今回は、中学陸上競技の個人種目で13回の日本一を達成された、原田隆史先生の『カリスマ体育教師の常勝教育』(日経BP出版センター)をご紹介したいと思います。
目標や計画を立てても、なかなかうまくいかない方々におすすめです。また、教育関係だけでなく、「ユニクロ」の店舗や他の企業でも取り入れられて、業績の上がった方法ですので、会社経営者にも参考になる本です。是非、ご一読ください。
(A)最初に、「陸上を通して日本一になる。」という目標を立てた。その結果、それは、「自立型人間を育てる。」という目標にも通じ、子供たちの自主性が高まった。
(B)「教育陸上」という陸上指導方法の根幹は2つ。
a.態度教育・・・しつけ
b.心づくり指導・・・目標設定や日誌などの書き物指導
(C)小さな成功体験を繰り返させる。やりきらせる。
(D)異業種に学ぶ
日本一達成への差別化戦略・・・総合的にではなく、フィールド種目への集中をとった。
(E)強い選手の徹底研究
強い勝利意識と高い目標設定
心・技・体の中でも、心を重視する
(F)心づくり指導の中心は、態度教育と目標設定である。
静の態度教育
3つの基本的習慣(靴をそろえる。椅子を入れる。カバンを立てる。)
背筋をぴんと伸ばす。真剣に聞く態度。
動の態度教育
元気で弾むような返事。相手よりも速く挨拶や返事をする。
家庭での生活習慣の見直し
毎日必ずお手伝いをさせる。
(G)目標設定を技術として徹底的に教えた。
1.心を使う(Plan)・・・目標設定
2.心をきれいにする(Check)・・・態度教育
3.心を強くする(Do)・・・できることの継続
4.心を整理する(See)・・・結果の考察
5.心を広げる(Share)・・・ノウハウの共有
(H)目標設定で心を使う(Plan)
まず、目標を達成したときの成功イメージを鮮明に描きます。それを目標設定用紙に細かく詳しく具体的に書いて書いて書いて、書き込むことによってさらに明確なイメージをつくり、目につきやすいあらゆる場所にはって、イメージを強化します。こうすることによって、その目標を潜在意識にたたきこんで確実に自分のものにしていきます。そして、日々の具体的行動を実践していきます。さらに周りの人に宣言して、自分を追い込んでいきます。
人間は自分のイメージより上にいくことはありません。スポーツで最後は、「心」が勝負を決するのです。
目標を書いて、反復連打で心を作る。(まず、目標を決める。「日本一になる。優勝する。」)
目標は必ず3段階で立てる。(最高の目標、中間の目標、絶対達成できる目標)
長期目標設定用紙を使って未来の目標を定め、日々の目標と反省を日誌に書かせ続けた。そして、赤ペンで添削し、子供に返す指導を続けた。
試合に備えて、目標をしっかりと設定し、過去の成功、失敗を分析する。そして心(メンタル)、体力、技の面で何に注意すればよいのかを整理する。それを細かく書き込ませて意識を高める。生徒は自分で書いた必要なステップを日々の生活で繰り返し実践していく。そして、試合に臨めば予定通りの結果がだせるようになった。
(I)心をきれいにする態度教育(Check)
「ありがとうございます」「おかげさまです」という感謝の気持ち、謙虚な心を養います。自ら進んで清掃活動、奉仕活動を実践し、相手よりも先に挨拶や返事ができ、細かなことに気づけるようにします。
挨拶、時間厳守、服装、準備、片付け、姿勢、靴、椅子、カバンなどをきちんとする。
謙虚と紙一重の慢心を戒める。
予想される心のすさみを未然に防ぐ。
清掃と奉仕活動で感謝の心を知る。
(J)やり切りで心は強くなる。(Do)
困難で達成しにくい課題への挑戦ではなく、自分が今できることを継続します。自分に負けてはダメです。継続できる日数の長さ、回数の多さに比例して、心はより強く育ちます。
目標を立てて、態度教育を徹底して、その上で、今の自分ができることで人の役にたつことを3年間、千日間休まず続ける。できることの継続こそが心を強くするのです。皿洗いも千日間続ければ、達成感が自信につながるのです。
「勝てると思う>負けると思う」シートによるチェックを行い、意識を高め、具体的行動につなげる。(勝つときのパターンと負けるときのパターンチェック)
セルフコントロールの各種技法を使う。(セルフトーク、サイキングアップ、ルーティーン、リラクセーション、スマイル)
練習は時間内でやりきる。
ネバー・ネバー・ネバー・ネバー・ネバー・ネバー・ギブアップ
(K)心を整理する日誌指導(See)
日誌を書く中で自分ではどうすることもできない未来への不安や過去の失敗への後悔を切り捨てます。いま自分ができることを目標として追い求めます。不安と迷いを整理し、全力で未来に向わせるのです。
自分でコントロールできる事と、出来ない事をみきわめさせ、できることを実践する。
誉めるときは徹底的にほめる。存在価値を認めてやる。
叱るときには自分の間違いに気づかせて、そのうえで正しい答えを考えさせる。
(L)心を広げるチーム作り(Share)
自分の得た成果を人に分け与えて広めます。態度教育とできることの継続で上向きになった素直な心に、深さと広さを与え、心をより大きく育てるために仲間と共に成長することをめざします。
権限委譲でリーダーを育てる・・・パート長(競技種目ごとのリーダー)
マンツーマンによる後輩指導で成長させる・・・指導上級生(一年生の指導)
ノウハウの共有にかかせないものは、今までに蓄積したさまざまなデータであり、オープンにする。
米海兵隊に学ぶ「部員の創造」・・・人材を集めるリクルーター(募集係)が、最強のチームを維持するためには大事である。保護者会や地域陸上クラブを作り、広報やコミュニケーションにも力を入れた。
(M)企業への応用
企業理念ではなく、個人にも理念(人生方針)を持たせることが大事。
中学生でも、大人でも、人生で本当に役立つことは、次の4つである。
1.心づくり指導(目標設定)
2.主体変容(自分に気づき、他人に気づくこと)
3.個人理念の構築(何がおきても動じない自分づくり)
4.長所の発見と伸長(自分の得意なことから成功を導き出す)
これらを実践すると、子供たちが自立しはじめ、企業が取り入れると、収益があがったのです。
単なる技術論に終わらず、心や理念の分野まで踏み込んだ素晴らしい目標達成の具体的方法です。しかも、学校や企業での実績に裏付けられています。お勧めの一冊です。
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