今回は小学館発行の大前研一著『日本の真実』を皆様に紹介させていただきます。日本の現実を直視するのに良い本です。ご一読をお勧めします。
(A)政策論争の死滅・総与党化
鉄のオクタゴン(八角形)-----政・官・財とマスコミと学会、検察庁、国税庁、弁護士各界の癒着と大罪
政府が介入したり、補助金などをたくさん使った業界ほど、国際競争力を失っている。政府が介入せず、ほったらかしにした産業は国際競争力を持っている。つまり、自由競争で育った業界と人材は強く、国際的に通用するが、政府は市場から撤退した方がよいところに金を使っている。
日本の政府は国の具体的な将来像を創る力も意欲も失っている。それでいて、予算も握ったまま、無駄な公共土木事業を継続し、国際競争力のない産業を救済し続けている。日本経済が低迷から抜け出せないのは当たり前なのである。
(B)海と空の国際競争力
21世紀の中核産業は、金融、通信、運輸である。
国家運輸戦略を誤り、世界の趨勢と逆の政策をとってしまったため、日本国内の物流コストは非常に高い。
世界の趨勢は、ハブ空港とハブ港湾の時代(ハブ・・・中枢、センターの意味)
あまりにも多くの中小の空港、港を作りすぎた結果、外国に負けている。空港と港のスクラップ アンド ビルドが必要。また、陸上交通とのコーディネートが大事。
日本は、新しい経済の中で成功している国はどこか、成功している方程式は何か、ということを謙虚に勉強するべきである。
「提供者の論理」ではなく、「生活者の論理」に立たないと、厳しい世界競争の中では生き残れない。
(C)国家財政と年金について
国家財政の破綻
公的債務は現在、隠れたものまで含めると、2000兆円以上ある。国民一人当たり2000万円の借金である。日本で税金を払っている人は就業人口の半分の3000万人、2025年には、これが2000万人になってしまうので、借金が増えない場合でも、納税者からみたら、一人当たり1億円の借金を背負う計算になる。これはもう返せない金額である。
国民年金については、20代の人は50パーセントが払っていない。既に国民年金は破綻している。その結果、何がおきるかというと、老人の切捨てが起こるだろう。
(D)教育改革について
義務教育や大学教育の目的を再定義し、本質的な教育改革を行う。選挙権を18才からとし、義務教育も18才までとする教育改革をセットでする。「日本国民は全員18才で社会人になる」という考え方で統一した方がよい。現在は選挙権、飲酒、バイクの運転、税金等、バラバラで一貫性がない。
義務教育は高校までとし、その主目的は、社会人として生きていく為に必要な最低限の知識と道具を与えることと再定義する。自動車の運転免許、金利の計算、家計簿のつけ方、決算書の見方、刑法や民法の基本的な部分なども教える。社会人、家庭人、日本人としての責任と自覚もその中で教えていく。
大学はアカデミックな場所ではなく、「社会人として飯を食べていくために必要なスキルを身につける場所」と再定義する。大学の期間は選んだ職業分野によって終了年限が異なるようにし、期間4年以上の分野は2つの学位を取ることも可能にする。アカデミックな研究は大学院で行うようにする。
横並びの平均的人間を創るのではなく、突出した個人を創る教育制度がなければ、21世紀の国は立ちゆかない。現在の日本の大学は東京大学でさえ、世界の上位大学に入っていない。大学の無駄な4年間が日本の国力を大きく削いでいる。
成功している国の基礎教育(北欧4ヶ国)
1.ITを選び、それに全力投入した。
2.英語教育を徹底的に強化した。
3.クリエイティビティを伸ばし、企業家精神を育てる教育に重点を置いた。生徒の個性を伸ばすことが先生の任務である。
4.リーダーシップを重視した。
日本は未だに明治以来の「答えを教える」教育を続けている。例えば電卓を使えばすぐに終わる計算を何回も繰り返させている。これからは、答えがないものに対してどうやって答えを見つけていくのか、どうすれば他の人が考えていない側面でものごとを考えられるかが大事である。
(E)小さな政府の勧め
小選挙区制は失敗した。政策論争が非常に起こりにくくなり、総与党化する選挙が多くなった。比例代表並立制にしたせいでもあるが、当選後に政党を変わるふしだらな国会議員が多い。これは、禁止すべきである。大選挙区制にした方がよい。
国の役割はどんどん小さくなる。政府がやると必ず効率が悪くなるのが、世界の常識である。
日本は国内で激しい競争にさらされると適者が生存し、生き残ったものは世界に通用する実力を持つ。
日本の不振は智恵とリーダーシップの欠如であり、日本のポテンシャルがなくなったわけではない。(続く)
自分の国家を治める道は、まず自分を修めることである。自ら慈の心を養って、この心をもって国民に臨み、人びとを教え導いて心の垢を除き去り、身と心を和らげて、世の中の楽しみにまさる正しい教えの喜びを得させる。
人々は各々その心をもととして、見る所を異にする。国民の生活は、心がもとになっているから、わたしは国を治める大もとを、民にその心を修めさせることに置いている。(華厳経)
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