今回は熱心な読者の方からの投稿をもとに考えてみました。皆様も考えてみて下さればと思います。
ふとしたことがきっかけで別荘(ログハウス)を建てることになり、三十五年にわたる長い公務員生活にピリオドを打つ直前の今年三月末にようやく完成をみた。大自然に囲まれた深い山間の温泉地にある農地を購入し、これを宅地に転用したもので、決して贅沢な造りではないが、室内にはまだまだ馥郁(ふくいく)とした木の香りが漂い、定年退職を迎えた我々夫婦にとって、いま流行の言葉でいえば『癒しの空間』ともいえる格好の落ち着きの場所となっている。
一般道路から100メートルほど山手に引っ込んだ一段と閑静な場所にあるため、静かさはこの上ない。おまけに終日、日当たりが良く、ちょうど借景となっている窓越しに眺める山々の風景は、いつまで見ても見飽きない。テレビは集落の共同アンテナから引き込み設置したが、ニュースを見る程度でほとんど見ることもない。
逆に、周囲の自然がもたらす風のそよぎや四季折々の野鳥のさえずり、野生の鹿の鳴き声など自然界の実に素晴らしい生きた音色に耳を傾け、澄んだ水や空気の素晴らしさを改めて実感している。
日没後ともなると辺りは都会では経験したことのない漆黒の闇に包まれ、満天に輝く銀河や星々の数の多さに驚かされ、満月の夜など月明りの素晴らしさに感動している昨今である。
同時に日頃都市空間の中での生活が果して人間本来のあるべき生活に合致したものなのだろうか、否すでに懸け離れたものとなっているのではないかと大いに疑問に思うのである。
週末に利用する程度ではあるが、贅沢な都会の暮らしに慣れた者にとってさぞかし不便な生活を強いられるのではと思っていたが、美味しい水とその水に育てられた良質米を近所の農家から分けていただき、そのお陰で栄養のバランスはともかく、粗末な一汁一菜でこれほどの幸せはないと実感できるほどに心豊かな至福の体験をさせていただいており、感謝、感謝の日々である。まさに心洗われる思いである。少しばかり大袈裟にいえば、これが人間として生きるうえでの基本ではないかと思われる体験をさせていただいているように思う。
また、目を外に転ずれば、厳しい大自然の移り変わりに少しも逆らわずに順応して生きいている多くの動植物を見るにつけ(彼等は自身で本能的にそのようにしなければ生きられないことを知っているにせよ)自然界の頂点に立つ人間の横暴ともいえる生き方は自分自身を含め大いに反省させられ、考えさせられている。
かってこれ以上の繁栄はないといわれるほど今日の繁栄を謳歌しながら、一方でまだまだ現状に満足しないかのように更なる豊かな生活を求めて、飽くなき欲望と大量消費、飽食の時代を生きている我々はもっともっと謙虚かつ素直に生き方・在り方を猛省すべき時期に来ているのではなかろうかと思うが如何だろうか。
中国の古典・老子に『足るを知る者は富む』とあるが、欲望の権化と化したかのように見える現代人にとって『真に満足することが心豊かに生きることになる』と諭す老子の言葉はどういうことか、じっくり味わってみることも必要ではないか。
枝廣淳子さんや青年会議所などで、取り組まれている『地球活動評価プログラム』というのがあります。「環境経営」の実践活動ですが、やってみると経費削減やコストダウンにつながるという実利的な効果がでてきます。また、経営を今までとは全く違う視点からも眺めることにより、新しい気付き・発見がでてきているようです。
日本では昔から「もったいない」ということが言われてきましたが、それを形にあらわしたものが、この活動ともいえ、仏教思想を経営に活かしたものとも言えそうです。
時代の潮流は大きく変わりつつあります。日本の政治も、今までの経済一辺倒の延長ではなく、例えば、「環境立国で世界一を目指そう」ぐらいの目標を打ち出す政治家や政党が現れてもいいのではないでしょうか。そのためには、50年後、100年後の日本を考えた場合、国会議員の半数は、しがらみにとらわれにくい女性の方がいいのかもしれません。少なくとも子や孫のことを考え、生活者の視点で、日本を立て直すでしょう。
自動車業界からも、水素電池自動車が実用に供され始めました。産業界の方が先行しています。猛毒のダイオキシンなどをばらまく生活から、いい加減に目を覚ます時に来ているのではないでしょうか。『小欲知足』という言葉を思い起こし、現在当たり前と思っていることが本当にあたりまえなのか、ゼロ・ベースで考え直さないと、日本の未来はないと思います。皆さまはどう思われますでしょうか。(終)
心よ、おまえが、すべてのものはみな実体がなく移り変わると知って、執着することなく、何ものもわがものと思うことがなく、貪(むさぼ)り、瞋(いか)り、愚かさを離れさえすれば、安らかになるのである。
智慧の剣をもって愛欲の蔓(つる)を断ち、利害と損得と、たたえとそしりとにわずらわされることがなくなれば、安らかな日を得ることができるのである。(長老偈註)
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