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2007年10月20日第400号
幸福ニュース

【 屏 風 と 心 】

 内観は部屋の隅に屏風を立てて行いますが、その畳半畳の空間 で、自分を他人中心に見つめながら、今回、内観者の方がユニー クで非常に素晴らしい体験感想文を書かれましたので、皆様にご 紹介したいと思います。

『屏風と心』

屏風の中は、心の内側。
屏風の中は、母の羊水の中、心の原点。
屏風の中は、魂の終着点。

「屏風の中は、心の内側」

 内観をしていた5日目(月曜日)に、屏風の内側と外側につい て内観しながら考えてみた。母から始まり「お世話になったこと」 「して返したこと」「ご迷惑をお掛けしたこと」を内観している 自分が、屏風の1メートル四方の中に座っていることに気づいた。

 屏風の内側は、自分の心の中であり、屏風の外皮は、自分の顔 面や体の表皮だ。屏風の中に座ることにより、自分の心の中に座 っている自分を感じ、三つの問を調べようとしている自分を感じ ることができた。

「屏風の中は、母の羊水の中、心の原点」

 内観をしていて6日目(火曜日)に、屏風の「中」と「外」を 考えながら「次男」と「私」のことを内観していた。

 その時、母の胎盤の中、羊水の中にいるのではないかと思った。 人は、母の胎盤から分離して個として生き始める。つまり、胎盤 の羊水の中にいる自分が「原点」である。

 母から産み落とされて以来、母に「お世話になり」、微笑み返 すことにより「して返し」、心配をかけ、ご迷惑をおかけしなが ら成長してきたことを、内観して実感した。母もまた、祖母から 産み落とされた時以来同じ経過を辿っている。

 自分は、母から産み落とされたことにより、心の原点を自分の 中に持つようになった。その事を物理的に実感、気づかせてくれ るのが屏風の中だ。父も心の原点を持っている。妻も、子供たち も同じだ。

 内観中に面接者が訪ねてきてくれて「只今、何方に対して、何 時の、ご自分を、お調べいただきましたか?」と聞かれる。この 繰り返しで、人間関係で紐がもつれて絡まるように分からなくな ったり、迷ったりした自分の整理を手助けしてくれる。

 この面接の時が、外部との接触であり、心を開くか開かないか は、内観者の心一つだ。これは、日常の生活でも同じことで、心 を開いて生活するか、心を閉ざして、自分と対面する他者に嘘を ついて生活するかを再現する場を提供してくれている。

「屏風の中は、魂の終着点」

 内観最終日の7日目(水曜日)に、屏風の中で、その昔、亀棺 に座した形で埋葬されていたという話を思い出した。

 自分が埋葬される(今は火葬)時、今一度母から始まり「お世 話になったこと」「して返したこと」「ご迷惑をお掛けしたこと」 を内観している自分を感じた。

 屏風の中は、母の胎内の羊水の中の様でもあり、人生と魂の終 着点の場を生きながら現体験する場を提供してくれていると感じ た。

「これからの私」

 最後に、これまでの私は、エゴが強かった。周囲の人に、迷惑 をかけていると思いながら、認識していても、その好意「しても らっている」ことが多かった。  これからの私は、自分の周りの人々にお世話にならづには生き ていけないことを自覚し、「お世話になったこと」に感謝の気持 でありがたく頂戴する。

 周りの人に「して返す」ことを一つでも多く持てるように感謝 の心をこめて「して返す」。

 ご迷惑をかけずに生きていくこともできないので、ご迷惑をお 掛けすることを少なくし、お掛けした時は、素直にすまない申し 訳ないという素直な気持で感謝の気持をこめてわびるようにする。  屏風の内側が、心の内側だと感じ、屏風の中が母親の胎盤・ 〈羊水〉の中だと思うようになり心の「原点」だと感じ、また、 屏風の中が魂の終着点だと考えるようになった。

 これから、この集中内観で気づいたことが本当か、分散内観、 日記内観、日常内観などで検証していきたい。(終)

【坂村真民詩集】

《 新生の自分 》

しんの変身とは
生きる姿勢を
変えることだ
自分のためばかりに
生きてきた
この身を
他の人のために生きる
姿に変えることだ

醜い虫が
あの美しい蝶になる
あの変身を
じっと見つめて
新生の自分を
作ってゆこう

【仏語集】

 慈悲を心のもととするから、すべての人に対して好き嫌いの思 いがなく、心が正しく清らかであるから、進んであらゆる善を修 める。(華厳経第22、十地品)

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