私は「内観」が何であるか、という事を詳しく訳の分からぬままに、こちらのお寺に飛び込ませて頂きました。
それまでは己の体調に気分も支配され、一日に何度も外に出てウロウロして気分を変えなければ、一口の食べ物も喉を通らない有り様でありましたので、一日中じっと只ひたすら座り、物事を深く考える日々を一週間もの長い間、続ける事が出来るのかどうか、不安に押しつぶされそうでございました。
しかし、これは良い事ではありませんが、元々の「なまけもの癖」がむくむくと頭をもたげて来たのか、内観を始めてみると、石になったように動かずに座ることが出来ました。週の中日頃、とてつもなく辛く淋しくなって逃げ出したくなりましたが、どうにか乗り越える事が出来たようです。・・・まだまだ油断出来ませんが。
さて、私の記憶では、初日に母、次に父、元主人、そして太陽と職場の上司について内観をさせて頂きました。その間、参考となるテープや読物を先生から頂戴致しました。
先ず両親について考え、調べてみましたところ、面接の先生が教えて下さいましたように「当たり前」の事が、本来なら当たり前には得られない、与えて下さった「かけがえのない愛情であった」という事に、初めて気が付きました。
私自身が両親を選べないのと同様に、両親もまた、私という子を選べず、生まれてきた私。このわがままで恩知らずで迷惑を掛けてばかりの子を、莫大な愛情と時間と体力と金銭と命を懸けて、心をかけて育てて下さいました。
感謝をせず、両親の気持ちも考えず、平々凡々と、日々呼吸をし、食事をし、生かされて来た自分を省みる事なく過ごして来た時間の山は、積み上げると一体、宇宙のはるか彼方、どこまで続くものでしょうか。お天道様もびっくりされる事でしょう。
私は、その「太陽」についても考えてみた時、もしも太陽がなかったら、私の大切な父と母はもちろん、自分自身でさえ、そして人類を始め、命在る生きとし生きる生命体全てが生み出される事がなかった事、生かされている事が、実は当然の事では無いことに初めて気付かされ、当たり前かのごとく始まった「今日」という一日と、昇って下さった太陽に感謝すべき事を初めて知りました。
また、私の体調不足の引き金となりました、職場の上司とのトラブル、そして病気が長引いている原因の一つではないかと自分自身で考えていた、元夫の裏切りについて、今まで避けていた過去の記憶の糸を、恐る恐るたどって行きますと、恨みごとばかりに凝り固まっていた自分を、少しばかりですが、客観的にみる事が出来たような気がします。
このように、弱気な発言をするのは、まだまだ相手の方を全部許す事が出来ていないからです。内観にて教わりましたところの三つの事、即ち「お世話になりました事」「お返ししました事」「ご迷惑をお掛けしました事」について、相手の方からして頂いた事ばかり多いのに対して、自分がして差し上げた事が、いかに少ないかに気付く事が出来かけたものの、「事実を受け入れ、許し、許され、感謝する」心までは到達しておりません。
これからも毎日内観を未熟ながら行っていく中で、徐々に心の鏡の曇りが取れ、鏡にまっすぐに向かってにっこり笑う事の出来る自分が、いつの日にかあらんことを願いつつ、今日は筆を置かせて頂きます。(終)
拒食症は精神科のお医者様でも非常に治すのが難かしいと言われています。この方もガリガリにやせた状態で内観にいらっしゃいました。途中、食後吐いたり、お腹が痛くなったりで、半分は横になったまま、内観をして下さいました。現在は、希望に満ちたとても明るい顔になられています。
元夫に対しては、最初内観したくないとおっしゃっていましたが、終わりの頃、自分からすすんでしてくださいました。また、職場の上司の方については、「迷惑かけられたと思っていたが、実は大きな迷惑をかけていたのは、自分の方だった。」と、最後の面接で見方が180度変化しました。事実を事実としてありのままに見つめることによって、恨みや憎しみが小さくなり、こだわりから解放されたようです。
今も毎日、軽い運動とともに、日常内観を日記の形で続けておられます。恨み、憎しみ、怒りがどんどん溶け、感謝が日ごとに大きくなっていくのがよくわかります。面接した私の方が教えられることの多い、非常に深い内観で、私共に励みと喜びを与えてくださいます。合掌
幸せはどこからくるか
それは自分の心からくる
だからたとえ不幸におちても
心さえ転換すれば
灯台の灯りのように
自分ばかりでなく
周囲をも明るくしてくれる
そのことを知ろう
謙遜の心があり、敬いを知り、執着を離れ、清らかに行い、智慧明らかな人の生活は、なし難い。
他人の過ちは見やすく、おのれの過ちは見難い。他人の罪は風のように四方に吹き散らすが、おのれの罪は、さいころを隠すように隠したがる。
おのれを抑えることと、多くしゃべらずにじっと考えることは、あらゆる束縛を断ち切るはじめである。(法句経)
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