2003年9月5日第208号
幸福ニュース

【 第18回九州内観懇話会 】

 先月24日に、佐賀県武雄市内の 「如蘭塾」にて、第18回九州内観懇話会が開催されました。今回は4名の講演者の話した内容が特に素晴らしく、いい会合でしたので、皆様にご紹介させて頂きたいと思います。次回は、来年2月に福岡で開催する予定です。以下、各講演の内容の要約です。

(A)「内観療法について」 高口憲章(米の山病院精神科医)

 人間は通常の心理的防衛として、自分は悪くない、他人が悪いのだという「他罰」の理由を用意するのが普通であり、西洋の精神分析もそういう治療を行う。

 しかし、内観が深くなると、「他罰」ではなく「自責」に変わり、視点や見方が変わることにより、悩みや問題も解決する。また、自分の相手に対する心理を反映したものが、とりもなおさず、相手の態度、行動となって現れることも多いということにも気付く。

 内観は、金太郎飴的な治癒構造を持っている。即ち、内観3項目であり、内観者によって変化しない。また、副作用の少ない心理療法でもあり、嘘や罪の多い醜い自分という「罪意識」と、それでも多くの人や物に愛され支えられているという「被愛感」がキーポイントで、癒され立ち直る。

 また、『心の科学』に摂食障害の治癒事例について寄稿した。

(B)「企業への内観導入」 中健司社長(第一保険株式会社社長)

 当社の企業理念は「愛」であるが、長年、社員に説明し、徹底するのに苦労してきた。内観を体験し、「人生の垢落とし」「心のお風呂」だと思った。と同時に、社員を内観に送り込めば、企業理念を徹底し、良い社風を作り上げる問題も解決できると考え、内観を社員研修として取り入れた。

社訓 「愛」
愛とは奉仕である。
愛とは感謝である。
愛とは喜びである。
職場は愛の実践道場である。
仕事は愛の実践活動である。

(社訓は、毎日、朝礼で唱和している。)

 最初は憎たらしかった社員が、内観後は感謝できるようになった。また、社長は会社の責任者なのだから、家庭と同じように、社長とは社員につくすだけでいいのだと思えるようになってきた。太陽は、ただ照らすだけで見返りを求めない。私は会社の太陽だと思うようになったら、社員が変わってきた。社員を愛し、感謝できるようになってきた。

 内観のすごさは、「自分が幸せだということを気付かせてもらうこと」である。内観は自己重要感を満たしてくれるからhappyになり、自分がhappyになるから、他人もhappyにできる。つまり、自分の心に愛が灯ると、人の心にも愛を灯せると言える。また、人を幸せにすると、自分も幸せになる。

 20年前は、幸せとはお金だと思っていた。今は幸せとは愛だと思っている。幸せは、外にもとめるものではなく、自分の心の内にあるものである。私の会社の事業は、幸せを求めるためにやっている。

 内観の効果として、会社の雰囲気がよくなった、社員に笑みがある、自主的に仕事をするようになり、残業もいとわなくなった事などが、あげられる。

(C)「私の日常内観」 (男性)

 2001年12月に佐賀市の多布施内観研修所で集中内観を受けた。内観を忘れないように、日常内観を週一回の葉書という形で続けている。

 私は、「過去と他人は変えられないが、自分と未来は変えられる」という言葉が、内観を表す的確な表現だと思っている。

 元々、農家の長男で、中学時代に進路に悩んでいた。父に「お前はろくなものにならん。長男だから農業を継げ。」と言われた言葉が、グサッと胸にささり、トラウマになってしまった。

 農業をやることになったが、熱心でないものだから、勤めにでるようになった。本が好きで、精神分析の書物を読みあさった。精神分析では、すぐ、トラウマ探し、犯人探しをするので、内観に出会うまでは、一生懸命、過去と他人を変えようとしていた。だから、幸福感を得られなかった。

 精神修行の団体の仲間から、内観のことを聞いたので、内観の本を買って読んだ。その本で、佐賀市にも内観研修所があることがわかったので、年末を予約した。

 私の内観のターニング・ポイントは、小学3年の時、父が私のために、木を削って飛行機を作ってくれたことを思い出したことだった。それまで、父を憎み、この事も記憶からすっぽり抜け落ちていたが、これを思い出したときに涙が止まらなかった。

