1998年2月1日第20号
幸福ニュース

内観体験記
26才男性
【内観とは、身近な人々、母または母親代わりの人、父または父親代わりの人、配偶者などに対する本当の自分を見つめるために、

@していただいたことAしてさしあげたことB迷惑かけたこと、

について、具体的な事実を過去から現在まで調ベる中で、色々な気付きや発見により、悩みの解決ができ、より良い人生を過ごせるようになる方法です。】

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6泊7日の内観を会社の研修として、蓮華院誕生寺の奥之院で行うにあたり、自分自身をあらためて見直す必要などあるものかと、たかをくくっていました。そのような考えを持ったまま日曜日に入山し、初日の夜などはそのままの気持ちで過ごしました。

2日目から五重塔に登らせていただき、いよいよ本格的に内観を始めました。最初、母に対しての生まれてから小学校入学までの自分について調べたわけですが、なかなか思い出す事ができません。「そんな時の記憶はない。」「して返すだけ自分で動けない。」と思い、面接の時にそのように答えました。

しかし、「内観は記憶力のテストではありません。」との言葉に、なかば投げかけていた内観に対する考え方が変わっていきました。そして、3日目、4日目と母から父、父から祖母へと内観を進めていくと、今までしてくれて当然と思っていた事は、、母や父や祖母、また内観で調べさせていただいた方々が、すべて私のために特別にしていただいた事であると言う事に気がつきました。

「親が子を育てる、そんな事当たり前だ。」と考えていた自分はとてもわがままで自分勝手な存在にみえました。

母に対して調べさせていただいた中で、食事を作ってくれた事や、帰りの遅い私の為に眠らず、部屋を暖かくして、明かりまでつけて待ってくれていた事がありました。たしか その一瞬はうれしかったのですが、暖をとり食事をはじめると、すぐにその事についての感謝の気持ちを忘れてしまい、今まで当然だと思っていました。でも本当はとても有り難い事だったのです。同じような事は、父や祖母にたいしてもたくさんあります。

人間は結局は自分自身が一番かわいいもので、自分本位でしか物事を考えません。私もそうでした。していただいた事は内観をすすめていくと出てくるのですが、して返した事の少なさに自分自身が嫌になりました。自己嫌悪とまでもいきませんが、なさけなくなりました。

「どんな小さな事でもいいですよ。」と言われてでてくるのは、「旅行に行き、おみやげを買いました。」「食事の手伝いをした。」「肩をたたいてあげた。」ぐらいしかでてきません。

また、迷惑をおかけした事になると、まわりの人にたいしての金銭的な問題や時間的な拘束、多くのお金や時間を自分のためにさいてもらっていると言う事に気付きました。限られた時間をとられたり、じゃまされたりしたのは、周囲の人にとって苦痛であったろうと思う。

そしてようやく、父と母の2巡目からしだいに単なる思い出話はなくなり、内観というものをすこしでも体感できたと思えるようになった。

人間一人では何もできない。周囲の人々の協力や援助があってこそ、初めて自分という者が存在し、成長し、生活できる事がわかった7日間だった。これからは単に漫然と過ごすだけではなく、日々の生活の中でも、していただいた事、して返した事、迷惑かけた事をかんがえるようにしたいと思う。(終)

*当たり前のことが当たり前ではなく、実は有り難いことなのだ。そう体で感じた時、あなたは今までの悩みや無気力、不満足感から解放され、人生が楽しくなります。

付録として、病気(心身症、摂食障害、アルコール依存症、軽いノイローゼ、赤面症、対人恐怖症等)が治る場合もあります。

詳しくは人生が楽しくなる内観法を参照下さい。

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