今回は、リチャード・カールソン and ジョセフ・ベイリー共著の{あくせくするな ゆっくり生きよう}(主婦の友社)からおおくりさせていただきます。忙しい現代人にとって、少しでもゆとりを持って生きるための示唆にとんだ内容です。 この本で紹介されている方法は、{心の心理学 (Psychology of Mind = POM )}の理念に基づくものである。この心理学は、シド・バンクスの考え方をもとにしたもので、ロジャー・ミルズ博士とジョージ・プランスキー博士の二人によって一つの心理学理論としてまとめられたものである。 1.自分の考え方に気付き、{今}に集中することによって、ゆとりと心の健康を維持する事ができる。(仏教では、この今に集中することを止観とも言います。) 2.自分の思考法(考え方)が全てをつくりだしている事に気付くことが、心の健康の第一歩である。(この考え方は、仏教の唯識学派にもあります。) 3.わたしたちは、自分の思考法(考え方)に気付くことによって、思考をコントロールできるようになる。 たとえば交通渋滞に巻き込まれたとき、こう考えることもできる。「ひどい渋滞だ、信じられない。なぜ高速道路を増やさないのだろう。こんな都会とはおさらばして、落ち着いた暮らしをしたいものだ。ああ、いらだつ。」 しかしまったく別の感想を持つこともできる。「ふ−ん、こうしてくつろげるのも悪くないな。ちょうどいい。ゆっくりしよう。今週は忙しかった。ラジオでいい音楽でも聴くか。」 どちらも同じ渋滞のなかにいて、目的地に着くまでの時間は同じ。それなのにまるで違う体験をしている。後者は、ゆっくり行こうと考え、今に目を向けることによって、穏やかな気分を手に入れているのである。 このことはどんな場面にもあてはまる。渋滞よりずっと大変な問題に出会ったときも、あなたがそれにどう対処するかは、いつでも、あなたがどのような方法で、どう考えるかによるのである。 4.自分の感じ方の責任は自分の考え方にあり、環境や周囲の人たちのせいではない。(感情は自分の思考から生まれる。) 5.ストレスは、環境や周囲の人たちから与えられるものではない。むしろその逆で、自分の考えがストレスを生んでいることに気付かないことによって、私達が無意識のうちに作り出したものである。 (ストレスは、わたしたちの思考からおこる。) (出来事それ自体は、ストレスを与えたりはしない。わたしたちが、その出来事のどこかにストレスを見出しているのである。) 6.ストレスそのものも、ストレスをどのように感じるかも、わたしたちが人生をどのように見るかによって変わってくる。 7.ストレスを減らすためには、望むものを手に入れても幸福にはなれないのだと、理解する必要がある。幸福に生きるための近道は、穏やかな考え方を身につけることである。 8.問題なのは、とらわれている事柄の細かい内容より、むしろあなたの考えである。これは、どのような場合にもあてはまる真実であるが、ストレスに関しては特にそうである。 9.人生は目の前にある今、この時の積み重ねにすぎず、一つ一つこなしていけばいいのだ。(目の前のことを 一度にひとつずつ、順番にする。) 10.宇宙レベルで考えれば、すべては小さなことなのです。小さな事にくよくよするのはやめましょう。思考は重大に受け止めさえしなければ、あなたを傷つけたりはしない。思考は生き物ではない。思考は思考にすぎない。思考をどのように理解し、思考からどんな影響を受けるかは、わたしたちの、自分の考え方に気付く力次第なのです。 11.過去の出来事やまだ起こってもいない未来を心配するよりも、あなたの注意が、今、この時に向けられていれば、たとえいろいろな考えが浮かんできても、すぐに飛びついたりはしないで、あなたは自分にこう話しかけるでしょう。{ほら、またつまらないことを考えてる。} 自分の考えにすぐ反応するのではなく、それがどんな考えか確認し、それを考え出したのが自分であることを思い出すことによって、あなたは、落ち着いた心と広い視野を保てるのです。
12.ストレスに耐えるな、戦うな。 13.ストレスは、わたしたちがその場にふさわしくない考え方や心の健康を失っていることを警告するサインである。 14.わたしたちが感じるプレッシャーやストレスはすべて否定的な考え方の結果なのである。 15.他人が不機嫌な時、自分を非難しているのだと勘違いしないこと。他人の気分の変化に対して、防御的になったり、批判的になったり、あるいは恐れたりせず、ある種の思いやりをもって接することが大切である。
