1998年10月10日第45号
幸福ニュース

【 現代の帝王学 】
(伊藤肇著)

1.三つの柱

A.原理原則を教えてもらう師をもつこと。
B.直言してくれる側近をもつこと。
C.よき幕賓(パーソナル・アドバイザー)をもつこと。

2.原理原則とは{偉大なる常識}である。

3.其の身正しければ、令せずして行われ、其の身正しからざれば、令すといえども従わず。(論語)

4.シーザーの妻は、いっさいの嫌疑を受けてはならない。(プルターク)

5.当たり前のことを当たり前に行う。

6.上に立つ者が身につけていなければならぬ資格
a.使命感 b.無私 c.詩心(ロマン) d.現実処理能力

7.調停の原理原則
a.どちらが勝って、どちらが負けたかをハッキリしないこと。
b.当事者は、すべて損をした形にすること。

全く、事件と関係なく外部にいて、調停役を頼まれた時は、関係者の利害関係を克明に調べあげたうえで、調停に乗り出しなさい。
しかし、事件の渦中にあった場合には、自分の利害打算は一切忘れてやらないと、うまくまとまらない。

8.災難に逢う時節には災難に逢うがよく候。死ぬる時期には死ぬるがよく候。是はこれ災難をのがるる妙法にて候。(良寛)

9.窮すれば即ち変じ、変ずれば即ち通ず。(易経)

10.{任怨分謗}(にんえんぶんぼう)
任怨とは何か思い切った新しい仕事をやる時には、きまってだれかの怨みをかう。だが、そうした怨をいちいち気にしていたのでは、とても新規事業はやりとげられない。中傷の火の粉を恐れるな。

分謗は、いったん志をともにした以上は、一心同体となって、その怨を分けて受け、同志を守る気概をもたねばならない。

11.勇気の試練は死ぬことではなく、生きることだ。そして、時到らば死ぬがいい。死をことあげしたところで何になる。

12.六中観 (安岡正篤)
死中有活。苦中有楽。忙中有閑。壷中有天。意中有人。腹中有書。
{壷中有天}とは、現実の生活の中につくっている別天地のこと。
{腹中有書}とは、断片的な知識ではなく、しっかりと腹の底に蔵めた哲学をもっていること。

13.主を恐れしむる者はその身危うし。

14.酒は接待されてもいい。だが、女はいかん。

15.人間は病気の時と健康の時と、この二つの境界に処する工夫を究めておかねばならぬ。

16.人の仕事のうちで一番大切なことは、後継者を得ることと、後継者に仕事を引き継がしむる時期を選ぶことである。

17.老人は少壮者の邪魔をしないようにするということが一番必要だ。

18.清貧の原則
貧も恥ずるに足らず。恥ずべきは、是れ貧にして志なきなり。
財も悪(にく)むに足らず。悪むべきは是れ財にして能なきなり。
老も歎ずるにたらず。歎ずべきは是れ老いて空しく生きるなり。

19.人生に五計あり。
{生計}・・・われいかに生くべきか。
{身計}・・・いかに身をたてるか。
{家計}・・・家庭をいかに営み、維持していくか。
{老計}・・・いかに年をとるか。
{死計}・・・いかに死すべきか。死を見ること帰するが如し。

20.{大事をなし出すもの、必ず、跡あるべからず。跡ある時は、禍必ず生ず。跡なき工夫如何。功名を喜ぶの心なくしてなし得べし。}(甲子夜話)

21.{トップは三人の親友を持て。}(池田勇人)
一人はすぐれたジャーナリスト。一人は立派な宗教家。一人は名医。

22.上にたつと、物事が見えなくなり、三年で馬鹿になる。

23.土光敏夫{東芝の悪口を聞いたら、すぐ教えてもらいたい。ただし、誰がそれを言ったかは告げないでほしい。}

24.{心配するな。工夫せよ。}(木津無庵)

25.君主の頭脳の程度は、その宰相を見ればわかる。

26.三度、諌めて聴かざれば、即ち、これを逃がる。

27.隠居するなら惜しまれるうちに。隠居の身を置くなら、他人の邪魔にならぬところに。

28.宰相の条件
{居てはその親しむ所を視、富てはその与うる所を視、達してはその挙ぐる所を視、窮してはその為さざる所を視、貧にしてはその取らざる所を視る。}

(浪人している時に、いかなる連中とつきあっていたか。莫大な金を握った時、それを何に使ったか。高位高官に登った時、いかなる人物を抜擢し、いかなる書物を推薦したか。なすべき何事もない時に、じたばたしていないか。貧乏している時に、邪な金をとらなかったか。)

29.不遇の時は、沈潜して人間を磨くことである。静かに実力を養成することだ。

30.{国に功労ある者には賞(金とか物)を与えよ。功労あるからといって地位を与えてはならない。地位を与えるには、自ずとその地位に相応しい見識がなければならない。功労あるからといって見識なきものに地位を与えると国家崩壊の原因になる。}(西郷南洲)

