今回も、大前研一著の『考える技術』(講談社)を皆様に紹介させて頂きます。いままでの常識が通用しなくなった新しい時代で、多くの日本人に欠けている思考力をどう養うか。実績ある著者の長年のコンサルタント業務で鍛えられた思考力のノウハウが述べられています。価値ある、推奨の一冊です。
(E)非線形思考のすすめ
1)科学的アプローチとはどのようなものかというと、端的にいえば、人の言う事を「そうですか」と思わないことである。「どうして?」と聞いて、理由を探求しようとするのが科学的アプローチである。「なぜですか」と質問していくことで、我々の思考は解に向かって進んでいくことができる。
2)今の経済は複雑系である。ボーダーレス・ワールドでは世界中が繋がっている。従ってお金の流れは国内だけで決めることができない。閉鎖経済をモデルとしているケインズ経済学は現在では通用しない。
3)新しい経済になっているので、これまでの経済学は通用しない時代になっている。新しい経済の中では、過去の常識にあてはめるのではなく、今起こっていることを観察することが大切である。
4)すべての問題には原因があり、その原因には説明できる事と、説明出来ない事が出てくる。説明できない場合「それはなぜか」と質問し続け、理由の理由、原因の原因を見つけていけば、新しい事を発見できる。特に最近はこうした事が多い。
5)今の時代に何よりも必要なのは、今学校で行われているような、答を出させる教育、覚えさせる教育ではなく、「どうして?」と考えることを学ばせる教育である。複雑系の時代に学校の果たすべき役割は、答えがないときにどうするかという「考える癖」をつけさせることである。解のない問題に対して、なぜなのかを考えて自分なりの仮説を立て、それが正しいかどうかを努力をいとわずに証明する力を持てば万々歳である。
6)北欧の強さの秘密(GDPは世界上位を占めている)
これらの国では、答があることを前提としているteach(教える)という言葉はではなく、代わりにlearn(学ぶ)を使う。デンマークでは、「一クラス25人全員が違う答を言った時が最高だ」というほどである。テキストには、「学校には答を教える権利はない。学ぶ権利を支援するところが学校である」と書かれている。
7)答がなくても自分なりの仮説を立てて、答に至るまでやり続ける。どんな困難があっても、最後には絶対に答に至るという、立ち向かっていく勇気を持たせることが教育のいちばんの基本になっている。
(F)開拓者の思考
1)日常のトレーニングで重要なのは、常に知的好奇心を持つことである。そして、毎日、日常の生活や仕事の中で自分で問題を作り、問題解決やアイデア量産のトレーニングを繰り返すことである。
2)人の話を鵜呑みにせず、疑ってみる。歴史的な時間軸と、地政学的な空間軸、この二つの軸、二つの次元で物事を考えてみる。仮説、検証、実験という問題解決のノウハウを徹底的に身に付けると、新しい考えやアイデアがひらめく。
3)論理的思考の中でも、特に発想の思考回路を鍛える上で有用なのは、ふだん使っていないセンス(感覚、触覚)を使うことだ。異質のものに触れてみたり、常に脳の違う部分を刺激することが重要なのである。
4)「当たり前」と思わない人が成功する。 ビジネスの世界でも、ほとんどの人が当たり前と思って見過ごしていることを、当たり前と思わずに考えてみた人が、結局、事業で成功している。タイプとしては、普通の人が見過ごしているところを虫眼鏡で見るように極度に拡大し、そこから需要を引っ張り出しているタイプの人が多いように思う。
5)10倍の効果を考える。
1.5倍(一点五倍)とかいうレベルではなく、「10倍くらい効果的にやる方法はないか」と考えてみる。役人本来の仕事は何か。(役所の窓口仕事を電子化するとどうなるか。)教師本来の仕事とは何かを考えてみる。
6)「理解した」と思う事が、人間にとってはもっとも危険な状態なのである。理解すると頭がそこで止まる。また、理解した枠組みで他のことを説明しようとし、今では通用しない理論で解決しようとする。考える癖をつけることが大切である。
7)仮説をぶつけあえる友人をもつとよい。・・・新聞を読んで毎日五つの疑問を見つけ、自分なら何をどう調べて、より完成度の高い記事を書くかを考えてみる。そして、そういう意見交換の会話ができる友人がいるとなお良い。
8)事業成功パターンの四要件
a.事業領域の定義が明確にされている。(あれもこれもではなく、必然的に向かっていく一つの方向に特化する。)
b.現状の分析から将来の方向を推察し、因果関係について簡潔な論旨の仮説が立てられている。
c.自分のとるべき方向について、いくつか可能な選択肢があっても、どれか一つに集中する。
d.基本の仮定を忘れずに、状況がすべて変化した場合を除いて原則から外れない。
9)先進国のビジネスマンは、これからは「知識の付加価値」でメシを食っていかなければならない。毎日、頭脳という拳銃を磨き、問題解決能力を常に自分でトレーニングすると、新しい時代で大きなチャンスをつかめるだろう。逆にこれを怠ると、時代の変化が速いので、大企業といえど潰れてしまうだろう。(終)
無明に覆われた眼でみれば、世間は意味のない間違ったものとなるであろうが、智慧をもって明らかにながめると、そのままがさとりの世界になる。
ものに意味のないものと意味のあるものとの二つがあるのでなく、善いものと悪いものとの二つがあるのでもない。二つに分けるのは人のはからいである。
はからいを離れた智慧をもって照らせば、すべてはみな尊い意味を持つものとなる。(仏昇とう利天為母説法経)
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