今回は、大阪の竹下様からの投稿を掲載させていただきます。内容は、『だからあなたも生きぬいて』(講談社)の著者で弁護士の大平光代女史の講演です。
先日、大平光代さんの講演に行ってきました。感動の講演でした。雨の中でも座席700席が満員、立ち見を入れると参加者1000名を超えたそうです。左の男性は福山市から、右の女性グループは京都からと遠方の方でした。メモの走り書きで恐縮ですがご覧いただきましたら幸いに存じます。
『大平光代女史』
1965年生まれ。中学2年のときに、いじめを苦にして割腹自殺を図る。その後、非行に走り、16才のとき極道の妻となり、背中に刺青をいれる。 養父・大平浩三郎さんと出会って立ち直り、中卒の学歴を乗り越えて、「宅建」、「司法書士」と次々と資格を取り、29才で、ついに「司法試験」に、一発で合格する。 現在、弁護士6年目。少年犯罪関係を担当。非行少年の更生に努める弁護士として、東奔西走する毎日である。
「生まれながらの非行少年少女はいない。周りの環境次第である。」
中3、シンナー、恐喝、援助交際。 小学校は成績良、 中学で素行が悪くなった。原因を聞いても言わないし、親も全くわからない。
直接A子ちゃんに原因を聞いても言わない。
父親は「原因は全くわかりません。」
兄も「A子は負け犬です。私は勉強さえすればいいといわれている」
子供には国選弁護人制度はない。法律扶助制度を適用。
A子ちゃんと話しをするのは、スピード、マックス?ということばの勉強から。はじめてアイドルグループというのがわかった。そうこうしているうちにやっと、原因が中1のときの転校生であることがわかった。その転校生は、前の学校で女王様の地位であり優秀なA子ちゃんが目障りになり、いじめをはじめた。
A子ちゃんは担任に相談したが、「転校生は元の学校でもいじめをしていた、優しく接して欲しい」といわれ悩んだ。A子ちゃんは一生懸命努力をしたが、転校生は、「あんたなんかに同情して欲しくない」など聞く耳は持たない。
状況に気づいた母親は、勝手に学校に掛け合って転校生を他の学校に移させた。A子ちゃんはなんとかしようと思っていた矢先であり母親に怒った。周りの同級生は、「自分はいい子になりたいから転校させた」と誹謗中傷が続いた。
それがいやになり繁華街をうろつくようになり、不良と付き合い、家出、援助交際…となった。母親は子供を一方的に責めた。母親が娘をさげすむようになり、A子ちゃんは家におられなくなり家出・同棲・薬物、生活費のために恐喝し、男に貢いでいた。
親は4週間に一回子供に面会したのみ。最後まで聞く耳を持たなかった。親はA子ちゃんの引き取りを拒否をしたため、スーパーの経営者が身元引受人になり、スーパーで仕事をはじめた。
A子ちゃんはスーパーに来ている税理士さんの仕事をみて税理士になりたいという目標を持った。中学しか出ていないA子ちゃんが税理士になる方法が見つかった。日商簿記1級を取得すると、税理士に挑戦することができることがわかった。
目標があるからいまはイキイキしている。しかし、同棲中にシンナーの吸引が原因で後遺症があり脳をおかされ、勉強に集中できないことが大問題。記憶が定着しないため、3級から2級合格は短期集中でいかなければならないが時間がかかっている。現実を忘れたいためシンナーを吸ったことに後悔している。A子ちゃんの場合は立ち直った例である。
B君の例
担任の先生の足を彫刻刀で刺すという事件を起した。
3人家族、父親単身赴任。本当のことを聞き出すことがとにかく一番難しい。
B君は小さい時から宮大工になりたいと思っていた。おじいちゃんが目標。宮大工になるには、中学で就職する必要があった。母親は大工を理解していない。一流大学・一流会社を強要した。
事件は先生の「希望の学校に入れへんぞ。」が引き金となった。この事件は保護観察となった。
しかし、相変わらず母親は高校をすすめる。母親の説得を試みたが、「あなたは人の子だから宮大工になれといえるのだ。ほっといてくれ。」ということで、これ以上の説得は困難。
B君は私立高校に入学したが、勉強に身が入らず勉強についていけなくなり、非行にはしり恐喝で捕まった。
対面したときは明らかに顔の相が変わっていた。独房での日記も、母親のウラミツラミばかり、「メス豚……」と母親をののしっており、心が閉じたままである。ほんのささいな事から大きく心が離れていくのである。
大平光代さんも中学でいじめにあった。暴力団員と結婚したり、刺青を入れるために親の承諾書を無理矢理取ったこともあった。
あるとき、おじさん(現在の養父)にいわれたことは、「確かに、あんたが道を踏み外したのは、あんただけのせいやないと思う。親も周囲も悪かったやろう。でもな、いつまでも立ち直ろうとしないのは、あんたのせいやで、甘えるな!」落雷にあったように体じゅうに電気が走った。
「やっと、私と真剣に向き合ってくれる人と会えた……」私はこのとき、生まれて初めて叱られたような気がした。そして、「道を踏み外したのは、あんただけのせいやないと思う。」という言葉が頭の中をこだました。そのとき初めて大平さんの心に気がついた。「おっちゃんは、本気で心配してくれてるんや……。私を人間としてあつかってくれてるんや……。」
また、「いじめた人を見返してやりなさい、暴力の復讐はいけないが、資格をとって、その人より素晴らしい人間になる復讐をしなさい。」
それから資格を取ることを目標にした。まず宅建の資格をとった。今までは、「どうせ…」という気持ちだったが、「やればできる」に変わってきた。司法書士の資格もとった。
近畿大学法学部の通信講座で勉強をはじめた。趣味など一切やめて勉強に打ち込んだ。そして弁護士に合格。
親を足で蹴ったり殴ったりしたことがあり、反省と親孝行のつもりで、資格を取ったが、まちがっていたことに気付いた。 不必要な苦労をかけないことが本当の親孝行であることが分かった。
背中の刺青の関係で皮膚呼吸ができないため、講演をした後非常に疲れる。このようなことにならないよう、少しでも少年の育成に役立つ仕事をしていきたい。
感想(竹下氏): 信じられない話である、どん底から勉強して弁護士合格。非常に勇気をいただいた。また、事件の根本原因は親に問題あり。下記のとおり自分を戒めたい。
@親としてのエゴを無くすこと。
A親は子供に手をあわせる気持ちを持つこと。
Bあること自体が有り難いと思う感謝の心を持つこと。
Cやろうと思えばどんな事でも出来るというプラス思考を持つこと。
D子供のことを真剣に考えて、叱るべき時には、叱ること。
最高裁の調査結果によると、少年の重大犯罪には、背景に深い挫折感があり、非常に視野が狭いため、苦しい状況の回避手段として、破壊的な方法をとってしまうということです。
「この世でもうあかんということは、なにひとつない。やらんうちから、あきらめたらあかん。」
講演だけでなく、本も素晴らしい内容です。まだお読みになっていらしゃらない方は是非お読みください。特に、不登校・非行・いじめでお悩みの方々にお勧めです。生きる力がわいてきます。
人は煩悩によって業を起こし、業によって苦しみを招く。煩悩と業と苦しみの三つの車輪はめぐりめぐって、はてしがない。(パーリ、本事経)
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