2003年12月19日第216号
幸福ニュース

【 商売魂 】

 今回は、「平成の再建請負人」の異名を持ち、ダイエーの福岡の事業(福岡ダイエーホークス、福岡ドーム、シーホークホテル・アンド・リゾート)を任されている高塚猛氏の著された『商売魂』(サンマーク出版)という本の紹介をさせて頂きます。「人を喜ばせることに徹する、氏の商売魂」が余すところ無く描かれています。人を使う立場の方々には、一読の価値のある書物です。

【 商売魂 】

(A)商売とは「勝売」。相手にメリットを与え、優越感を持ってもらうことが商売の根本である。人が相手という認識を忘れなければ、結果はついてくる。商売は人を相手にし、人を喜ばせることだという視点を忘れないことである。

(B)客は理屈ではなく「情」で買う。お客様にどこまで信頼してもらえるかが大事。また、真実には、事実と実感のふたつがあり、感動を与えるには「実感」を伝えたほうがよい。

(C)私が考えるリピーターとは、来てくれたひとり、買ってくれたひとりが、誰かに伝えたくなる、そしてその人に紹介された人が口コミで店にやって来ることだ。

 小さい数でも倍々に増えると大変な数字になる。この「倍々に増やしていく」という発想をぜひ商売に活かしたい。例えば、一人のお客さんが、次に2人の人を連れてくるというような方法を考える。

(D)リーダーに必要なのは、売上以外の目標を立てることである。利益をあげるのは、会社という組織で社員が幸せになるための手段であり、利益をあげるという「手段」が目的になってしまっては本末転倒、企業存続の意味はないと私は思っている。

(E)カメがウサギに勝てた本当の理由は、ウサギがカメという「競争相手」を見ていたのに対して、カメはひたすら山の上に立つゴールの旗、つまり、「目標」だけを見ていたからである。昨日の自分より良くなった人は、皆いい営業マンではないか。

 部下の能力を上げるには、他と競走させるのではなく、昨日の自分をライバルと思ってもらうほうがいい。最高のライバルは自分。能力の向上度を評価しよう。

(F)組織の力を高めるのは、コミュニケーションとコンセンサス(合意)のふたつである。情報の共有というのは、コンセンサスを得るための最大の要素なのだ。

(G)私は現場をしばしば見回り、末端の社員とよく話をするのであるが、情報は下から上へ流れると思っている。だから、下の人間が上の人間に伝えたくなるような情報を選んで話すことを心がけている。例えば、課長の誉め言葉など。「そうあってほしいという思い」を方便として伝えて、人間関係が良くなるなら、批判をそのまま伝えるより、よほど建設的ではないか。

(H)部下を叱る時、心得ておくべきことは、相手が叱られたことを「良かった」と思えるような叱り方をすることだ。そのためには、「教育目的以外では叱らない」ことが大事である。

 また、叱る時には、その逃げ場にも仕掛けをしておく。つまり、叱られて嬉しい人間はいないから、「それは良かったね。見所があるから叱るんだよ。」と言ってフォローしてくれるように、誰かに頼んでおく。また、叱る分、徹底して誉めることも大事である。誉め言葉はいくら言っても、言い過ぎることはない。

(I)リーダーには、部下の仕事ぶりを把握するだけでなく、部下個々に向いている仕事を見抜く能力が要求される。上司は社員が何をやりたがっているのかを、一緒に見つけてやり、個々の目標を持ってもらうことを大切にしてほしい。その時、自分が正しいと思っていることを捨てなければならないこともある。それを捨てることによって、もっと大切なものを獲得できるのであれば、そのことを大事にした方がよい。

(J)失敗を自分で発見させるクセづけをする。私は相手が私にとっては、「おや?」と思われることをした時、まずは、「どうして?」と聞くところから始めることにしている。一方的な注意からはコミュニケーションはなりたたないのである。

(K)相談とは表にしたトランプのカードを一緒に見てあげること。悩んでいる相手が相談してくるのは、悩みを解決してほしいからではない。ただ話を聞いてもらいたいという場合が多いのである。ひとときの間、悩みを共有してあげるだけでいいのではないか。

 相談されたら、相手の心のベクトルを少しだけ方向転換してあげることだけを考えてみるといい。無理やりに考えを押し付けても、本人が納得しなければ、まったく意味はない。相手に自分で気づかせることが大切なのである。私は相手が相談してきた時、相手の人生は相手のものだという姿勢を崩さないようにしている。何事も決めるのは本人である。

(L)経費は設備ではなく、社員の意識を変えるために使うべし。設備が人を変えるのではない。だから、私は、お金は設備に使うのではなく、人の意識を変えるためにこそ使うべきだと思っている。会計事務所がいう人件費比率は無視してでも、人の意欲が高まるところに使うべきである。

(M)人はほめられるのが大好きである。人たらしは、ほめてほめて、ほめまくる。あの手、この手で、時には人の口を借りて、誉め言葉がふんだんに相手に伝わるようにする。身近な社員は私を「社長は、いい意味での人たらしです。」と言う。組織を変えるのは、政策でも資金でもなく、社員一人ひとりのモチベーションなのである。

(N)社長が社員のために働けば、社員はお客のために働くようになる。私が最も重要視したのは、従業員の満足度を高めることである。企業は「人を止める業」と書く。企業の原点に返れば、従業員を大事にしない会社が発展するわけがない。今は、お客様を大事にしようにも、そのために商品やモノを頼る時代ではなくなった。お客様との接点になる「人」を頼る時代である。

 従業員が一番大事で、次は取引先、三番目がお客様ということになる。これは決してお客様をないがしろにしろというのではなく、従業員と取引先を大事にして初めてお客様を大事にできるということである。従業員が安心して楽しく働けると、取引先も安心し、お客様にも安心して満足いただけるサービスを提供でき、お客様を大事にできるわけである。

(O)未来に贈り物ができないビジネスはやる意味がない。私たちが大事にしなければならないものは、過去からの贈り物をどうやって受け取り、未来に何をプレゼントできるかである。

 経営者の幸せは、社員がこの会社にいることを幸せに思ってくれること。そして、地域社会が、この会社の存在に勇気づけられたり、元気づけられたりすることである。

(P)相手を思う気持ちが、すべての出発点である。私が常に考えることは、相手にとって嬉しいことは何かということだ。目的を明確にし、そのあるべき姿を想像し、そこから方法を探す。いわば逆算をすることである。会社においても同じことで、相手を思う気持ちが大事である。相手からの大きな褒美を求めてはいけない。

 ビジネスの原点、つまり、商売の原点である、「人を喜ばせることが嬉しい」という気持ちが、自分の最大の目的になっているか、これは誰にでも通用する、金に替えることの出来ない最大の商売魂であると思っている。(終)

【坂村真民詩集】

《 からっぽ 》

頭を

からっぽにする

胃を

からっぽにする

心を

からっぽにする

そうすると

はいってくる

すべてのものが

新鮮で

生き生きしている

【仏語集】

 努め励んで得た富は、自分ひとりのものと考えて、自分ひとりのために費やしてはならない。その幾分かは他人のためにこれを分かち、その幾分かはたくわえて不時の用にそなえ、また国家のため、社会のため、教えのために用いられることを喜ばなければならない。

 一つとして、「わがもの」というものはない。すべてはみな、ただ因縁によって、自分にきたものであり、しばらく預かっているだけのことである。だから、一つのものでも、大切にして粗末にしてはならない。(六方礼経)

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