「表土と土着菌堆肥」
農業をする上において土作りは基本である。そして、土作りと言うときに作る土は畑の奥深くにある土ではなくトップソイルと言われる表面の土である。
ブッシュ大統領の一期目の選挙の時に民主党の大統領候補として戦ったゴア氏は環境活動家としても有名な人であった。彼は著書の中で以下のようなことを述べている。
「アメリカでは200年程前森林を切り開きながらヨーロッパからの移民の人たちが西へ西へと開拓していった。その時アメリカ中部穀倉地帯の表土は平均で約50cmあった。しかし、この200年間に大型機械を使った大規模農業を行ってきたために表土は侵食され、ミシシッピ川から海へと流れ出し、現在では半分の25cmに減少した。」
このことについて私見を述べてみたい。まず、この事実はアメリカが将来も安定的に穀物生産を行う事を非常に困難にしていくものと思われる。自然の営みの中で表土が1cm作られるのに150〜300年(場所や気候によっても違う)掛かると言われている。
仮に1cmの表土を作るのに200年とすればアメリカはこの200年間に5,000年の歴史(自然が5,000年掛かって作り出した表土)を海に捨ててしまったことと同じである。
一方、土着菌の堆肥は森の表土中の微生物を醗酵の働きによって増殖させ、次に増殖して活性化した微生物によって有機物を分解させるのが土着菌の堆肥である。つまり、土着菌入り堆肥は換言すれば表土を作る技術と言っても過言ではない。
アメリカの農民が5,000年の歴史を200年で捨てるとすれば、日本の農民は長い歴史の中で試行錯誤と研究を積み重ねながら3ヶ月でその表土を作る技術を生み出した。日本の豊かな自然と先人のたゆまぬ努力に敬意と感謝を覚える。(農苑長 平野)
どんなものでも永久に変わらないものはないのであるから、すべてうつり変わる。ただ、これについて苦しみ悲しむことだけを知っていて、教えを聞くことがなく、心に深く思うことがなく、ただ眼前の快楽におぼれて、財貨や色欲を貪って飽きる事を知らない。(無量寿経)
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