去る5月21日から23日まで「第27回日本内観学会大会」が、神戸松蔭女子学院大学で行われました。
その公開講座において、大阪の平井クリニック院長、平井孝男先生のご講演『今、求められているカウンセラーとは?』がありましたので、その抄録をお送り致します。
職場や家庭での話し合いにお役立て頂ければと思います。
カウンセリングにこられる方々で、困難症例が増加している。正しく悩めない人が多くなっており、悩む能力の開発というか、正しく悩むための補助線をいくつか引いてあげられるようなカウンセラーが求められている。
患者と家族の間を調整するのもカウンセラーの仕事のひとつである。
《望ましいカウンセラー》
話を聞き、的確な助言ができる。
親身になって聞く。
話し方や雰囲気が暖かい。
経験が深い。
問題を解決できる。
《望ましくないカウンセラー》
えらそうな態度をとる。
自身なげな人。謙虚すぎて頼りない人。
話を聞くだけで、何も言ってくれない。
話を聞くだけで、理解していない。
ロボット対応的カウンセラー。
あまりに大げさに共感しすぎる。
お金だけとって少しも治らない。
「入り口が出口を決定する」「最初のボタンの掛け違いがあとあとまで響く」
患者の沈黙―――良性と悪性がある。 黙っている場合、質問してみる。 「何か浮かんでくる事がありますか。」 「ちょっとこの事について追ってみましょう。」
患者がいろいろ聞きすぎる場合。 ―――質問して相手に考えさせる。(質問を無理しすぎてはいけないが。)
境界例(健常者と病人の中間の人)に要注意。
正しいことが、患者にとっては非常な圧迫になることもある。
カウンセラーに熱意は重要だが、熱心すぎてもいけない。火傷する場合もあるから、適度な熱意が必要である。
何に熱心になるかが大事。悩む能力の開発が大事。患者が自分で自分の事を考えられる、解決できる。カウンセラーは、あくまで補助線を引く役割である。
《プロの話の聞き方》
a.より広い視点、深い視点から聞く。
b.患者の話にまとまりや統一性をもたらす。(しゃべりすぎる患者はどこかで気付かせて、自然とやわらかく話しをとめる。)
c.質問が大事「知らないものは、聴くことである。」患者のペースに合わせながら聞く。
d.言葉の背景を見る。
(「死にたい」と言う時、背後に「生きたい」というのが聞こえれば大丈夫。
「殺したい」の時は、何故かと考える。また、甘えたいが隠れている場合もある。)
e.いくつもの仮説や見通しを持って聞いた方がよい。
f.できない事までしない。
g.カウンセラーの場合、犯罪の予測がつくような場合は、警察への通報義務があり、その場合は、患者にも「親や警察へ通報せざるをえない」ことをはっきり言う。
(米国では、聖職者に懺悔された内容の守秘義務を保護する為に、知りえた秘密を警察に通報しなくてもよいと法律で定められている。医師や心理療法士、カウンセラーなどには、将来の犯罪に結びつくような重要な情報は、警察への通報義務が法律上規定されている。)
「あのカウンセラーと話してよかった。」「あの人と話すと問題が整理され、解決の方向性が見えてくる。」と言われるのが、良いカウンセラーの一つのケースである。
「カウンセリングは生き方の創造でもある。」(終)
「すぐれた人がたいまつをかかげて現れた」とは、仏が智慧の光をかざして、人生に向かったことである。(パーリ、増支部)
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