僕は最初、父の強い勧めで訳も分からず内観に来ました。内観のことを聞いた時、マンガに出てくる「一休さん」と同じ生活をするんだと思ったわけです。ですから、正直言っていやいや連れて来られたという感じでした。
初日、先生に両親からお世話になったこと、して返したこと、ご迷惑をかけたことを思い出し、考えてくださいと言われた時、僕はドキッとしました。中学・高校の時の退学になった、あの暗い過去を思い出さなければいけないのかと思ったからです。それは僕にとって絶対に嫌なことでした。ですから、僕は初日、二日目と、僕の過去の一番痛いところは触れず、表面や上辺だけのことについて考えていました。
しかし、三日目、貫主様(住職)のお話や、先生に「過去と相手は変えられない。変えられるのは自分と未来だけ。」という言葉を頂き、少しずつ僕の心は変化していきました。もしも内観をして今の自分を打破できるのであれば、全力で試してみよう、どうせ一週間後に帰るんだったら、何か手土産を持って帰ろうと思うようになったんです。
そして四日目、昼食時にテープを聞いた時、一気に自分が両親にしてきた行動、自分が今までついてきた数々の悪態がまるで走馬灯のように頭をよぎり、そして途中で立っていられなくなる程、次々とあふれ出てくる涙にむせびました。
僕は今まで、中学・高校を退学になり、途方にくれている、自分の人生そのものを父母のせいにするのはおろか、両親の自分の育て方のせいにし、この世に生まれてきたことを後悔し、なんでこんな親の下に生まれてきてしまったんだと、あろうことか両親をののしり、傷つけてきました。
しかし、それでも僕の両親はいつ如何なる時でもしっかりと支えてくれた。母はいつでも僕を信じてくれた。父はいつでも僕を救ってくれた。助けてくれた。二人はいつでも僕を愛してくれた。そう思うと涙が止まりませんでした。
そして、僕が中学校を退学になった時、「死にたい。死んでやる!」と暴れている僕に両親が泣きすがって、「それだけはやめてくれ。何でもするからそれだけはやめてくれ。」と言っていた姿を思い出しました。そしてそれを思い出した時、改めて僕はこの両親の下で生まれてきて良かったと思いました。もし、生まれ変わるなら、この両親の下で生まれたいとも思いました。
今まで両親をいかに傷つけ悲しませたかと考えると、恥ずかしく申し訳ない気持ちで一杯です。そして、今までどれだけ自分を愛し、育ててくれたことか、両親の無償の愛に気付きました。
いずれ両親も死んでしまう日が来ると思う。けれど二人はこの世に僕を残していく。このことに限りない恩を感じました。
今は、生まれ変わった今は、この世に生を受けたことに喜びを感じ、今現在、今日も生きていることに感謝しました。
これからは日々、日常内観をして、全てのことに感謝する気持ちを忘れないようにします。僕は今回内観に来て、一回りも二回りも人間として成長したと思います。両親には胸をはって、「本当に内観に来てよかった。本当にありがとう。」と言いたいです。
最後になりますが、一週間お世話をして下さった先生方に感謝します。明日からは、人に「人生の転機は?」と聞かれたら、自信を持って「内観です。」と答えます。今までの自分、これからの明日を一生懸命変えていこうと思います。ありがとうございました。(終)
心は抑え難く、軽く立ち騒いでととのえ難い。この心をととのえてこそ、安らかさが得られる。
怨みを抱く人のなすことよりも、かたきのなす悪よりも、この心は、人に悪事をなす。
この心を、貪(むさぼ)りから守り、瞋(いか)りから守り、あらゆる悪事から守る人に、まことの安らかさが得られる。(法句経)
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