1999年5月20日第66号
幸福ニュース

今号は、リーダーと部下について考えてみたいと思います。参考になれば幸いです。

【 部下の要諦 】

江口克彦著{部下の哲学}より、部下としての心得をピックアップしました。

1.自分の人生観、人生計画を持つ。
2.熱意とやる気がある。
3.誠実である。
4.明るさがある。
5.思いやりがある。

6.信念と使命感を持つ。
7.すぐに行動する。
8.上司の先を読む。
9.聞き上手である。
10.叱られ方がうまい。

11.上司を敬う。
12.けじめをつける。
13.創意・工夫をする。
14.報告・連絡・相談をする。
15.プラス・アルファーの仕事をする。

16.素直な心を持つ。
17.表現を工夫する。
18.勉強・努力をする。
19.目標を立てる。
20.大事は、会社ではなく大きな正しさに基づいて判断する。

根本的には、上司の立場と方針を理解し、協力することが、一番大事ではないかと思います。

【 リーダーの要諦 】

{リーダーシップをとるには}とよく言われます。今号は、司馬遷著{史記}、パーキンソン著{リーダーシップ・バイブル}、守屋洋著{為政三部書}と江口克彦著{上司の哲学)から要点をお送りさせていただきます。

1.人を上手に扱う才能の重要性

漢の高祖劉邦は、何故、天下をとれたのか?

{帷幄(いあく)の中に謀をめぐらし、千里の外に勝利を決するという点では、わしは参謀の張良にかなわない。内政の充実、民生の安定、軍糧の調達、補給路の確保ということでは、宰相の蕭何(しょうか)にかなわない。百万もの大軍を指揮して、勝ちをおさめると言う点では、わしは将軍の韓信にかなわない。

この三人はいずれも傑物といっていい。わしは、その傑物を使いこなすことができた。これこそ、わしが天下を取れた理由だ。}

松下幸之助氏も同じような事を言われています。{私は技術の難しいことはよくわからないが、大学出の優秀な人達を使うことができるからな。}(松下氏は小学出です。)

優れた部下を{使い、活用する力}をつけるのが、経営者や上司にとって必須の条件なのです。太っ腹になり、人はどうすればやる気をだすのか、常に工夫・努力する必要があります。

2.松下幸之助直伝の経営者道

経営に与える影響は、精神的な目に見えない要因が六割、物質的な目に見える要因が四割である。

a.夢を与える。
b.正しい考え方・方針を示す。
c.ほめる。
d.能力を引き出す。
e.耳を傾ける。

f.仕事を任せる。
g.差別をしない。
h.自分より優秀な人材を育てる。
i.叱った後のフォローをする。
j.率先垂範する。

k.声をかける。
l.{なぜ}を説明する。(具体的で明確な指示)
m.部下に感謝の念を持つ。
n.自分の人間的成長をはかる。

{勇将のもとに弱卒なし。}今期の阪神タイガースを見ればよくわかりますね。

3.自分を厳しく律する。(自分には厳しく、他には優しく)

検察の偉い方が女性問題で辞任されました。個人の問題とは言え、やはり検察に対する信頼がゆらぎます。取り締まる側や上に立つ者は家族まで含めて、女性問題に限らず、公私の別も含めて、よくよく気をつけねばなりません。{天知る}あるいは、{仏様がみている}と言う事を常に頭においておきましょう。

4.率先垂範(部下は上司の言う事ではなく、行動をまねる)

子供に勉強させるには、まず親がテレビのスイッチを消して、テレビの前に机を出し、読書したり、家計簿をつけたりすることである。すると、子供は何も言わなくても勉強するようになる。

(2.)とも関連しますが、上司が部下よりも働き、部下の模範となる行動をしてみせなければ、部下はついてこないのが人の心理です。勤務時間外も、上司の全行動、全人格が部下から、常に見られており、まねされるのです。つまり、子は親を、部下は上司を写す鏡なのです。

真のリーダーとは、いつも率先して物事をする人である。
部下に時間を守らせようと思えば、自分が時間を守らなくてはならない。
危険や困難が伴う仕事をしなくてはならないときは、まず自分がしてみせるべきだ。
勤勉、従順、規律などを望めば、自分が手本を示す必要がある。

