経営コンサルタントとして著名な大前研一氏は、日本人にとって、これから大事な事として、本当の問題解決法を身につける事をあげておられます。本当の問題解決法とは、問題発見能力と問題解決能力からなり、それには、論理力と想像力を必要とします。
これからは、地図のない時代です。また、狂牛病や鳥インフルエンザなどのように、前例のない問題に直面した時に、その実態や本質を正しく把握し、適切に対応できる能力を育てていくことが、サバイバルできるかどうかの鍵をにぎります。
そこで、最初に重要なのは、問題の本質を正しく把握するということです。日本人は、本質的問題点と現象を間違えることが多々あります。現象を原因だと取り違え、現象に対して対症療法を施し始めてしまうのです。対症療法だと問題はなくなりません。5割以上のウエートを持っている本質的問題、即ち、本質的原因は一つか二つしかないのが普通なのです。
例(1):日本経済停滞の原因はただ一つで、中央集権体制がそれである。
例(2):おいしいコーヒーをいれるパーコレーター開発の話 調査分析の結果、意外なことに、おいしいコーヒーを入れるには、機械そのものよりも、「水の質」と「豆の挽き方」が最重要だと言う事がわかった。その目的を達成するためにコストも勘案した、コーヒーいれ器を開発したところ、ヒットした。(日本の場合は、より良い物をより安くだけの改良型開発になりがちである。)
問題解決のステップ
(A)本質的問題の発見
(1)情報を収集する。(「何が問題なのか?」が大事))
(2)分析する。
(3)論理立てて整理・統合し、本質的問題・原因を発見する。
(B)問題解決策の立案
(4)戦略的自由度を広げてアイデアを出す。
(5)解決策の仮説を作る。
(6)仮説を検証する。
(C)施策の実施
(7)結果と論理を明確にする。
(8)キーパーソンを説得する。
(9)実行をモニターし、必要に応じて修正する。
これらの事を仏教では、次のように述べています。真言密教の根本仏である大日如来のもっておられる智慧、「五智」の中に 大円鏡智と、妙観察智があります。大円鏡智とは、池の面がまわりの景色をそのまま、あますところなく映しているように、すべてを明らかに観る智慧です。妙観察智とは、もろもろの事象の違いを正しく観察認識する智慧です。
ですから、問題解決のために重要な事は色眼鏡をはずし、色々なとらわれや、思い込みから離れて、物事をあるがままに観ると言う事なのです。あるがままに観る事ができれば、問題は半分解決しているのです。思い込みや偏見やこだわりを捨てて白紙の心で観る事を仏教は勧めているのです。
また、仏教では、「幸せになる」方法のひとつとして、『空(くう)』を説いています。『空』とは「無執着」の意です。(もっと正確に言うと「無執着にすら無執着な無執着」です。)
これを薬師寺の故高田高胤師は次のように意訳しておられます。
「こだわりすぎなさんなよ。かたよりすぎなさんなよ。とらわれすぎなさんなよ。とらわれないということにすら、とらわれすぎなさんなよ。
(とらわれまい、とらわれまとしていると、今度は、とらわれまいという事にとらわれていることになる。)
宇宙のように広く大きな心、水のように柔らかい心を持って、毎日を生きていきましょう。これ、般若心経『空』の心なり。」
人間はたかだか100才の寿命にすぎないのに、すべては変化しない、固定していると思って、いろいろなものや事にこだわります。
例えば、金だ、女だ、男だ、酒だ、ギャンブルだ、地位だ、名誉だ、権力だ、仕事だ、家庭だ、男の面子だ、女の意地だ、ーーーーーーーーーーーーーー、そして、最後に来るのが、正義感と使命感です。
このように人間は、色々なものにこだわりすぎて、つまり、自分自身で問題を作って、自分で自分の首を締めるようなことをして、悩む事がよくあるのではないでしょうか。
ですから、『空』は幸せになる方法なのです。
人間がいなければ、正義も善悪もありません。
宇宙レベルでみれば、幸福も不幸もありません。
すべては、『そう思う心』があるだけなのです。
『そう思う心』があるだけーーーーー。
高杉晋作は辞世の句で『面白きこともなき世をおもしろく、住みなすものは心なりけり』と詠みました。物事を正しく観るのも、あなたを幸福にするのも、傷つけるのも、全てはあなたの心しだいなのです。
物事を明らかに観、本質的に考えたうえで、自分の心をしっかりコントロールすることが、すべての始まりなのではないでしょうか。
世界はそれ自体の実体を持っていない。心のはからいをなくす道を得なければならない。外の形に迷いがあるのではなく、内の心が迷いを生ずるのである。(仏昇とう利天為母説法経)
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