 まさに「被害者意識」から、「被愛者意識」への転換で、「が」と「あ」の一字の違いだが、非常に大きな違いだと思う。

 集中内観が終わってから、早速葉書を一年間分買い込んで、日常内観を始めることにした。「原点の感激、小学3年生の時のことを忘れるな」で、今も続いている。

 今週は誰について何時から何時までの内観というやり方で一週間考え、土曜または日曜日の朝、朝食前に書き、その後ポストに投函している。(宛先は、多布施内観研修所の池上先生である。)

 妻に内観前と後の自分についての比較を聞いたら、「運がよくなったし、愚痴を言わなくなり、明るくなった。」という返事が返ってきた。

(D)「私の内観体験」 (女性)

 16才の時から好きな人ができ、17才のときに背中に刺青までした。親の反対を押し切って20才の時結婚し、一女をもうけた。夫の浮気などもあったが、親には言えなかった。ある朝、目が覚めたら、私の悪口を書いた紙を残して、夫は夜逃げしていた。

 それからは、子供のために朝から真夜中まで、一生懸命働いてきた。夫への恨みとお金のためだけだった。

 心理カウンセラーである上司から、「一回お母さんに会ってみたい」と言われ、実家に連れていった。私が母に対して(距離をおいて)敬語のみを使い、一遍も「ノー」と言わないのを見て、上司はおかしいと言い、内観を勧め、強引に予約した。私はなんとか口実を設けて内観をさぼろうとしたが、集中内観初日も、上司が車で、多布施内観研修所まで送ってくれたので、やむなく始めた。

 内観最終日に、別れた夫に対してやっと内観できた。その時、刺青のことでも恨んでいたが、実はその刺青のお陰で服を脱ぐのがいやだったので、バーで、多くの男性から誘われたが断り、転落しないですんだということに気付いた。お金に目がくらんでいた私は、この刺青がなければ、道を踏み外していたと思う。それに気付いたとき、涙がボロボロでてきた。

 母への敬語は、刺青や失敗した結婚などの後ろめたい気持ちがそうさせていたのにも気付いた。内観後、母には謝って全部打ち明けた。

 唯一の心残りは、妹が健康食品の販売をしており、成績もよかったが、部下からの相談などで悩み、うつ状態におちいり、自殺してしまった。無理にでも内観をうけさせれば良かったと思う。その妹に対しては、「30年間も自分の妹でいてくれてありがとう。」と感謝している。

 今は、何でも楽しい。子供から「お母さんが堂々としてきた。」と言われた。また、色々な角度から物事を見れるようになった。これからは、どんなことがあっても、軌道修正して前向きに生きていけると思う。

【坂村真民詩集】

《消えないもの》

消えないものを
求めよう

消えないものを
身につけよう

消えてゆく身だけれど
消えないものがある

それは愛
そして真心

【仏語集】

 宝石は地から生まれ、徳は善から現われ、智慧は静かな清い心から生まれる。広野のように広い迷いの人生を進むには、この智慧の光によって、進むべき道を照らし、徳の飾りによって身をいましめて進まなければならない。

 貪(むさぼ)りと瞋(いか)りと愚かさという三つの毒を捨てよ、と説く仏の教えは、よい教えであり、その教えに従う人は、よい生活と幸福を得る人である。(雙考経)

  

-------------------------------------------------------

☆ご意見、ご感想、ご投稿をrengein@uproad.ne.jpへどうぞお寄せください。☆

【「幸福ニュース」無料購読申し込み 】

*あなたも メールマガジン「幸福ニュース」を購読しませんか。費用は、無料です。 下記に登録するだけで、E-MAILで毎月3回自動配信されます。

メールマガジン登録

電子メールアドレス(半角):
メールマガジン解除

電子メールアドレス:

Powered by Mag2 Logo

□インターネット・エクスプローラーでご覧になられることをお勧めします。□

バックナンバー

第207号 過食症

第205号 小林正観語録

第203号 お金と仕事の宇宙構造

第201号 幸福への道vs不幸への道

第199号 こころの遊歩道(1)

第206号 会社研修内観

第204号 父の浮気と死

第202号 30才男性の内観

第200号 こころの遊歩道(2)

第198号 幸せへの道=内観

幸福ニュース・バック・ナンバー(第121号以降)

幸福ニュース・バック・ナンバー(第71号〜第120号)

幸福ニュース・バック・ナンバー(第1号〜70号)