内観をすることになったきっかけは、私が過食症となり、症状がひどくなって、生きる意味を考え始めたことである。内観という心理療法があることを知り、母に話したところ、生きる意味を考えるのなら、お寺にでも行ってくればいいんじゃないと言われたことで、私も内観を受けようと決心したのである。
内観1日目が始まった。初日は15時からだったので、夕飯の時間がすぐにきた。その夕飯の時間に内観者のテープが流れてきたのにはちょっとびっくりした。しかも、すすり泣く声とか、ものすごく一生懸命に内観の内容を話されるテープは気分を暗くさせ、1人での食事が何だか悲しくなった。
2日目から本格的に内観することになり、この7日間で私は母を2回、父を2回、弟そして祖母を1回ずつさせて頂いた。3日目まではあまり思い出せなかったが、4日目から少しずつ記憶がよみがえり、気付かされたことがたくさんあった。
私の弟は小さい頃病気になり、父母はどちらかというと、私より弟の方に目を向けていた。18才となった今では、私はあまり手がかからない子供だったし、弟の方に目が向くのはしょうがない事だと分かるが、子供の私にはそれが悲しくて、本当はもっと私にも目を向けて欲しいと感じていたのだと思う。
その思いを心の奥底に持ち大きくなった私は、自分の本当の気持ちを人に言えず、何でも人の意見に合わせ、親にも悩みを相談できず、親から見るとまじめな良い子になった。
そして、過食症になってからは、精神的に不安定になることが多くなり、特に母に対して、私を認めて欲しい、私は必要とされているのかという事を常に考え、訴えていた。
その答えが内観をして、間違っていたことに気付いたのだ。母について内観を勧めるにつれて、私が今までにやりたいと思ったことは悪い事じゃない限り、何でもさせてくれ、反対したことは無かった事や、そのためにかかる費用も惜しまなかった事、私の病気がひどい時はいつもそばにいて私を支えてくれていた事に気付いた。
父に対しても、小さい頃からあまりかまってもらった事はないと思っていたのだが、内観をした事により、結構色々な場所に遊びに連れて行ってもらっていた事、私の為にしてくれていた事がたくさんあったことに気付いた。それに気付いた私は、両親からの愛情でいっぱいになり、幸福感が満ちあふれている。今では両親の事を心から信じる事ができる。
帰ったら真っ先に、私を生んでくれてありがとう、育ててくれてありがとうと言いたいけれど、恥ずかしくて言えそうにないから、ずっと感謝の気持ちを忘れないでおこうと思う。
弟に対しては、弟が居てくれたから、私はあまり怒られることがなかったのかな、もしかしたら、私の分まで弟が怒られてくれていたのかもしれないと思った。弟は3才下だが、私が病気になってから、迷惑をかけっぱなしである。いつも心配してくれて気を使ってくれているのが分かる。
病気になってから、私はいつも一人だという孤独感があった。けれど内観を終えてみて、私は皆に支えられて生きているのだ、一人じゃないと思う。これからこの気持ちを忘れないよう少しでも内観を続けていこうと思う。
最後に、内観中私の話を聞いて頂いた先生方に感謝の意を表し、この7日間が無駄にならないよう、精一杯生きていこうと思います。(終)
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