内観を終えてみると、当たり前は当たり前でない事、感謝の気 持ちは忘れてはいけない事に気付きました。

　過去の自分を深く内観する事で初めて気付く事が多くあり、母 からの深い愛情のもと、ここまで生きてきたこと、父からの力強 い助けのもとにここまできた事、そして多くの人達より支えられ てきている事などに気付きました。

　日々の生活の中でこのようにゆっくりとした時間をとり内観で きた事は、私は非常に恵まれて」いると思います。日常の時間の 流れから少し離れて考えるだけで、こうも多くの発見があるとは 思いもしませんでした。

　内観中は他の人と話をする事が出来ませんが、これだけでもい かに多くの人が自分の周りを取り囲んでいるかということが分か ります。

　つい自分に自信がついてくると何でも自分の力で出来ているよ うに思ってしまいますが、これは誤りで大きな間違いでした。

　いろいろな人達の協力と言葉によって自分は生きているのだと 改めて思い知らされました。かの中国の故事にも「水魚の交わり」 という三国志の言葉があるように、我々人間は誰しもはずれる事 なく、関わり合いがあるという事でした。

　もちろん意味のない人生などなく、生きている事で必ず誰かの 支えになっているという事です。普段当たり前のようにある物は、 誰かしらの支えによってあるのであり、それは父であったり、母 であったり、友人や祖父祖母など、多くの人の気持ちが込めてあ る事に気付くことも出来ました。

　人間、非常に困っていない時にされる事は感謝もしません。こ れは当たり前だと思っているからです。何事にも感謝の気持ちを 忘れていなければ、人からの支えにも忘れてしまう事も、気付か ない事もないはずです。

　近年は親が子を、子を親が殺めるといった非常に心苦しい話を 多く聞きます。これもきっと今の豊かさの中で、豊かさが当たり 前になってしまい、当たり前がなくなると、とたんに他人からう とまれているように感じるのでしょう。

　人の欲は欲しがるばかりですが、ここで少し感謝という気持ち を持てば今度は人に与え、またその人が他の人に与えて・・・・ ・とみんなで良い流れを作ってゆくように心がけていかなければ ならないと思います。

　父母より愛情を受けて育ってきた事は事実ですから、内観によ って先ずそれに気付く事が大事だと思います。これに気付いてゆ くと後は氷が解けるように自分自身が今まで受けてきた愛情や支 えに気付いてゆきました。

　人との争いも、まずは相手の話を聞き、自分の中へ一度受け入 れてから考える事も大事だと感じました。自己主張ばかりでは、 次第にまわりから人は離れていってしまいます。今一度自分を改 めて、この内観をきっかけとして、今後の自分の人生と、他人と の生活を充実させてゆこうと思います。

　自分は結構善人だと思っていましたが、内観で、何ともまあ恩 知らずな自分であった事が、非常にみっともなく感じました。

　日常生活ではなかなか自分を見直す事は難しいかもしれません が、休日など一分、一時間だけでも、自分を一度内観してゆく事 が出来ればと思います。まず、こういう機会を与えて下さった方 々へ感謝したいと思います。