎えました。想像していた範囲内の一日の流れで、内観も母に ついてしていたのですが、「いつもしている(感謝に気付く)こ とだ。」と思いながら、浅い状態でした。むしろ他の人が気にな り、集中できていませんでした。
三日目父についての内観になり、また母の時と同様に浅い状態 だったと思います。途中で面接者が、「親子でも部屋は別々で、 自分自身の内観をしっかりやってもらうことにしています。」と 話されたのを聞いて反省し、その後内観が少しずつ深まってきま した。
四日目、朝の三礼や般若心経にも心が乗る様に大きな声で唱え ることが出来始めました。また、昨日までの内観をしているふり をしている時は、途中から一週間は長いと、時の流れも遅く感じ ていました。
内観が深くなるにつれ、「残り4日しかない」と思うと、時が 早く感じるようになり、集中できるようになりました。それが祖 母について考えている時でした。
内観の内容も気付く点が増えてきて、何故その当時にその大事 なこと(祖母のしてくれていた事)に気付けなかったのかを恥じ ると共に、自分の未熟さを改めて感じました。
五日目、二回目の母・父について内観していました。一回目の 広く浅いものから、一つずつの事を深く調べていきました。母に ついては、そのことから改めて、深い愛情と誰でも何でも受け入 れる器、まさに「海」という字の母を感じました。
そして、父について、お人よしというか、人の良さ、また、無 愛想な話し方の中に相手に対する思いやり、そして、照れ隠しの ためにあのような話し方になることに気付きました。
そして、いつも最期の扉となって叱ってくれるのと、自由にさ してくれていた「厳しいやさしさ」「見守るやさしさ」、一生懸 命に今でも家族の為に働いてくれている「不器用な偉大な父の背 中」を感じました。
六日目、弟について内観し、私自身が存在することで弟に大き な劣等感があることを実感しました。その結果、試行錯誤しなが ら、今の本人に到達したことも知りました。弟については、がむ しゃらにもがき、必死に自分のアイデンテティーを築く姿勢から、 「努力」をすることを感じ、学びました。
最後の七日目には、伯母について調べました。今の伯母と従姉 妹の姉の対立する関係、父と伯母との行き違いについて、何故な のか明確に理解できたことと、伯母を第三の母と認められるよう な絆について気付きました。
伯母から不器用な愛情を感じました。そして、自分が伯母や従 姉妹の姉に何故こんなにも必死になるのかというと、実の母や姉 のように心から想っているからであって、息子としての愛情に似 た感覚に近いことに気付きました。多分、二人がそのように接し てくれていたことも大きいと思います。
そして今、自分に何ができるか、福祉を勉強しようとしたのも、 二人の状況を少しでも早く楽にしたいという気持ちがきっかけで あったし、今は、二人に内観を勧めることで、「感謝」の気持ち に気付いてもらうことが、一日でも早く楽になる方法だと思いま した。
最初のきっかけは、軽い気持ちで申し訳なかったのですが、こ の内観を僕自身が経験することは、人生の中で、遅かれ早かれ通 る道だったような気がします。全てを終えて、こんなにもすがす がしく、晴れた気持ちになったのは、祖母が生きていた頃の十年 以上も前だと思います。
その祖母からは、たくさんのものを頂きました。愛情、思いや り、やさしさはもちろん、人にどう接するか、また瞋(いか)り、 ねたみ、憎しみなどを打ち消し、人生の中で一番大切な「感謝」 の気持ち、そして、人に対して、損得ではなく、尽くすこと、そ して、自分の笑顔が周りを幸せにすることを体現されていたこと に今更ながら気付きました。
そして、私は無意識のうちに、両家の家族にとって祖母のよう にお互いの家族の心の安定を担い、代わりとしての存在であった こと。今の状況を祖母が見ると悲しむと思います。
私も家族から離れ、自分勝手な生き方をしていたことに気付き ました。祖母は多分、私に自分(祖母)がいなくなったあとに後 を託すのもあり、いつも自分の側に私を無意識のうちに置いてい たのではないかと思います。
はっきりと、これから自分がやらないといけないことが、この 内観の最後で分かりました。しかも感想文を書くことで整理でき、 私自身、文を書く行為が、自分の内を観るということにも気付き ました。
最後に、この内観に関わった全ての人々や家族や今まで出会っ た人々、また、木や花や動物、命あるもの、全てに「感謝」しま す。どうもありがとうございました。
着物を着るなら、善根と慙愧(ざんき)を衣服とすることを忘 れず、大小便をするときは、心の貪(むさぼ)りと瞋(いか)り と愚かさの汚れを除こうと願い、高みに昇る道を見ては、無上の 道へ昇って迷いの世界を超えようと思い、低きに下る道を見ては、 優しくへり下って奥深い教えへ入ろうと願うがよい。(華厳経)
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