日本は、今まで個人所得と内需は低迷していましたが、輸出は 絶好調でした。ところが、今年のアメリカ発の不況で、日本は輸 出まで大幅に落ち込んでいます。
また、財政当局は3年後に増税と、国の財政も切羽詰ってきて いるようです。しかし、ピンチはチャンスです。これは、全てを 見直す世直しの好機と捉えることも出来ます。
そして、日本は今まで百年間続いた人口増加の恩恵もあり、景 気が良かったのですが、今後は人口減少により、日本中が消費者 不足の状態に陥り、様々な問題が出てきます。
a.これは、高齢者の激増と現役世代の減少の影響が大きい。
b.現役世代減少=労働力減少=生産力減少ではない。(機械化により生産力は減少しない)
c.「現役世代減少=消費者数の減少=消費減少」である。
(団塊世代だけで1,100万人だから、外国人の受け入れで足りるようなレベルではない)
また、地域間格差の増大とよく言われますが、各地の高齢者 の増加と現役世代の減少により引き起こされている部分も大き く、これは、都市部でも今後起ってくる事です。(また、医療 崩壊の原因も、高齢化による需要の増加と供給抑制によるミス マッチも大きい。)
国内経済活性化への方法は、景気回復もだが、「消費性向の 高い現役世代の所得増加」を図る事も非常に重要です。官僚社会主義の日本は評論家が多いので、今後は、自ら考え、 行動する市民が増える事が日本人の幸福の為には重要なようです。
ということで、今回は、松谷明彦著『「人口減少経済」の新 しい公式』(日本経済新聞社)を再度、皆様に紹介させていた だきます。これから、日本は高齢化と人口減少が急速に進み、 過去の経験が役立たない時代に入り、個々の生活や企業経営に おいても、従来とは全く違ってくるでしょう。今後の日本人に とって必読の著です。
1)急激な日本の人口減少と高齢化が始まっている。(半世紀で4000万人の人口減少)
2000年 1億2550万人
2030年 1億 790万人
2050年 8480万人
(島根県を見れば、人口構成に関しては自分の県の将来が分かります。)
3)社会に対しても、人々はこれまでのようには依存できなく なっている。人口の高齢化によって年金も健康保険も縮小した。 財政サービスもかってのような大盤振る舞いではなくなった。 人々は自分自身で各々の生涯を設計し、それに基づき消費と貯 蓄、労働と余暇の計画的な配分を心がけるという新たなライフ スタイルへと進みだしている。
4)今後の日本経済は、日本経済が縮む時には、それに合わせ て企業規模を縮小し、売上高ではなく、付加価値率の向上を経 営目標とすべきである。今までよりさらに損益に留意し、高く ても売れるような、創造的で特色のある価値ある物やサービス が重要となる。
5)今後の30年間で、労働力は3分の2に減少する。経営環 境は拡大から縮小へ激変する。日本全体として見ると、外国人 労働者の活用は国債に似ていて、負担が後世代に移転される。
6)「人口減少経済」においては需要が傾向的に縮小するので、 遊休設備は増える一方であり、生産能力の早めの計画的縮小が 必要になってくる。成長市場以外は、スリム化が企業経営の基 本である。利益率を高め、内部留保を充実させることによって、 見通しと現実のずれのリスクへ対処することも必要であるが、 国内市場に関しては、生産能力は「縮小」が今後の経営の基本 である。
7)しかし、賃金を抑制すると、総需要も抑制され、デフレス パイラルという悪循環に陥る。今までの日本の労働分配率は先 進諸外国の中でも悪く、日本企業の第一の経営課題である。従 って、今後の日本企業は薄利多売による売上高の増大より、付 加価値率の増大、利益率の増加を第一の目標とすべきだろう。 人口減少経済においてデフレスパイラルが発生したとすれば、 それは人口増加経済に比べてはるかに深刻であり、はるかに長 期にわたるであろう。
8)今後の企業経営において心掛けるべきことは、『スリム化』 である。「適切な生産量」「効率的な生産」「適切な賃金水準」 の三つである。それらを守る限り「人口減少経済」は少しも恐 くない。そして同時に企業がそれらを守ることが国民所得を最 大とし、デフレスパイラルを防ぎ、国民生活を引き続き豊かな ものとする。
9)人口減少経済では基本的には多角化が成功する確率は低い。 赤字部門や遊休ないし非効率な設備の存在は、これからは命取 りとなる。損失は年々急速に拡大するのであり、国内市場だけ を相手にするビジネスは、一刻も早い本業の大幅な縮小ないし は廃業を検討すべきだろう。企業としての存続を図るのであれ ば、多角化ではなく、転業こそが正解である。十分な付加価値 が得られなくなったら、廃業ないし、転業を目指すのが、人口 減少経済における新しい経営ルールだと言える。
10)大都市圏(特に、関東、中京、関西)では今後急速に高齢 者が増加し、高齢化問題は地方より、大都市圏を直撃すること になるだろう。(続)
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