今回は、朝日新書の『一日一生』(酒井雄哉著、朝日新聞出版) を紹介させて頂きます。千日回峰行を2回成就された酒井雄哉大阿じゃ梨様の書かれた もので、とても平易で読みやすく、明日を生きる力がわいてくる 本です。是非ご一読下さい。
1)一日が一生と思って生きる。
今日失敗したかって、へなへなすることない、落ち込むことも ない。明日はまた新しい人生が生まれてくるじゃない。今が一番 大切です。今自分がやってることを一生懸命、忠実にやることが 一番いいんじゃないのかな。
2)身の丈に合ったことを毎日くるくる繰り返す。
「二度の千日回峰行を経てどんな変化がありましたか」とよく 聞かれるけど、変わった事は何にもないんだよ。自分の与えられ た人生を大事に、こつこつと繰り返すことが大事なのじゃないか な。人間から見た偉いとかすごいとかなんて、仏さんから見れば 何にも変わらないから。
3)仏さんは人生を見通している。
仏さんは「道は開いてやるけれど、後は自分でもって考えなさ い。」って言うんだな。簡単には人生の答えはくれない。だから、 座礁しちゃ這い上がって、座礁しちゃ這い上がって、ずっーとあ きらめないで、のっこのっこ、のっこのっこやってるわけですな。
4)ありのままの自分としかっと向き合い続ける。
「生き仏」なんていわれると、ぼくは気をつけないといけない なと思う。周りの自分への対応が変わると、自分が偉くなったよ うな気がしちゃう。そうなるとおごりが出てくるし、自分の心を 磨かなくなる。
現実に今とらわれている世界だけでもって勝負しようとしてし まうから表面ばかりが気になるが、人生は見えている世界だけで はないからね。大事なのは、今の自分の姿を自然にありのままに とらえて、命の続く限り、本当の自分の人生を生きることなんだ な。
5)人からすごいと思われなくたっていいんだよ。
坊さんは坊さんらしくする。いくらどんな行を何回やっても、 何もつかむところがなかったら何の意味もないよな。それだった ら、たった一日でもいい。深いところを味わいながら、丁寧に歩 いてみる方がいいかもしれない。人が忘れていたことや、大切な ことをちゃんと教えてくれるから。人からすごいと思われなくた っていいんだよ。
6)「一日」を中心に生きる。
「一日が一生」と考える。「一日」を中心にやっていくと、今 日一日自分のペースで全力を尽くして明日を迎えようと思える。 一日一善だっていい。一日、一日と思って生きることが大事なの と違うかな。何にも変わらないようにみえても自分自身はいつも 新しくなっている。毎日毎日生まれ変わっているんだよ。一日だ って同じ日はないしな。
7)今日のできごとは今日でおしまい。
「一日が一生」という気構えで生きていくと、あんまりつまら ないことにこだわらなくなるよ。今日の自分は今日の自分、明日 の自分は明日の自分、と考えれば、今日よくないことがあっても 引きずらなくてすむ。「今日のできごとは今日でおしまい。」
8)生き残ったのは、生き「残された」ということ。
生き残るんじゃなくて、生き「残される」ものなのかもしれな いな。なにかお前さんはざんげしろ、もっと世のためになれって、 そういうことでもって仏さんは、この世に残しておいているんだ よ。命が残されているっていうことは、今何才であろうと、まだ まだしなくちゃなんないことがあるのとちがうかな。(続く)
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