母に対しての高校までの自分を内観してみて、よく口答えをし たり、つらく当ったりした事を思い出しました。

　その時は母は、どんな気持ちだっただろうか。どんな感情を私 に抱いていたのだろうかなど、今まで他人の心の事などあまり考 えなかった自分に気付き、とても恥ずかしい気持ちになりました。

　そして、そんな事があっても私をここまで大きくしてくれた母 の大きな心と愛に気付くことが出来ました。

　私達が生きている現在は、親が子を殺し、子が親を殺すという 恐ろしい時代です。私はこの人の息子で良かった、この人が母で 良かったと内観をやってみて素直に思えるようになりました。

　これまでも感謝の気持ちがまったくなかった訳ではありません が、いつも自分中心の物の考え方しかできていませんでした。他 人の事を考えることによって、ありのままの自分を見つめること ができ、自分のだめな所、そしてちょっとですが、自分の良い所 も改めて認識できたような気になりました。

　いつも口うるさいと思っていた母が、本当は私のやりたいよう にさせてくれていたこと、それをさせるために多大な経済的負担 を負わせていたこと、いつも心配させてばかりいた事、母には与 えるだけ与えてもらっていて、自分は母に何も返していない現状 にも気付き、自分の無神経さ、不精さにも非常に恥ずかしく思い ました。

　これから、今までしていただいた事に報いていくだけでなく、 自分から母にして差し上げれる様に、心から改めて、感謝の心を 常に持ち、接していきたいと思います。

　母が元気なうちに内観して本当に良かったです。祖母について も内観しましたが、やはり、していただいた事ばかりで、何もお 返しはしていませんでした。祖母は亡くなってしまっているので、 感謝の心を持つぐらいしかお返しはできません。ですので、祖母 の分も母に返していくつもりで、日々を精進していきます。

　父について内観して気付いたことは、私が小さい頃、私は父に かなりしかられたりしているはずですが、父との事を調べていく と、初めは楽しい思い出しか思い出せませんでした。私がいやな 事やつらい事を忘れているだけなのかも知れませんが、調べてい くにつれ、優しい父の心をはっきりと感じていくことができ、な つかしい思いがわいてきました。

　しかし、この優しさは今も引き続き私に向けられている事を内 観していくうちに気付きました。父は私が生まれてから今も変わ らず私に何かしらを与えてくれています。私は父に何も返すこと はせず、迷惑をかけ続けています。今からはこれを改め、正して いくことで、父の優しさに報いていきたいと思います。

　今回の内観で、両親のありがたさ、自分の不誠実な態度をあら ためて知ることができました。うすうす気付いていた事ではあり ますが、真正面から考えてみることなど今までありませんでした ので、自分が思っていた以上に多大な迷惑をかけていた事を気付 く非常に良い機会になり、また私の人生の転機ともなる体験をで きました。

　今回の内観では、母、父、弟、祖母、会社の人についての私を 調べました。この事で、家族のありがたみと、私のなすべき役割 に気付くことができました。家に戻ったら、早速父と母にお礼を 言いたいと思います。感謝の心はもとより、奉仕の心も持ち続け て生活していき、人生を楽しく過ごせる自分を作っていきたいで す。

　最初は正直、半信半疑でした。一週間つらいだろうなーと考え ていました。でも、一週間終えた今は、心が軽くなったというか、 いろいろな事に挑戦してみたい気持ちが湧いてきました。

　人に優しく、自分を厳しく律して社会に貢献できる人間になっ ていくことで、今回の機会を与えていただいた青山社長、お世話 していただいた所長、お寺の皆様に報いていきたいと思います。 本当にありがとうございました。

　　煩悩のちりに包まれて、しかも染まることも、汚れることもな い、本来清浄な心がある。まるい器に水を入れるとまるくなり、 四角な器に水を入れると四角になる。しかし、本来、水にまるや 四角の形があるのではない。ところが、すべての人々はこのこと を忘れて、水の形にとらわれている。（首りょう厳経）