模範となる手本を示すのが、部下の尊敬を得る最良の方法の一つである。言う事と行動が一致し、自分自身がしないようなことは部下にはさせず、自分の成長を援助してくれるとわかったとき、部下の尊敬を得、部下は何でも言うことを聞いてくれるようになるのです。

5.人を動かす方法はただ一つと知れ。(パーキンソン)

むち打っても駄目。おとりを使っても駄目。それでは、ろばは動こうとしない。
人間も同じようなものだ。ほかのもっと効果的な方法を用いなくてはならない。

その人のことを理解し、感謝の意を表し、その人が「自分は大事な人材であり、期待されている。」と感じられるようにすることだ。どの人も大切なのである。

また、{働く}とは、{ハタを楽にすること}である。部下を助け、部下が働きやすいようにするのが、上司の役割の一つでもある。部下の手柄はまた、上司の手柄でもあるのです。部下の仕事の成果が上がるように援助してあげなさい。そうすれば、部下はあなたのために喜んで働いてくれるでしょう。

{すべての人を自分より偉いと思って仕事をすれば必ずうまくいくし、とてつもなく大きな仕事ができるものだ。}松下幸之助

6.人の上に立つ者が絶対に忘れてはならないこと

トイレの掃除であろうと、ゴミの収集であろうと、やっている仕事の内容にかかわらず、どんな仕事でもすべて大切なのである。トイレがきれいになっていなかったり、ゴミが散らかっていたら、いったいどういうことになるだろうか。自分がやっている仕事の内容に関係なく、仕事はすべて大切なのだと、皆が思うようにしてみよう。

どんなに忙しくても、人をないがしろにしてはならない。どんな下働きの人でも、人は皆、自尊心があって、自分は重要だ、よくやっている、偉いと考えたいものだ。どんな仕事であっても、自分がやっている仕事は重要であり、自分がいなかったら会社はやっていけないと全社員が思うようにしなくてはならない。

そのためには、奴隷やロボットのように部下をあつかってはならない。{尊厳と誇りある人間}として扱いなさい。これを無視すると社員の自尊心が大いに傷つけられるので、絶対に忘れないことである。リーダーは人間好きでないとつとまらない。

まず、{働いてくれて有難うと部下に感謝しなさい。}そうすると、部下もあなたに感謝し、よく働くようになるのです。

7.{言ってみせ、してみせ、させてみて、誉めてやらねば人は動かじ。}(山本五十六)(誉め言葉とねぎらいの一言は、部下の最も欲するものである。)

8.人は精神論だけでは動かない。(共産主義の失敗に学べ。できるだけ部下の望んでいるものを与えよ。)(この人は何を望んでいるのか?)

9.部下や上司が自分の思うところの50%を実行してくれたら、上出来である(100%を求めるから苦しくなるのである。{それで本当に困るのか}と問え。)

10.孫権にみる部下の使い方・・・{その長ずる所を貴び、その短なる所を忘る}
(船井幸雄氏・・・長所を伸ばせ。)

11.人材の見分け方
a.人々の意見を聞く。
b.本人の行動を観察する。
c.どんな人物を推薦したかを調べる。

12.《大前研一氏講義より》

優れた会社っていうのは経営のやり方である程度似たところがある。優れた会社というのは全部優れているというふうな会社は少なくてね、いくつかの点でひじょうに優れているというのが特徴なんですね。

だからあの会社いいよっていうんで全部いいと思ったら間違いで、「あの会社のこういう点が優れている。だからそこを学ぼうじゃないか。」と言うと、自分の会社はもうひとつ優れたところが増える。

「あの会社のここがいいよ。」って別なことを学ぶともう1個自分の優れた点が多くなる。これをベンチマーキングって言いますね。要するに世界で一番いい会社のところへ行って勉強してくる。こういうやり方です。常にですね、企業というのは優れたところを勉強しないといけない。

人間も同じで、必ずこの人から何か学べるところがあると思ったらそこを学べばいいんで、「あいつはそこのところはいいんだけど、これはだめだよな。」って言うとそれで終わりでしょ。自分の成長の機会が無くなってしまう。

