れんげ農苑では土着菌入りの堆肥を使って野菜を育てていますが、これから3回に分けて土着菌の堆肥について紹介したいと思います。まず今日は土着菌堆肥がどのように効果があるかについて私がミャンマーで経験したことをお話いたします。
1999年2月ポー族の一人の農民がシャン州ニャウンシュエ郡にあるカラモジア農村青少年育成センターに非常に深刻な顔をして私に会いに来た。
彼は6エーカーの畑でにんにくを作り40万チャット(8チャットは1円)の赤字を出し、収穫物は次に植えるための種を残すのがやっとであった。長年使い続けた化学肥料のせいで土壌が酸性化し、土が瀕死の状態である。
私への相談は、農業省の普及員が石灰を撒いて酸性土壌を中和するようにと言っているが、そのように遣って良いかということを訊ねるためであった。
「確かに石灰を撒けば幾分酸性は中和されるが、元々石灰は石で出来ているため畑の土はもっと硬くなり作物が取れるようにはならない。」と答え、そして土着菌堆肥の作り方を教えた。
まだ、私が赴任して間もない頃で、誰もその堆肥を使ったことがなかったために彼も半信半疑ながら、他に手立てがないために私の言うとおり一生懸命堆肥を作って畑に投入した。
彼はにんにくの作付けまでに時間があったためまずはトウモロコシで試した。結果は彼がこれまで経験したことのないほどの豊作で、一つの茎に大き実が2〜3個付いていた。
堆肥の効果を理解した彼はそのトウモロコシの茎全部を使い牛糞や籾殻と混ぜて堆肥を作りにんにくに施した。翌年の収穫では210万Kチャットの売上、160万チャットの純益をを出した。
ミャンマーでは自分の息子を出家得度させる習慣があるが、その利益のお陰で彼は一度に3人の息子を得度させ村中にご馳走を振舞った。
勿論私も招待され、たくさんの農民から自分にもその堆肥作りを教えてくれと懇願され、その得度式のお祭りは一段落すると土着菌採取のデモンストレーションに変った。
通常その地域ではにんにくの種1kgから8kgの収穫があるが、彼はその年2倍の16kgの収穫を上げた。
また、彼はその時畑に試験区を設け栽培状況を克明に記録していた。そして、6エーカーの畑の一番良い場所で一番良い種を使い化学肥料を用いたものよりも、一番悪い場所で一番悪い種で土着菌の堆肥で作ったにんにくの方が優れていた。
このような例はじゃがいもやはと豆など多くの作物でも見られ、彼の成功で土着菌堆肥の普及は急速に展開し始めた。今土着菌と言う名前はミャンマーの農民の間では日本語のまま普通名詞化している。(続)
ものは大切に使わなければならない。生かして使わなければならない。これが「わがもの」でない、預かりものの用い方である。(法句ひ喩経)
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