10年前のある夜、友達と酒を飲んでいるときに、私の年上の友人の仕事振りを、酒の肴にして話していた。彼は上京してプロミュージシャンになる目標をあきらめ、日々パチンコで暮らしていた。私は最初の会社が倒産し、職安で見つけた別の会社へ勤めていた。
私は、「あんた、いい年して、いつまでプラプラしよっとな。音楽は働きながら、できろうもん。モラトリアム(猶予期間)もいい加減にせな。」と言い放った。彼は腹立ちまぎれに酒を飲み続けていた。目上の彼に対して、私はひどい無礼をはたらいたのだった。
ところが、この内観で、私は大きな間違いに気付いたのだ。(「内観」とは、「してもらったこと、して返したこと、迷惑かけたこと」を調べることにより、相手中心に自分を深く見つめ、幸せになる方法です。)
それは、私こそが、その「モラトリアム」のまま生きてきたということだ。学生の時の甘えた心、無軌道な考え、自分中心のまま、いや、それを増大させたまま生きてきたのだ。
だから、自分の行動には甘く、法律を軽く考え、よく破っていた。山中に大麻を植え育てていた若い頃。女性の見方のようなふりをして肉体関係を持ち、すぐ逃げた20代。免停中に運転し、取り消しになった30代。サラ金で借り、ヤクザに頭が上がらず、家族の暮らしをどん底に落としたこともあった。
きりがないほど無茶苦茶で、計画も何もない獣そのものだった。いや、獣も家族は守るから、それ以下である。
ところで、私は歌をつくって歌うことが本当に好きで、人に楽しんでもらうことが生きがいなので、ライブハウスだけでなく、慰問や訪問演奏をしたりしている。その時、よく質問される。「あなたは何をする人ですか?」と。
もちろん、そのまま言うしかないので、「私はサラリーマンで、人前で自分の歌を歌うのが好きなんです。」と答える。でも年配の方から聞かれる時、「いったい何者なんだ。」と本質をつかれたような気がして、笑ってごまかすことがある。
私は自分を、「良くはないが、悪くはない人間。いや、心根はいいやつなんですよ。」ぐらいに思っていた。でも、他人の目から深く自分を見つめてみると、とんでもない。自分は罪深い人間で、私の人生は間違いなくボロボロになっていることがわかった。それは自らのした結果が集まった滅びの国だった。私はそれを認めたくなく、誤魔化して自分を見ていたのだ。
過去形で書いているが、現在もまだ、その真っ只中にいる。ここから戻ったら、サラ金の取り立てにまず対応せねばならない。ただ、ここで学んだことは、先生が二度もおっしゃって下さった「自分が変われば、周りも変わる。」ということだ。
そして、私のようなつまらない人間に、どういった立場であっても言葉をかけて下さり、助けてくれる人がいることに感謝したい。
一番大切なのは自分というとおかしいが、「感謝をし、人を助ける」自分だ。本来的な生き方を自ら学びたいし、本当に大切な我が子の力になりたい。妻の本当に喜ぶ顔をみたい。
すべてを隠していたのは、見ようとしなかった見えない自分であり、私自身だった。これからは、大きく目を開いて、頭を下げ、笑い、泣き、生きていきたい。合掌
外から飛んでくる毒矢は防ぐすべがあっても、内からくる毒矢は防ぐすべがない。貪(むさぼ)りと瞋(いか)りと愚かさと高ぶりとは、四つの毒矢にもたとえられる、さまざまな病を起こすものである。
心に貪りと瞋りと愚かさがあるときは、口には偽りと無駄口・悪口と二枚舌を使い、身には殺生と盗みとよこしまな愛欲を犯すようになる。(パーリ、本事経)
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