だから基本的に事業を志した人は、全部自分で優れたことをやる必要はないんです。失敗する事業家っていうのは、能力がありすぎて失敗する人が多いんだよね。なぜかって言うと自分で直接やるのが一番いいと思っているから。

だけどだんだん会社が大きくなってくると、自分で全部やっていると、とてもじゃないけど間に合わなくなってきて、本当に集中してこれだけをやればこの人はできるとそういう能力がありながら、そっちもやらなきゃ、あっちもやらなきゃと言ってあっちをやっている間にこっちができないと。そして、あっというまにだめになると。そういうところが如実にでてきます。

13.危機管理・・・非常事態には臨機応変に対応せよ。
a.確かな情報による確かな情勢判断
b.危機に動じない冷静沈着な態度
c.臨機応変の対応策

14.部下の統率法
a.{徳}・・・この人をだますには忍びないと思わせる。これが最善の策である。
b.{明}・・・よく見、気がつき、だまされるようなスキをみせない。これが次善の策である。
c.{威}・・・この人をだましたら厳罰が待っているとおもわせる。これは最期の策である。

15.General Electric社のウエルチ会長{細かく管理するより、リードせよ。}

16.理に情をつけよ。

17.現場に足をはこび、よく見、かつ、よく耳を傾けよ。

18.実力を磨け。人間的成長を心がけよ。(一つだけ部下に負けないものを持て。あとは部下の能力を活用せよ。)

19.忠告してくれる社外の師や友人を持て。(松下幸之助氏はわざわざ自分を批判する人を招いて意見を聞き、褒め、感謝し、経営に役立てた。それ以後、その人は松下氏のファンになった。)

リーダーほど大変なものはありませんが、また、やりがいもあります。心と体の健康に気をつけながら、頑張られて下さい。合掌

【坂村真民詩集】

《 ユニテ 》

わたしが

ねがうのは

ユニテ(一致)

どんなに

ちがったものでも

どこかで

一致するものがある

それを

見出し

お互い

手を握り合おう

【仏語集】
《 目的と努カ 》

人生を全うするためには決して欠かしてはならない
二大重要課題である
目的を持たずに努力することはできないし
努力をせずに目的を達成することはできない
魂の修行の場地球に生まれ出でた時から
誰もが潜在的に気がついているものである

世間から高い評価を受けようと何事もやってはならない
人気を得るために頑張ってもならない
どんな良い事をしたとしても世間の人々から
拍手喝采を求めたり期待したりしてはならない
ただ自分の止むに止まれぬ使命を
今果たしつつあるのだ…と強く自覚するだけでよい

自分の周囲のすべての出来事は偶然のものではない
自分の心の器を大きくするための
言い換えれば良心の目覚めのために
必要があって与えられているものばかりである
ひとつも逃さず学びの材料としてとらえていかねばならない

正しい道を模索しながら
良心の立場においてチェックしながら生きている人と
そんな事など無頓着で
自分の欲望を満たすことに重点を置いて生きている人とでは
死の瞬間に二つの道に行き先が分かれてしまう
前者は明の世界行きであり後者は暗の世界行きである

何かに感動し胸のあたりからこみあげてくる涙の自分は
良心の方の自分である
欲望に目がくらみ感情が激しく揺れ動く自分は
エゴ心の自分である
エゴ心の自分を良心の自分に少しでも近づけるための修行が
今現在の自分の人生である

「自分が」「俺が」「私が」という「が」は
鉛のような重さで全身を包みこんでしまう
「あなたに」「君に」「お前に」という「に」は
鳥の羽根のような軽さだ
人生の海原を航海するなら 間違って落ちたとしても
軽い方が海面に浮くので助かるのである

自分が過去に犯した思いや行為を振り返り
しっかりと反省し二度と過ちを繰り返さない生活をしている時
必要に応じてタイミングよく
自分の良心より教え導かれるものである

信仰深き人とは祈り心を持っている人である
祈り心とはすべてを生かす行為が伴っていなければならない
すなわち愛の土台がなければならない
信仰 祈り心とは 即 行為の裏付けがあって
はじめて言えることなのである

(五井昌久)

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