16.人間関係をよくするための仮説 17.誠実に真心を込めて人の話しを聞くことは、私達の心を{今}に向わせ、前向きな心を手に入れるための心得の一つである。心をカラッポにし、解釈を加えようとせず、先入観も偏見もなく、期待も予想もせずに人の話しを聞く。愛情を持ち、敬意を表わして人の話しを本当に聞くことができれば、私達は今、この時に心を戻し、ゆっくり生きることができる。 18.背信行為や人の心を傷つけることは、すべての人間関係につきものである。しかし、どのような人間関係においても、最も大きな傷を残すのは、憤りをため込むことなのだ。 誰かを許すということは、つまり忘れることだ。許すことは、わたしたちあるいは他人の過去の行いに悪意がないことを見つけることなのである。誰かを許そうとする時、わたし達は、その人は、その人にできる精一杯の行動をとったと考える。 他人を許すのは、第一には自分のためなのだ。いつまでも怒りを捨て切れないでいると、それは何らかのかたちで、自分自身の人生に悪影響を及ぼすのである。過去を忘れ、他人を許し、{今}に集中して生きよう。
19.人間関係をやりなおす方法 20.すべてのスムーズな人間関係の基礎となるのは、尊敬や信頼であり、暖かい心や親切心、それに他人のことをあれこれ批判しない心である。人の行動をどう受け止めるかは、自分の考え方次第であると気付けば、他人の誠意にもっと目をとめることができる。 21.職場で困った人々とつきあう四つの心構え a)相手の行為の奥にある、心の健康に目を向ける。すると相手も前向きに考えるようになる。 b)相手を思いやる。気分が落ち込んでいたり、あるいは大変な時期を経験しているのかもしれないと考えてみる。 c)相手に対して批判的にならず、過剰に反応しないことは、何よりも、自分自身のためなのだと知る。自分の感情と付き合わなければならないのは、自分自身なのだから。 d)どうすればよいのかわからないときは、本当に人の話を聞く気持ちがあるのだろうかと自分に問い直してみるとよい。分析的思考ではなく、すべてを受け入れて流動的思考をしながら人の話を聞くことによって、答えは出てくる。 22.すぐに答えのでない問題は、心のシチュー鍋にかける 心の煮込み用鍋を使えば、問題もずっと筒単に解決できる。あなたがしなければならないのは、鍋に、問題と、考えられる解決法、問題の背景、それにいつまでに答えが必要かという期限を放り込むことである。あとはシチュー同様、コンロにかけて、あなたが鍋に入れたさまざまな考えがよく煮詰まるまで待てばいい。その間あなたは、自分の生活に集中することができる。 23.{今}に目を向けて生きるためには、ただ自分の考えに気づき、自覚する、それだけでいい。そうすれば、より穏やかで、落ち着いた考え方、つまり流動的思考ができるようになる。 すべての否定的な感情は自分の思考が生み出したものであり、外部から押しつけられたものではない。その一点に気づくことによって、わたしたちはあせりやストレスなどの、あらゆる否定的な感情から解放され、穏やかな心で{今}に集中して生きることができる。 {三界は心の所産なり}を思い出させる、何かしら、仏教思想に通じるような内容を持った本でした。目の前のことに集中して生きることにより、心にゆとりが生まれるという現代人向きの本で、ベスト・セラーになったのもわかるような気がします。忙しさに疲れている人が多いということでしょう。時代は大きく経済中心から、心も含めた総合的な時代へと変わりつつあるようです。 |
大切なのは かってでもなく これからでもない 一呼吸 一呼吸の 今である What you have to cherish in mind is neither the past which is already gone, nor the future which is not yet here. The only time you have to cherish is now - every moment you breathe in and breath out is now. (translated by Takahiko Sakai)
あせるな いそぐな ぐらぐらするな 馬鹿にされようと 笑われようと 自分の道を まっすぐゆこう 時間をかけて みがいてゆこう |
この世の中に、さとりへの道を始めるに当たって成し難いことが二十ある。 1.貧しくて、施すことは難く、 2. 慢心にして道を学ぶことは難く、 3.命を捨てて道を求めることは難く、 4.仏の在世に生を受けることは難く、 5.仏の教えを聞くことは難く、 6.色欲を耐え忍び、諸欲を離れることは難く、 7.よいものを見て求めないことは難く、 8.権勢を持ちながら、勢いをもって人に臨まないことは難く、 9.辱しめられて怒らないことは難く、 10.事が起きても無心であることは難く、 11.広く学び深く究めることは難く、 12.初心の人を軽んじないことは難く、 13.慢心を除くことは難く、 14.よい友を得ることは難く、 15.道を学んでさとりに入ることは難く、 16.外界の環境に動かされないことは難く、 17.相手の能力を知って、教えを説くことは難く、 18.心をいつも平らかに保つことは難く、 19.是非をあげつらわないことは難く、 20.よい手段を学び知ることは難い。 (四十二章経)(The Teaching of Buddha) |
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