今回は、熊本県玉名市の倫理法人会ナイト・セミナーで、上村茂則先生(株式会社水の子社長、熊本県八代郡竜北町)の講演の概要を、先生のご許可を得て配信させて頂きます。
上村(うえむら)先生は、最初通常の米作りの名人でした。通常のというのは、化学肥料や農薬を使う大量生産農法のことです。ところが、29才の時、胎児性の水俣病患者に出会ったことから、今の農法でいいのかという疑問をいだき、有機農法に転換することを決断しました。
全くの手探り状態で始めた為、生産量がほとんど上がらず、4〜5年はすごい貧乏をしました。それで、お金を使わなくてすむように、全ての役職をやめ、お酒もタバコもやめました。農業収入が充分でないため、肉体労働などの出稼ぎもしました。人から頭が狂ったと言われ、村八分にあいながらも、妻の支えにより有機農法を続け、少しずつ仲間が増えてきたそうです。
「作り手の足跡のない畑の作物は実りが悪い」との言い伝えにヒントをえて、農作物の夜の姿も知らなくては、本当に作物がわかったとは言えないと思い、半年間午前一時に起きて田畑に行ったそうです。
真冬一月の寒さの中で、イグサを見ながら気付いた事は、次のようなことでした。「今まで、自分が作物を育てているんだと思っていたが、とんでもなくおこがましいことだった。作物が自身の力で育つのを、私はほんのちょっと手助けしているにすぎない。」「作物は種を蒔いたところが死に場所なのだ。作物が我々に生命を提供してくれている。それで、農業者は生きていける。」と、作物や生命や自然への感謝の念がわきおこってきたと言います。
それからは、毎日作物へ声かけをするようになりました。「おはよう」「ありがとう」などの言葉をかけながら、下から上へ優しく撫でるそうです。上から下へなでると、植物にとっては、折られる恐怖からストレスになるそうです。作物も喜びたいのです。
愛情をこめて声をかけたり、抱いたりした結果、作物の病気への抵抗力が高まったそうです。また、味もよくなり、びっくりするような事が起きました。関東の女子大生から、一通の手紙が届き、失意のどん底で、食事もせずにいた時食べた「水の子会」のミカンによって、心が癒され元気付けられ、立ち直ることができたことが書かれていたそうです。
何年かして次に手紙が来た時は、オーストラリアからで、留学して元気に勉強しているとのことだったそうです。その次の手紙は、結婚式の写真付きでした。次の便りは、赤ちゃんの写真がはいっているのではないかと思って、楽しみにしているそうです。
「私はあまり営業をしていない。作物がお客を喜ばすので、あまりする必要がないのです。阪神大震災の被災者への支援活動をしていたら、支援を受けた方々のお蔭で、全国に販売網ができた。」
「水の子会」とは、あらゆる生命は水の恩恵によって育まれていることへの感謝と、水俣病の教訓を忘れてはならないと言う思いから付けました。会員になるための条件は、合成洗剤を用いずに石けんを使うことだけです。
私は宗教者ではないが、長年農業を続けて得たものは、植物は私達と同じ生命を有し、愛情を受け止めてくれるということです。これは、全国で唯一、りんごを無農薬、無肥料で育てている青森の有機農法栽培家も全く同じ事を言っています。
この青森の方が有機農法に切り替えた木は、4年間実がなりませんでした。5年目の春、5本のうち4本のりんごの木にひざまずいて土下座して、お願いだから今年は実をつけてくれと祈ったそうです。もう1本も同じようにしようとしたら、そこは隣りの農園との境に近く、作業している人がいたので、変に思われるといけないから出来なかったそうです。
そしたら、4本だけ実をつけ、1本はならなかったそうです。この青森の有機農法家の方も、「上村さん、作物を作物として見たらいかん。あいつらも人間と同じだと思わないかん。」と言われたそうです。
この有機農法の名人の方達は、単に愛情を注いで栽培しているというより、その上のレベル、つまり、祈りの農業の域に達しているのではないのかと思います。植物と心の交流をしながら、人々を癒す、そういう農産物をつくり、世の中に貢献していらっしゃるように感じました。
また、「物は、これを生かす人に集まる」という言葉がありますが、市場に出せないあまり物の農産物は加工して、飴やその他の製品として販売しているそうです。捨てずに生かしきるということで、それらの売上が三分の一を占めており、「捨てればゴミ、活かせば喜ばせてくれる」ということでした。
また、話は変わりますが、あるりっぱに再起した経営者の方が、「前、失敗した時とどう違いますか。」と聞かれた時、こう答えたそうです。「いや、仕事の内容は同じです。ただ、今は、夜遊びするようなことはありません。また、商売は自分一人の力でやるものではないことに気付きました。ですから、毎朝事務所にはいる前に、事務所に挨拶し、コンピューターや、机や車などにも『今日一日よろしくお願いします。』と言い、帰る時に『今日も一日ありがとう』と言うようになりました。御蔭様で順調にいっています。」と答えたそうです。
株式会社「水の子」では、出荷する農産物の箱の中に「ありがとう」の紙を入れています。これは、作物とお客様への感謝の気持ちを表す為だそうです。
また、上村先生は、「ついてる。ありがとう。感謝します。」と「許され、生かされている私達。今日一日、朗らかに安らかに、喜んで進んで働きます。」が口癖だそうです。皆さんも試してみては如何ですか。きっと幸せになり、事業も順調にいく事でしょう。
仏の衣を着るとは、柔和であって忍ぶ心を持つことである。仏 の座に座るとは、すべてのものを空と見て、執着を持たないこと である。仏の室に入るとは、すべてに対して大慈悲の心を抱くこ とである。(法華経)
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