31.{人を見る明}
a.人相(福相か凶相か) b.応対辞令 (現実処理能力と表現能力) c.出処進退の爽やかさ d.修己治人(己を治め、人を治める)

32.{財集まらざるは恥なり。集めて、これを己のものとするはまた恥なり。}(西田天香)

33.国の四患
第一に偽。第二に私。第三に放(放埓)。第四に奢。

34.上司と意見を異にした場合の留意する事:
第一に毛筋一本ほどでも私利私欲があってはならない。
第二に相手の立場を尊重し、あくまでも礼儀を守ること。
第三に不幸にして容れられぬことがあっても、平心を失わず、その場は退いて、自分を再考し、何日か考えたあげく、やはり、自分が正しいと思ったら、また、話をもちだしてみなさい。これだけの用意があれば、相手もきっと私心のないことがわかってくれるし、後日、あなたの言うことに耳を傾けてくれるでしょう。

35.{上に立つ者の道}三十ヵ条

1.むかう所を明瞭に示せ。
2.信を他の腹中に置け。
3.虚心担懐、光風霽月、是を是とし、非を非とせよ。
4.褒める時褒め、叱る時叱る。
5.権謀は無策に劣る。功詐は拙誠にしかず。

6.功を部下に推し、責めを身に引け。
7.広く意見を徴すべし。部下の話は熱心に聞け。
8.己に薄く人にあつく、己に厳に人に寛なれ。
9.長所を見て人を使え。人は誰しも長所を有す。
10.愚痴と立腹と厭味とは人の上に立つ者の大禁物、言いたきことあるも耐え得る雅量あるべし。

11.みだりに難きを責むるな。ただし、泣いて責むべき場合あり。
12.自分がまず研究して確信を得よ。
13.金銭に恬淡たるべし。
14.部下の人事に熱心なれ。人の世話はよくしてやれ。
15.その労するところを知り、よく、これをねぎらえ。

16.寡黙重厚。従容自若。眼眸厳正。挙止端正。
17.よく休ませ得る者は、よく働かせ得るものなり。
18.人のことをわがこと程に思え。
19.努めて失意逆境にある人をひきたてよ。
20.自他の職域を守り、これを尊重せよ。

21.知らざることは、あくまで知らずとなせ。
22.少なく言い、多く行え。
23.絶えず研究して、一歩先んぜよ。
24.小疵をもって大功を没すべからず。
25.部下に威張るな。部下の機嫌をとるな。至誠一貫、正々堂々。

26.外柔内剛、柔らかくとも一節あれ。
27.事をなすには、腹をきめてかかれ。やるべきときには、断乎としてやれ。
28.上に立つ者は、部下をして己の最大の保護者たることを感ぜしめよ。
29.自分一人にて事をするな。任せて人を使え。ただし、監督を怠らば、仕事をする人に張り合いがなくなる。
30.部下と能力を競うな。
31.象徴を高く掲げ、衆心一致、精神の統一をはかれ。中心の引力はあらゆる手段をつくして強固ならしむべし。

家庭で仕事で地域で、あるいはボランティアなどなんらかの集団のリーダーをされる方々の指針だけではなく、人生の処し方の原理原則として参考になる本です。

【坂村真民詩集】
才なき人は才なきままに
処するがよい
花にたとえるなら侘助(わびすけ)のように
鳥にたとえるならみそさざいのように
おのれの花を咲かせ
おのれの歌をうたい
嘆かず訴えず
なにごともあるがままに
生きるのが一番よい

《見えないからと言って》

日の昇らない時が
あっただろうか
月の出ない時があっただろうか
見えないからと言って
なかったとは言えない
それと同じく
見えないからと言って
神さまや
仏さまが
いないと誰が言えよう
それは見る目を
持たないからだ
大宇宙には
たくさんの神や仏さまが居て
この世を幸せにしようと
日夜努力していられるのだ
一輪の花の美しさを見たら
一羽の鳥の美しさを見たら
それがわかるだろう
見えない世界の神秘を知ろう

【仏語集】

さとりにはきまった形やものがないから、さとることはあるが、さとられるものはない。迷いがあるからさとりというのであって、迷いがなくなればさとりもなくなる。迷いを離れてさとりはなく、さとりを離れて迷いはない。

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幸福ニュース・バックナンバー
第43号 中学生の内観

第41号 願いを実現させる

第39号 ご先祖様から拝まれる人

第37号 右脳で生きるコツ

第35号 経営者の教育力

第44号 生きがいの創造

第42号 生きがいのマネジメント

第40号 経営者の内観

第38号 不登校(母親の内観)

第36号 幸せ法と青年の内観

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