2003年8月19日第206号
幸福ニュース

【 会社研修内観 】

 今回は、会社の研修で内観に来られた方の体験感想記を皆様に紹介させていただきます。健康な方々も、自己啓発や研修ということで来られ、色々な効果をあげて、人生を楽しく素晴らしいものにされているようです。

【 会社研修内観 (30才女性)】

 初日、私は会社の研修ということもあり、来させられているという気持ちでした。会社で前に行ったことのある人から「寝ててもいいんだから、休みのつもりで行ってきたら」とも言われていました。そもそも何故数ある研修所からここを選んだかというと、お寺だったからです。その時にきっと私にも何か打ち明けて、救ってもらえるものを求めていたのかもしれません。

 ここに着くと私は、熊本の玉名の町で内観だなんて絶対私一人だと思っていました。それが12名もいると聞き、驚きました。しかも同じように会社の研修か何かかなと思ってましたが、皆さんいろいろな問題を克服しようと来られた方がほとんどでした。

 私はここに来る列車の中で「どうやって時間をつぶそうか。1日中座りっぱなしで耐えられるだろうか」などと考えて来ました。私は会社よりお金を出してもらい、しかもこれも給料のうちなのです。私は何か目的があって来たのではないのに、一番恵まれた状況にあったのです。周りの方がとても真剣でありましたので、とても申し訳ない気持ちで、「まじめに内観を行おう」と気持ちを改めました。

 最初の2日ぐらいはなかなか思い出せないのと、時間はたつのが遅いし、退屈だし眠いしと本当に苦痛でした。だいたい内観をして、どうして未来が楽しくなるのかも理解できませんでした。1日目、2日目は母の事について内観しました。私は日頃このような思い出話をよく主人としており、泣いたりしまして、このような事は家でもしてるし、母に対しても十分感謝もしているしと思い、あまり内観が進みませんでした。

 3日目父に対して行った時、私は父に対しては今でこそ、とても仲良くいろいろと感謝していますが、学生の頃は好き勝手して家族に迷惑かけ、貧乏になったのも全部父の責任だと、父が好きではなく、むしろその頃の父は憎むべき人でした。なので、父に対しての思い出なんて思い出せるのかと思い内観をしてみると、以外にもあれをしてもらった、これをしてもらったと、色々と思い出されてくるのです。

 しかし、この頃はまだ私の内観は十分でなく、単なる思い出の回想だったようです。しかし4日目、弟について内観をした時は辛かったです。思いでもあまり浮かんでこないのです。自分の家からの行動を頭でたどっても、あまり弟が隣にいることがないのです。小さい頃あれほど毎日けんかをし、毎日一緒に暮らしていたにもかかわらずです。中学校・高校時代は本当に一緒にファミコンをしたとか、栗をひろった以外は何も出てきませんでした。毎日一緒なんだから、してもらったこと、してあげたこと何かあるはずなのに、どんなに考えても思い浮かびませんでした。

 なので、何故思い出せないんだろうと考えてみました。すると何かフワフワッとくる感じで、私はきっと姉だというだけで、弟のことを何一つわかっていなかったんじゃないのか?何をするにでも弟に対して、私は感情を持って接していなかったのではないかと思いました。もし、弟が幼い頃田んぼで摘んだ花を持って来たとき、「お姉ちゃんきっと喜ぶだろうな」と、私のうれしい顔を思い浮かべながら急いで走ってきたとしたら、と考えた時、本当に涙が止まりませんでした。私は今の今まで弟のそんな気持ちをうわべの言葉だけで済ませてきたんだとわかり、本当に申し訳なかったと思いました。

 弟が3才位の頃、私と遊んで欲しくて、ニコニコ自転車を押してついてきたのを、私はいやで逃げてしまった時、弟はどれほど悲しかったことでしょう。私はこうやって幼い頃から弟のことなんて姉だから分かっていたようなふりだけで、実際には何も分かっていなかったのです。

 思い出を覚えているということは、何か自分にも、嬉しかったり、辛かったり、悲しかったり、びっくりしたりと、普通でない感情があるから覚えているわけで、何の感情も表してなかった私には、覚えるという手段がなかったのだと思います。本当に悲しかったです。

 ですが、この時初めて内観の意味がわかったような気がしました。私はこの弟のことを今までたった一度も振り返り、まして反省なんてしたことなかったのです。30才まで一度もです。思いもしませんでした。自分を包んでいた回りの卵のような殻が崩れ散ったような感じでした。

 私がもっと弟のそのような気持ちを考えてあげられれば、もっと面倒をみたり、もっと仲の良い姉弟になったのでは?そうすれば母ももっと笑っていられたし、私達もあんなにけんかをせずにすんだのです。ということは、もっと楽しくなっていたということで、・・・・・、「あっ!内観の未来が楽しくなるということは、このことだ!」と気付きました。

 そうすると、そのあとの内観で、配偶者とその親、そしてまた母に戻った時、今まで何となく見えていた自分自身がはっきりと浮かび上がってきたのです。今まで当然だと思っていたことが本当はそうでなかった。今まで嫌な事をすべて他人や何かの責任にすることで、またその理由を探す事でつじつまを合わせようとしていたことが、本当によくわかりました。

 また、きっと、他人、友達に接する自分も、弟に接する自分と同じだったこともわかりました。言葉「ありがとう」は大事ですが、もっと大事なことは「気持ち」です。そんな簡単なことの意味も、本当にはわかっていませんでした。人が人に何かをする時、(たとえそれが良い事でも悪い事でも)その行動に走るその人の本当の心があります。その深さに気付くことができ、それに対して感謝し、心から接していけることができる人になれるよう努力していきます。先生方本当にありがとうございました。

 また、私は今まで自己中心的な自分の性格から、子供を生んで育てていける自信がなかったのと、今の子供がどう育っていくかも不安で、子供を生む事を迷っていましたが、今回母のしてくれた事を思い出すと、同じ事をこんどは私が自分の子供に伝えていきたいし、間違ったところはこういう風にしてあげたいと思えるようになり、子供を生もうと決心しました。私は目的なくこの内観に参加しましたが、今は本当に来てよかったと思います。そして来させていただいた会社にも感謝しております。本当にありがとうございました。

【坂村真民詩集】

《 生 》

あなたがいられる

それだけで

わたしは生きてゆける

ああ

あさゆうのいのりを

あなたにささげ

きのうがあり

きょうがあり

あすがある

【仏語集】

 夫婦の道は、ただ都合によって一緒になったのではなく、また肉体が一つ所に住むだけで果たされるものでもない。夫婦はともに、一つの教えによって心を養うようにしなければならない。(ビルマ仏伝)

  

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