今回は、住友銀行の常務取締役から関西銀行頭取への移動を天命 として受け入れ、地銀ワースト3に入っていた破綻寸前の同行を 立派に立て直した、関西アーバン銀行頭取 伊藤忠彦氏の『宇宙 が見方する経営』(講談社インターナショナル)を紹介したいと 思います。
目先のことに囚われがちな我々にとって、為になる良書です。経営者や、現在うまくいっていないと感じていらっしゃ る方々は、是非ご一読下さい。
(1)何故、懸命に努力しても成果が上がらないのか。それは、 殆どの人達が、目の前に存在する、形あるものにこだわり過ぎて いるからです。しかし、本当に大切なのは、目の前に存在するも のではなく、その背後にあるものなのです。「努力が報われない」 と嘆く前に、努力の方向性が間違っていることを認識する必要が あるのです。
(2)ものの背後にあるものとは、企業の命、仕事の命、すなわ ち、確固たる理念です。そして、強く「思い、念じる」ことが重 要です。脳から出る信念の波動「想念」の大切さをよく理解する ことが必要です。そして、想念の波動の力は、「宇宙進化の摂理」 の波動とどのくらい同調するかによって決定されるのです。
(3)2つの目
蛇の目・・目先の物事しか見ず、感覚や欲望のままに生きていく。
鷲の目・・高い所から広く見えているから、目先の失敗に騒がず、一時的な成功に驕ることもない。
(4)まず、想念による目的の世界があり、原因の世界があり、 そして現在の結果の世界がある。だから、想念が大事である。 想いの方向が間違っていたら、間違った結果が出てしまう。
(5)いい苦労なのか、悪い苦労なのか、それを分けるのは 「目的」である。悪い目的を持って成功した場合、その悪い目 的が正当化されてしまうので、驕り高ぶり、威張り散らす社長 になってしまう。良い目的を持って成功した社長は、自分の成 功に対して謙虚な気持ちになれます。中小企業の社長はこの二 つのタイプに分かれることが多い。
(6)2種類の目的
a)天国から来ている目的・・・天が喜び、回りを幸せにするような目的
b)地獄から来ている目的・・・自分だけが幸せになればよいという目的
a)だと、神仏が成功を後押ししてくれる。b)だと一時的な成功 に終わる。問題は結果ではなくて、目的なのです。その人の生 きる価値観、生きる目的如何によって、知らず知らずのうちに 人格は形成されていくのです。
(7)私は業績をあげてきたが、怒ったり、ノルマで部下の尻 をたたいたりしたことはない。私はみんながうまく働ける為の、 いい仕組みを作ってきた。できないことがあれば、何故できな いのかという理由を考え、それを解決する方法を考えだした。 その解決法を考え、部下に教えてあげるのが、リーダーの役目 である。
(8)リンカーンの仕事の3分類(仕事の軽重と優先度の判断が大事)
a)自分でやる仕事
b)部下と相談してやる仕事
c)部下に任せてやる仕事
(9)精神的な側面から部下をサポートして、その力が最大限 に発揮できるような状況を作り出すのも、上司の大切な役目。
(10)やるべきことをやった上でダメだったらあきらめる。仕事の失敗は、神仏のサイン。
(11)経営者の大切な仕事の一つは、適材適所を見極めること。 教育とは、人それぞれの潜在能力を引き出すことである。
(12)お金儲けはあくまでも手段であって、目的にすると粉飾 決算や株価操作ということになったりして、間違ってしまう。
(13)人は勝てば勝つほど、勝ちたくなる生き物である。勝つ こと自体を目的にしては不幸になる。「共に栄える喜び」を持 つことが大切である。
(14)大切なのは、常に人生を善意に解釈することです。その ためには、どこかで見守っていてくれる神仏の存在を信じるこ とです。
(15)関西銀行の経営方針(目的から変えた。再建の第一歩として最初に打ち出した。)
a)社会価値の追求
b)業務革新の断行
c)人間尊重の経営
(16)具体的な経営技術もだが、それ以上に、背後の確固たる 理念が大事である。宇宙の進化の摂理と方向性が合っている、 トップの想念が大事。
(17)言葉はエネルギーを持った物質であり、力を持った存在 です。だから、昔の日本人は言霊と言い、口に出せばそれが実 現してしまうと畏れ敬った。だから、ポジティブな想念や言葉 を発することが大事。
(18)聖書の根本の言葉「神を愛し、隣人を愛しなさい」・・・これが幸福に生きる為 の根本であり、その為には、自分をよく見つめることが大事。
(19)どうすれば社会全体を幸福にして、家族や隣人を幸せに できるかを考えれば、出世などどうでもよくなってくる。
(20)「今は何が進化の気流なのか、どうすれば進化の気流に 乗れるか」ということを、普段から考える。
(21)人を見極めるポイントは、その人が謙虚かどうかという 点にある。評価されながらも謙虚に生きる為には、自分の中に 潜む傲慢さと戦って勝利しなくてはならないが、非常に困難な ことである。人間社会を悪化させるのは、傲慢な心である。
(22)悩むべきなのは、評価されないことではありません。 幸か不幸か、自分が評価されてしまった時なのです。
(23)この宇宙の中で、自分達は小さく弱く愚かな存在に過ぎ ない・・・これからの企業経営には、そうした謙虚な気持ちが 欠かせないものとなってきます。何故なら、そうした発想を抜 きにして、人類の生存すら危うくなりかけている現代で、企業 活動を続けることは不可能だからです。
(24)感情で判断すると失敗する。私は毎朝約30分間瞑想に ふける。新しいアイデアや、いい発想はこの瞑想の直後によく わきでる。経営上で迷った時は、瞑想が一番である。
(25)天国はあなたの心の中にある。「今うまくいかなくて辛 い」というのは、想念の持ち方が間違っているのです。想念の向 け方を正しくすれば、今この瞬間幸せになれる。
(26)ツキを呼ぶ四つの要素
a)謙虚であること
b)正直であること
c)善意に物事を解釈すること
d)社会にとって役に立つこと
(27)本当に救われるのは、自分がたいした人間でない業深い 人間であると悟っている人でしょう。一番危険なのは慈善家で、 自分がいいことをしており、優れた人間だと勘違いしてしまう からです。
(28)善行などできなくても悪を避け、人に迷惑をかけないよ うに平凡に暮らすのがよい。
(29)宗教家やトップの人間は、謙虚さを保ち、傲慢に陥らな いように常に心がける必要がある。
(30)精神修行は、俗世から離れたところよりも、会社が最適。 魂を磨きやすい。
(31)今の自分を精一杯生きることが大事。今の自分をきちん と生きましょう。
(32)「いい仕事をしようと心がけなさい。そうすればいつか 認められ、偉くなっていく。でも決して成績を上げようと思っ てはいけない。あくまでも、お客様に役立ついい仕事をするよ うに」と私はいつも部下に言っている。(終)
仏の衣を着るとは、柔和であって忍ぶ心を持つことである。仏の 座に座るとは、すべてのものを空と見て、執着を持たないことで ある。仏の室に入るとは、すべての人に対して大慈悲の心を抱く ことである。(法華経)
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