｛内観とは、身近な人々（母または母親代わりに育ててくれた人、父または父親代わりの人、配偶者など）に対する自分を見つめるために、
�@していただいたこと�Aしてさしあげたこと�B迷惑かけたこと、
について、具体的な事実を過去から現在まで調ベる中で、色々な気付きや発見により、悩みの解決やより良い人生を過ごせるようになる方法です。｝

私は、どれだけの方にお世話になり、生かされていたのだろう。私は、どれだけの方にご迷惑をかけ、生きてきたのだろう。

私が、して返せたのは、どれほどの事であったのだろう。いや、して返せたなどと言える事は、何もなく、すべてがお世話になり、ご迷惑をかけ、今また、内観を受け気付かされる事さえも、まわりの方々のご配慮とご迷惑をかけ、修行させていただきました。

大人に成長するにつれ物質文明に毒され、いや、私の弱さからしらずしらずのうちに、心の中にかすみを掛け、気付かない、見えない自分をつくっていたと思います。

内観を受けるに当たり、正直な所、忙しい仕事の中で、何んで約１週間も職場を離れられようかとも思いました。職場の方々からも普段忙しいので、骨休めのつもりでと言われ、時間の合間に学ぶつもりで本も２冊持参しておりました。

ところが、一通りの説明を受けたところで、お坊さまが、{納得された方は、名前と押印を決意書へ}といわれた時、わたしの心の中で何か{ピクッ}と感じるものがあり、押した以上守らねばならないと決心しました。私の中に多少、正直な気持ちがあったのかなあと、終了した今思っております。

それから、一生懸命内観する覚悟ができ、考え方も、たった５日間位、一つの事に集中できなければつまらない人間だなあと思いました。

内観は最初、母から始まりました。私は、母に対しては、ただただ感謝、感謝、育ててくれた事への感謝でありました。と言うのも、幼い頃、両親が離婚し、母一人、子一人で育った状況がありました。

内観を通じ明らかにされていくと、どのような事柄にお世話になり、どういう気持ちで私を育て、どんな生き方をしてほしいとの願いを込め、一生懸命それこそ命を削る思いで働いて下さった事が、今やっとわかりました。

これから、母へのお返しは勿論の事、家族、会社、友人の皆様に、真心を持って、やさしく温かく、時にはキビシサをも持ち、本当の愛の心をもって対する事が、母に対するお返しではないかと思います。

母から学んだ事、家族を大切にし、どんな形でも社会へお返しできる人間になる。

｛妻にたいする内観｝

人生のパートナーとして接していたつもりが、いつのまにか、身の回りの世話をする人、また、それがあたりまえとの、おごった態度をとっている自分が見えました。

自分で出来ることもせず、外で働いてかせいできている事におごり高ぶっていた自分に気付いた時、はずかしい思いと、なんとお詫びして良いか、また、どのようにお返しをしていけばよいかとの思いが強くなりました。

帰りましたら、自分の出来る事は自分で、して頂いた事には感謝し、言葉をかけるなど、人間として当然の生き方をいこないます。妻から学んだ事は、献身、つくす素晴らしさです。

｛子供に対する内観｝

内観もすすんで、わかってきたような気がして来ていた。子供に対しては、お返しした事が多いだろう。普段も誕生日、クリスマスなど買い与えている。休日はどこそこ連れて行っている、と思っていた。

ところがどうだろう。内観が深くなると、考えれば考えるほど、して返した事など、お世話になった事に比べ話にならない。私は物質を与えただけ、子供には心を込めてお返しされていました。

では、子供の目から見た私は、どうであったろうか。朝早く出て行き、夜帰って来るなり、風呂も入っとらん、勉強もしとらん、さっさとすまして早く寝ろ！とどなっている人。それが私でした。

たしかに外で懸命に働いているとは感じているだろうが、家に帰ってきたら、何もせず言っているだけの人、何でそんな人の言う事を聞くであろうか。言った事を守っていたのは、子供の素直さと、怒られたくない恐怖から従っていたのであろう。何と罪な事をしてきたのだろう。子供から学んだ事、正しい行いをしてこそ言葉が生きる。

内観を通じ、その他、会社の方、友人などにも大変お世話になり、ご迷惑をかけている自分を知る事ができました。今、内観をしたお陰で、お返しする気持ちと行動が出来る事に喜びを感じております。もし、死ぬ間際に知ったとしたら、どんなに後悔の念を感じたでしょう。ゾっとする思いがいたします。

最後に、お寺の皆様方、大変お世話になりました。今はお返しする事はできませんが、帰りましてから、皆様のお気持ちにこたえられるよう、一生懸命社会に貢献できるよう、頑張ります。蓮華院誕生寺奥之院を修行の場とし、内観できた事、本当に感謝いたします。ありがとうございました。